いつかたどり着く

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幼なじみの、その先を目指して。「初恋ゾンビ」に心を持っていかれた……

江火野さんを想うだけで、涙が出てくる。


初恋ゾンビ13巻が発売してから、もうすぐ2ヶ月が経とうとしています。
何度も感想を書こうとして、その度に挫折しました。
江火野さんを想う気持ちが一向にまとまってくれなくて、ただただ抑えきれない感情ばかりが胸に渦巻く。


13巻は、エビナーを天国と地獄に突き落としてくる巻です。
単行本の表紙において、3の倍数の女と呼ばれた江火野さん。12巻をスキップして、「3」の付く13巻の表紙を飾りました。
この表紙がもう、凄く素敵な表紙なんですが、作中のあるシーンを想起させてくるからもう、表紙だけで泣きそうになってしまう。


雑誌時でさえ辛かったのに、単行本でまとめて読むと、心を折ってくる破壊力がある。
それでも、13巻で一歩踏み出した江火野さんの心に、エビナーとして私も応えたい。
あの時確かに輝いていた江火野さんの勇気に、応えたいんだ……

もう幼なじみしか見えない


雑誌感想時にも上記見出しは使ったんですが、もうクリスマス編はこれ以外の言葉が浮かんでこない。
タロウの弟、ナストの告白を受けた江火野さん。
ナストの勇気をもらい、江火野さんもまた、タロウに向かって一歩踏み出す。


プレゼントを渡す。
それは当初から決めていたこと。ナストからもらった勇気の使いみちは、そこじゃない。


一姫が決めた、江火野の兄妹が来ているから今日は名前で呼びあうと言うルール。
今は、二人きり。かつての江火野さんであれば、もう向こうだよねと笑ったかもしれない。
でも今は違う。
「ありがとな、江火野」といったタロウに対し、ナストからもらった勇気を使う。


あれ、今日は呼び方違うでしょ?


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いつもと同じ、じゃない


江火野さんが可愛すぎて抱きしめたかった


このシーンに、どれほどの勇気が注ぎ込まれたか。
江火野さん一人では、決してこんな言葉を言えなかったでしょう。
ナストからもらった勇気が、江火野さんの背中を間違いなく押していました。この勇気の連鎖が、本当に素晴らしい。


※参考
www.itutado.com


江火野さんの心臓の音は、描かれなくたって分かる。
痛いくらいにドクンドクンと脈打っているに決まっている。読んでいる読者の心臓が、まさにそうなっているのだから。
もう愛おしいくらい。恋をした江火野さんは、回を重ねるごとにどんどん可愛くなっていく。
1つ1つの表情に、読者もタロウも魅入ってしまいそうになる。


かつての江火野さんは、カッコいいとか綺麗とかそういう言葉が似合う女の子だったと思います。
でも今は、可愛いという表現を使いたくなる。
恋をした江火野さんは、間違いなく可愛いのだ……!


このシーンのタロウの心情は、なかなかに考察しがいがあります。
最初は断る気配を見せるものの、最終的には「芽衣」と呼ぶ。
江火野さんの背中から、呼ばないと反応してくれないかもしれないというのもあったでしょう。


ただ、タロウの心の中に、「芽衣」と呼んでみたい気持ちも確かにあったのも事実。
このわずかな時間で、揺れ動く心。それが読んでいてニヤニヤする。
そして訪れたのは、予想を超えた江火野さんの表情。
覚悟はしていた。でもこの漫画は、そんな読者の覚悟を容易に飛び越えていくのだ。


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世界が君色に染まっていく……


もう幼なじみしか見えない。


描かれたのは、江火野さんの笑顔。
タロウに名前で呼ばれるのが恥ずかしくて、吹き出すように彼女は笑う。その表情が、世界を塗り替えていく。


この笑顔に、抗うことなんてできない。タロウの強い決意さえ、江火野さんの笑顔は乗り越えていく。
それまでタロウが持っていた色んな気持ちを吹き飛ばして、タロウの心は江火野さんでいっぱいになったのだ。


あんな風に笑うタロウを、ほとんど見たことないでしょう?
それまでの少し重苦しい雰囲気を、江火野さんにこれ以上惹かれまいというタロウの気持ちを全て吹き飛ばした。
間違いなくあの瞬間、タロウは江火野さんしか見えていなかった。


タロウの心の中心に、確かに江火野さんが立っていたんだ……!


タロウはこれまでも何度か、江火野さんに魅了されるシーンはありました。
お祭りの時、プールの時、林間学校の時、そしてロミジュリを演じた時。
それら全てを過去にするほど、今回の江火野さんの笑顔は、タロウを魅了してしまいました。
指宿くんやイヴでさえ、タロウのこんな笑顔を引き出せたことはないのだから……


一方で、好きという気持ちは残酷でもあると感じました。
イヴのために江火野さんに惹かれまいとするタロウの気持ちを、こんなにも容易く凌駕してしまうのだから……

幼なじみの、その先……

帯の文章はたいてい編集が考えているので、13巻の帯は恐らく担当が考えているでしょう。
悲しいくらい、13巻を象徴する文章になっています。


江火野さんはクリスマスプレゼントを渡した日、タロウとある約束をしていました。
それはちょっとした、ご飯を食べる約束。
これを連載時に見逃さなかった私は、やはりなかなかのエビナーなのではないでしょうか(自画自賛)

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江火野家が経営する定食屋の常連から映画のチケットをもらった江火野さんは、それとご飯の約束を口実に、タロウを誘うことにする。
その時の江火野さんがまた可愛くて。恋する江火野さん最強伝説を築けるのではないのだろうか(真面目)


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タロウに会いたいという気持ちが溢れている


あれ天使がいる!?


まあ私にとって江火野さんはエンジェルなので、見間違いではないんですか(ぉ
ちなみに指宿くんも天使です。
あっちはリリスエンジェルだから紛うことなき天使。リリスエンジェルのグッズ化を公式は急いで!とりあえずクラファンやろう(本気)


……コホン、取り乱しました。


タロウを呼び出して、待ち合わせ場所で出迎える江火野さんがまた可愛い。
この江火野さんの可愛さは、私の主観だけで言っているわけではなく。
待ち合わせに来たタロウも、「ああやっぱ可愛いなあ」という感じの表情を見せてから、努めていつもの姿で振る舞おうとする感じが、江火野さんの可愛さを強く強調しています。


勇気を出して「デート」って言葉を使う江火野さんも、立ち止まってタロウが着いてきてくれるか様子をうかがう江火野さんも、いちいち可愛くて悶えてしまう。
基本的に、あるシーンが来るまではずっと江火野さんの可愛さに悶えています。それくらいの破壊力。常に呼吸困難です。
誰か酸素下さい。


江火野さんの魅力の恐ろしさは、そういう「恋する乙女」的な可愛さだけではない部分です。
本能に訴えかける、凄まじい破壊力の飛び道具を持っている……。


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男って、ホント馬鹿


江火野っぱいに抗えない。


レベルを上げて物理で殴るってこういうことか(違う)
いや目の前にこれがあったら……見ない自信がない。
というか多分、本能的に見ちゃう。


普段冷静なタロウが本能に抗えない感じが、思わず笑ってしまう。
まあタロウは江火野っぱい押しつぶされたこともあるんだけどね。あれは幸せパンチを超えた幸せバズーカだった……


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江火野さんと一緒にいると、タロウは心を乱される。
だからタロウは早く帰りたいと思っていました。
でも、江火野さんの提案を断れない。嬉しそうな顔に負けてしまう。
「見て」しまうと、「言われて」しまうと、タロウはきっと勝てないのだ。


江火野さんに最後にと誘われて乗った、観覧車。
パンツが見えそうで、真正面の江火野さんが見えないタロウ。
イヴで見慣れているはずなのに、「イヴ」では平気なはずなのに、江火野さんのそれにはドキドキしている。
※タロウにとってイヴは家族に近いのかもしれない。この辺の深掘りもしたいけど……


こういう時に、峰浪りょう先生は口元を描く。それは自分に浮かんだ「なんで」の答えを、理解しそうで止めたようにも見えた。
江火野さんに見えそうなことを告げて、目を背けることを正当化することに成功したタロウ。
でも恋の駆け引きは、江火野さんの方が何倍も上手でした。


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天才過ぎて震える


作中一番の機転が利いたシーン……!


天才たちの頭脳戦を謳うラブコメに参戦しても、江火野さんが圧勝してしまうのでは?と思うほどの天才っぷり。
正面からパンツが見えそうなら、隣にいけばいい。

シンプルだけど1番強い。そしてそれを実行できる、今の江火野さんの行動力よ……


心理的にも、物理的にも、江火野さんはタロウに近付こうとする。
近づきたいという自分の気持ちに、素直になっているから。
そんな江火野さんをタロウは変わったと思っています。それは事実です。
でもどうして、とは聞けない。聞いてはいけないことを、タロウは本能的に察しているから。


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江火野さんを変えたのは、タロウだよ……


タロウはもう、視線が合わせられない


江火野さんは、観覧車でかつての指宿くんの問を思い出す。
タロウがどういう存在かを。
あの時と、オンリーワンという意味では本質は変わっていないのかもしれない。
しかし今は、タロウへの気持ちに名前がついていた。その気持ちが、江火野さんに取ってのタロウを「好きな人」に定義させた。


……読んでいる時も、今こうして書いている時も泣きそうになってしまう。
その時がやってくる。
江火野さんは、タロウに自分の気持ちを伝えようとする。
ページを捲る手が震える。江火野さんも読者も、覚悟を決めたのだ。


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その言葉が届くことは無かった


タロウだけが、覚悟できていなかった。


江火野さんの気持ちを、タロウは受け止めなかった。
矢継ぎ早に、タロウは自分の事情を伝えていく。
江火野さんを見ることはなかった。江火野さんに、何も言わせなかった。


見れば揺らぐから。聞けば受け入れたくなるから。
そしてタロウは、江火野さんから逃げていった。逃げるようにではない、逃げたのだ。
タロウの事情も分かる。分かった上で書かずにはいられないのだ。


その気持ちだけは、絶対に踏みにじってはいけないものなんだよ!!


始めは強い怒りが、次に深い悲しみが心の中に広がっていく。
想いが受け入れてもらえないことはあります。江火野さんがそうなることも、私は覚悟していました。
でもまさか、伝えることさえできないなんてあんまりじゃないか……


届くことさえしなかった恋を、どう扱えばいいんだ?
行き場を失った江火野さんの気持ちは、どこにもたどり着くことができない。


江火野さんは泣けなかった。泣かないんじゃない、泣けなかったんだ。
行き場を失ったタロウへの気持ちが彷徨っていて、涙になることさえできていないんだ!
この話を読む度に泣いてしまう。泣けない江火野さんを想うと、涙が溢れてしまう。


江火野さんの心に寄り添いたい。背負えるものなら、その悲しみを背負ってあげたい。
次元を超えて、江火野さんの友人としてあの世界に存在したい。
ただただ、彼女の心に寄り添いたくなってしまうのだ……


タロウを許せない気持ちもありますが、タロウに対する悲しみも強い。
それは、読者、いや私のタロウならばという信頼を踏みにじったから。
私が大切にしていた江火野さんの気持ち、タロウへの信頼を、彼は踏みにじった。


心が散り散りになるほど、悲しかった


それでもまた、心の何処かでタロウを信じている。
11巻で、席田に「恋をしたことを後悔させない」と言ったタロウを信じたい。
タロウを好きになったヒロイン全てに、恋したことを後悔させたりしないことを信じたい。


見てるぞタロウ。最後まで見ているぞ。
後悔させたら、エビナーが、じゃなくて私が許さないからな!!

まとめ


過去最高に時間のかかる感想になりました。
もう表紙で泣くレベルです。エビナーにとって、13巻は心のザワザワが収まらない巻になっています。
本当はもっと沢山文章に書き起こしたいことがあるんですが、もう13巻感想だけは江火野さんについてだけ書きたくて。


この感想を、江火野さんに捧げたかった。
江火野さんの気持ちは、言葉にできなかった。だけどそれがどうした。
それで彼女の勇気が否定されたわけではないのだ。無駄になったわけではないのだ。


自分の気持ちに素直になって、一生懸命タロウへ想いを伝えようとした彼女の姿は、確かに輝いていた……輝いていたんだよ!!


雑誌感想時は、ただ江火野さんの悲しみに寄り添いたいという気持ちでいっぱいでした。
今は少しだけ違います。彼女の悲しみにはもちろん寄り添いたい。
そしてそれと同じくらい、してあげたいことがある。


江火野さんは輝いていたよと褒め称え、抱きしめてあげたい。


いや本当に、江火野さんの友人として初恋ゾンビの世界に存在したくて咽び泣く。
中高生の頃次元の壁を超えたいとか言っていた記憶がありますが、今のほうが100倍真剣な気がする……(真面目)


13巻は本当に見どころが多くて書ききれないので、イヴと指宿くんについてはぜひ、雑誌時の感想を読んで頂ければと思います。

www.itutado.com
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苦しいくらい、狂おしいくらい、初恋ゾンビが大好きです……


©『初恋ゾンビ』峰浪りょう/小学館

余談

私は江火野さんの恋を9巻で「芽吹く」という風に表現しました。
江火野さんの名前は「芽衣」で、「芽」という漢字が入っているんですよね。
イヴや指宿くんは最初からタロウが好きで、江火野さんだけが作中でタロウへの想いを育て、9巻でその気持ちを芽吹かせていて。


もしかして峰浪りょう先生は、そういう想いを彼女の名前に込めたのかなと思いました。
感想書いていると、こういう気付きもあるんですよ(笑)
だから楽しい……


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