いつかたどり着く

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「初恋ゾンビ」好きという気持ちが覚悟を凌駕する時

ラブ、コメっていますか?
愛・おぼえていますかみたいなノリで書き始めましたが、最近の初恋ゾンビはラブがコメっていません。
心にズシンとくるようなラブが描かれています。
素直にこの恋良い!っていうものじゃなくて、なんでこんなに難しい恋なんだ……みたいな心が痛くなるようなもの。


イヴの心の痛む音も、指宿くんの心が痛む音も、そしてタロウの心が痛む音も聞こえてしまうのだ……

揺らぐ約束

先週は発動された朱々子のお姉さまを思い出して大作戦ですが、けしかけた一姫側からストップが入ります。
それはやはり、一姫がイヴに話しかけている二人の姿を見たのが大きい。


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関係者以外で、初めてタロウと指宿くんの間にある何かに気づき始める


この辺は流石というところですが……突然はしごを外された朱々子は正直たまったもんじゃないよね(笑)
やはりイヴという存在と向き合い、自分の幸せを考えて何をすべきか、そしてどうしたいかを指宿くんとタロウが選択しないと、ここの問題は進まないのでしょう。
それに対しての答えは、二人は一応過去に出している。出していてなお、何となくお互い側にいたいと思っているのが、苦しくて悲しい。


タロウに送られる帰り道、指宿くんが気になるのは当然、イヴが泣いていた時タロウが何をしていたか。
予想はつく。ただ、それでも確かめずにはいられない。
この時の指宿くんは非常に感が鋭い状態。
タロウが手袋を持っているにも関わらず、つけずにポケットに入れていることから、それが江火野さんからもらったものだと当ててしまう。


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タロウの動揺を見抜いている


タロウが手袋をつけない理由は、江火野さんを意識したくないから。
しかし意識から遠ざけようとするほど、返ってそれが指宿くんには伝わってしまうのでしょう。


そしてイヴの変化を口にする前に、タロウの方から「眠っていたのか」と指宿くんに尋ねる。
指宿くんがイヴが眠っているところを見た時、タロウはそのことに気づいていませんでした。
タロウがそれを知っているということは、自分が認識している時以外にもそれが起こっていたということ。
江火野さんに……惹かれていたことがあったということ。


タロウはまだ知らない。今回イヴが泣いていたことを。
消えゆく初恋ゾンビの側にいることで、安らぎを感じていたことを。
作り笑いを浮かべ、これからタロウに嘘をついていくことになるかもしれないことを。


イヴは言わない。タロウを悲しませたくないから。タロウを苦しませたくないから。
だけど、指宿くんには見えてしまう。消えゆく初恋の火が、イヴの心の痛みが。


それがどれだけ指宿くんに取って辛いことか。まさに身を引き裂くような痛みになることでしょう。
そんな状態で、側にいるという約束を指宿くんも守れない。
きっともう、上手く笑えない。


……全くラブがコメっていませんが大丈夫じゃない問題だらけです(ぉ
改めて、好きという気持ちも女性であることも伝えられない指宿くんの苦しみを考えてしまう。
イヴのために女性であることを伝えるのを止めた……という経緯もあるし、辛すぎるでしょ!

理不尽な感情

今回の話で面白いなあと思ったのは、江火野さんからもらった誕生日プレゼントが、タロウの心の揺らぎの象徴になってる部分。
指宿くんと外に出た時につけなかったのもそうですが、プレゼントの手袋はどうしても江火野さんを意識してしまう。
手袋を渡されたあの時のやり取り、そして江火野さんの笑顔。
それが何より、タロウの心を揺らがせている。


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江火野さんに惹かれる気持ちが、イヴを傷つける


このシーン、完全に手袋がタロウの心の揺らぎを象徴しています。
私はエビナーなので、タロウの心が江火野さんに揺れることは喜ぶべきなのかもしれませんが、このシーンは苦しいという気持ちが強くて。


タロウはもう一度、イヴと一緒にいる覚悟を静かに固めていきます。
江火野さんに心を揺らされないこと。
指宿くんとの過去を……思い出さないことを。


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しかし、枕元に置かれたプレゼントを見つけてしまう


ここから先の展開はもう、読者とタロウの反応が完全に一緒。
思い出してしまうのだ。サンタコスをした姿を。自室にいた指宿くんを。


あー、だよもう。あー。


力の抜けた言葉しか出てこない。
覚悟は決めたのだ。イヴに側にいて欲しいから、それ以外を望まない選択を取ったのだ。
それでも時々「好き」って感情は、理不尽なくらいどうしようもならない時があるんだ……


本当にもう、理不尽過ぎて泣けてくる。
イヴと一緒にいたいから、そのために自分の気持ちを我慢する選択が、タロウにとって辛い決断だったか。
それほどの覚悟を、「好き」って感情が理不尽に乗り越えてくるのだ。
何だよ……何なんだよ峰浪りょう先生。こんなのズルいよ。心のざわめきが周りに聞こえてしまいそうだ。


……あー……


涙……出てくるね……

まとめ


これから本当に、どうなっていくのでしょうか。
イヴは嘘をつかない、というかつての気持ちに嘘をつくようになるのでしょう。
そうしないと、タロウが苦しんでしまうから。
優しくて切なくて、イヴにとっては死ぬほど痛い嘘をつく。想像しただけで、イヴのために泣いてあげたくなる。


タロウはイヴに触れられるようになったら、彼女の涙を拭ってあげてくれ……。
……という真面目な感想を書いていますが、初恋ゾンビ単行本発売なのでテンションは高いです。



初恋ゾンビ新刊を並べたいというだけで5冊買う馬鹿


日本一初恋ゾンビを買った人間に、オレはなる!(ただし関係者は除く)

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