いつかたどり着く

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「初恋ゾンビ」消えゆく存在に慰められて……

涙の数だけ強くなれるよ……というのは、人ではない初恋ゾンビの場合にも当てはまるのでしょうか。


人間は泣くほどの自体に直面しても、やり直すチャンスはあります。
涙を拭って、もう1回挑戦したり別の道を模索することができます。


しかし初恋ゾンビの場合、道は限られています。
イヴには、タロウしかいません。
自分が見える相手という意味ではタロウ以外にも存在はしていますが、一緒に行きていくという意味ではタロウしかいないのです。


タロウが江火野さんに惹かれることで、イヴの存在が……揺らいでいく。


※前回の感想
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消えゆく初恋ゾンビに慰められる


イヴは泣いていました。
暗い部屋で、昇華されていく江火野ゾンビの横で、声もあげずに泣いていました。
ただただ悲しくて、涙が……溢れていく。


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悲しみと安らぎ


止めてくれ……


前回のイヴの涙を見た時もそうですが、心臓がギュッと掴まれたような感覚に陥ってしまいます。
悲しいのは、タロウの心が初恋から離れ想い出と化そうとしているから。
慰められるのは……江火野ソンビの姿こそが、その悲しみを開放してくれるものだから。


悲しみの理由を、イヴがどこまで理解しているか分かりません。安らぐ意味を、考えているかも分かりません。
分かりませんが、恐らくは本能的に察しているのではないでしょうか。
イヴはなぜ自分が泣いているか、戸惑うそぶりも見せず。
安らぎを求めて、消えゆく江火野ゾンビの側にいる。


それが全てが、指宿くんと読者に1つの事実を告げています。
タロウの心が、揺らいでいることを。
イヴと共に生きる決意を超えた何かが、タロウの心を揺さぶっていることを。


これまでも、イヴが眠ったりすることはありました。ただ、それはあくまで受動的なものであり、イヴの意思ではありません。
ただ今回は初めて、イヴ自身が「消えゆくこと」を望み始めていることを示唆するシーンだったのではないでしょうか。
明確な意思があったかは分かりませんが、少なくともそこで慰められたという事実は、本能的に昇華を求めたと見ても大きな間違ってはいないでしょう。


今までの切なさとは、少しレベルが違う。
こんな場面を目の前で見た指宿くんに辛さも、考えると苦しい。

気づく人、覚悟する人


主要キャラ以外にも、今回は大きな動きがあります。
まずはヒロイン二人を焚き付けている、今回のクリスマス編の首謀者である一姫。
指宿くんの部屋での様子を不思議に思い、こっそりタロウの部屋を見張っていると、不自然なやり取りを目撃してしまう。


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お姉ちゃんは見た


遂に初恋ゾンビ関係者ではない第三者が、初恋ゾンビにたどり着く可能性が出てきたかというのが正直な印象。
なにせこの一姫、かなりの切れ者。
ここから誤魔化すというのは、正直想像できません。
明確にではないにしろ、何かを察し始めるのはほぼ間違いないでしょう。


もう一人、動き出す人間がいます。
お姉さま命!の朱々子です。みんなの妹・朱々子です(なぜ言い直した)


朱々子は初恋ゾンビの存在は知りません。ただし、江火野さんとタロウの関係は察しているようで、このままではマズイと思っています。
一姫に厳しい言葉を突き付けられたこともあり、指宿くんに嫌われることも覚悟して、タロウに真実を思い出してもらおうとします。


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緊迫したシーンだけど><な朱々子が可愛い


こんなときにも女の子が可愛いって思えるって、ある意味才能じゃない?(違う)
……コホン。
これまでは指宿くんが強く咎めれば引いていた朱々子ですが、今回は引きません。
指宿くんが幸せになるならば、嫌われても構わないという本当に強い覚悟を持った上での行動なのでしょう。


朱々子の行動は、プラスかマイナスかで言えばマイナスなのかもしれません。
初恋ゾンビという存在を、イヴを考慮できていないのだから。


ただ大切な人のために何かしてあげたいと思って、嫌われる覚悟までして行動できる朱々子は凄いなと思います。
指宿くんのために何かしてあげたい。苦しみから解き放ちたい。幸せになってもらいたい。
お調子ものだったり思い込みが激しい部分もあるかもしれないけど、朱々子のこういう部分本当に好きです。
妹にしたい(笑)


みんな今自分ができることを、一生懸命考えてるんだよな。全員が幸せになって欲しい……

まとめ


心をざわつかせる回でした。
イヴは存在そのものが切ないと何度か表現していますが、今回はそれを今まで以上に感じてしまいました。
これからどうなってしまうんだ……誰か彼女の涙を拭ってあげてくれ……


ただ私はエビナーなので、江火野さんの注目シーンはもちろん見逃しません。


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あれ、タロウは?


このシーン、江火野さんの今年の出番はないのかな?って思わせるじゃないですか。
ところがどっこい、あくまで指宿くんたちに向けての言葉でタロウには言ってないんですよ。


江火野さん自身、タロウとは年内に会いたい……ということをさりげなく示唆しているシーンなのだ。


私は見逃さないぞ峰浪りょう先生!

※前回感想時もこんなこと書いてますが、最新話でどちらの伏線も回収されてしまいました。
 感想書くのが遅すぎたのだ……

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