いつかたどり着く

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「初恋ゾンビ」嫌われてもいい、一緒にいられるなら……

江火野さんの友人として初恋ゾンビの世界に存在したい。
悩み苦しむ彼女の辛さを分かち合いたい。
そんなことを考えながら、いつも初恋ゾンビを読んでいます。


……いや感想がずいぶん久しぶりで、現在の初恋ゾンビはとんでもない展開になっているわけですが、ちょっとずつまた感想を書いていこうと思います。
エビナーの私としては、やはりプール回の話から始めたい。
江火野さんが悩みながら、迷いながら、自分ができることをしようとする姿が印象的でした……

演じる江火野さん

江火野さんは、嘘をつくのが苦手です。正々堂々真っ向勝負……が信条みたいなヒロインです。
イメージは鎌倉武士です。
てつはう撃たれたら大変なことになりそうですが、江火野さんならバットで打ち返すことも可能(ぉ


嘘を付くのが苦手なので、演技も苦手な部類のはずです。
演劇のようなものはまた別でしょうか、今の江火野さんは何でも無いような姿を偽る必要があって。
読んでいて、やっぱりどこか違和感を覚えます。


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うーん、あざとい!
©峰浪りょう/小学館


演技でも可愛いものは可愛いけどな!


江火野さんに水着はやはり反則です。破壊力が凄まじい。
そんなに寄せてる感じもしませんが、あの胸部はとんでもない凶器ですよ。
指宿くんが警察だったら、銃刀法違反で逮捕している可能性すらあります。
大丈夫だよ指宿くん、可能性は無限大だから……(この辺で止めとかないと私がイブスキーさんたちに刺されそう)


当然、あんだけ年末年始で色々あった江火野さんは、本来はタロウの望む幼馴染として振る舞える状態ではありません。
ただ、江火野さんは指宿くんと話をして、タロウをイヴから解放する決意を固めています。
自分には見えないイヴの呪縛から、タロウを救うために。


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自分の気持ちを、奮い立たせる
©峰浪りょう/小学館


笑って、笑っておくれよ江火野さん……!


作り笑いもそうですが、何というか好きな人と一緒にいるはずなのに、江火野さんはちっとも嬉しそうじゃなくて。
それが読んでいて凄く悲しい。
恋をすることは楽しいことばかりじゃないけれど、納得できない振られ方をした江火野さんは、タロウの前で心から笑えていないのだ。
早く江火野さんに、心から笑って欲しい。そんな読者が大勢いそうです。

タロウを攻略せよ!

かつてサンデーで連載していた「神のみぞ知るセカイ」の主人公ならば、ヒロインの落とし方を心得ていたので、男ではありますがなんやかんやタロウも攻略する術が見えていたかもしれません。
しかし、江火野さんは恋愛素人。初心中の初心です。
もちろん指宿くんもそこは承知の上。タロウを落とすためのアプローチのポイントを、江火野さんに伝授しています。


それを実行しようとする江火野さん。作者はこの漫画がラブコメであることを覚えていたのでしょう、ラブがコメっていきます(読者の1/3はラブコメだと思ってなさそう)


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ダイレクトアタック!
©峰浪りょう/小学館


アイスになりたい(ど直球)


予想外のハプニングで、嬉し恥ずかし……という展開が非常にラブコメです。
思わず「キャー」と叫ぶ江火野さん、とっても乙女です。
でもタロウはこれを上回るダイレクトアタックを食らったことがあるからね……
あれは幸せバズーカだった……


www.itutado.com


ニヤニヤしちゃう展開ですが、やっぱり江火野さんの反応が可愛いんですよ。

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このドキドキする気持ちが恋なのだ
©峰浪りょう/小学館


赤面する江火野さん、可愛すぎる。
良いんだよね、と自分に言い聞かせるように反復する姿は、かつて見た恋する感情に戸惑い振り回される江火野さんでした。
ちょっとだけ、まだ恋することを全身で堪能していた頃の江火野さんを見れた気がしました。


でも、それはやっぱり過去の話。
江火野さんは知ってしまった。指宿くんの過去も、初恋ゾンビのことも、タロウのことも。
タロウを好きになって、タロウも好きになってくれれば良いなと思った。
今は違う。タロウに好きになってもらわなければならない。タロウを救うために。


江火野さんと一緒にいると、自分の中の「好き」という感情を揺り動かされるのか、タロウは江火野さんを遠ざけようとします。
イヴのために。イヴと一緒にいるために。
「好きな女の子が嫌がるから」ということで、タロウは江火野さんの告白を最後まで聞きませんでした。


江火野さんの前に立ちふさがるタロウの言葉を、江火野さんは乗り越えていく……


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痛みに耐えながら、江火野さんは踏み出す
©峰浪りょう/小学館


もう二人では会わないという、タロウが敷いた境界線に、江火野さんは踏み込んでいく。
どこか悲しそうで、少し困っていそうで、色々な感情を含んだ顔で。
それでも江火野さんは、踏み込むのだ。タロウの側にいるために。


恋する乙女が強いのか、江火野さんが強いのか。
この瞬間の江火野さんは、間違いなくタロウの覚悟を超える意志を示していました。
それは、タロウの動揺から読み取ることができます。


もう二人では会わないと、目も合わさずに言うタロウに対し、「私を見て」という気持ちを伝えるかのような行動に、エビナーとしては震えそうになる。
聞いてしまえば、向き合わざるを得ないのだ。
遮らなければ、タロウは江火野さんの方を振り向いてしまうのだ。


江火野さんの行動が、正しいか正しくないかは誰にも分からない。
それでも正しいと信じて、自分ができることをしようともがく江火野さんがカッコいいし可愛い。
つまりは江火野さんをみんなで愛でようってことだよ!

まとめ


やっぱり江火野さんの一生懸命な姿は可愛いなあと思いました。
ただ、この漫画は江火野さんの嘘をつけない素直さを「弱さ」として描く部分があるので、今後そこがどう作用していくかなという部分に注目していたりします。
清濁併せ持つ強さ、というのが峰浪りょう先生の作品には流れているかなあと。


ブログでは何度も書いていることですが、恋をする嬉しさや苦しさを江火野さんが知って、その先にある江火野さんの姿を見たいと思っています。
みんなが笑える完璧な未来はきっとないけれど、江火野さんだけでなく、タロウや指宿くん、そしてイヴがそれぞれ後悔しない選択を取れることを、ただただ祈りたい……

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