いつかたどり着く

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どうかハッピーエンドを下さい!心を揺さぶる「初恋ゾンビ」の恋模様に、悶えるしかない

甘く、切ない。初恋ゾンビは、今なお青春の最前線に立っている。


衝撃的な展開が続き、翻弄されてしまいました。
それほど、初恋ゾンビ最新刊である単行本10巻の内容は凄まじい。


読んでいて思わず、身震いしてしまう。
明かされる秘密、葛藤から自覚する恋心。
かと思えば笑顔&笑顔からの、落ち込みそして物語の核心へという展開。


読者の喜怒哀楽をすべて引き出そうとする、初恋ゾンビが恐ろしくて仕方ない……!


たどり着いた、江火野さんの気持ち



前巻である単行本9巻は、衝撃的な終わり方を迎えました。
自暴自棄になって衣装を脱いでいた指宿くんの姿を、江火野さんが目撃してしまって。
指宿くんは、本当は女性であることを告げ、それ以外は聞かないように江火野さんにお願いします。


江火野さんからすれば、なんで?という疑問しかわかないでしょう。
なのに江火野さんは事情を組んで、1つだけ教えて欲しいと指宿くんに言います。
この1つだけ聞いた質問が、「タロウに明かさないのか」というものだから、読者は苦しくなってしまう。


タロウを巡る二人に緊張感が、読者にも伝わってきて。
指宿くんも江火野さんの意図を何か感じ取ったのか、タロウに関係ある?っと渾身のすっとぼけかましました。
それもまた、とても切ない。


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その感情は、きっと「安堵」だ


指宿くんに「関係」ないと言われたことで、江火野さんは安堵した。


江火野さんは、タロウを指宿くんに取られると感じたのでしょう。
指宿くんが女性であることがわかれば、タロウは初恋の人と何の問題もなく恋ができる。
それが江火野さんには怖かった。
もうその理由にも気づいていいはずなのに、気づくことも怖がって避けてしまっている。


しかし、江火野さんは自分の気持ちと向き合わなければならない。
指宿くんが女として転校してきた場合のifを、タロウに聞いてしまったから。


結局指宿くんが女であることを、江火野さんがタロウに伝えることはありませんでした。
一度は、なぜ言えなかったか自分に言い訳をして。
でも、もうその言い訳が苦しいことにも気がついていて。自分に活を入れて。


江火野さんは、上を向く。
タロウとの関係が変わっていくことを自覚した、「上を向いて歩こう」を連想させるような構図で、読者は確信してしまうのだ。
今が変わる時なのだ


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本当の気持ちに、たどり着く


江火野さんの姿に、泣きそうになってしまった。


ついに、江火野さんの気持ちに名前が付く瞬間が訪れた。
こんなに愛しく思えてしまうのは、江火野さんの心の揺れ動きを、丁寧に描き積み重ねてきたから。
大切に育てた気持ちが、たどり付いた場所だから。


今回の話は、7巻の「上を向いて歩こう」とかなり密接にリンクしている。
タロウを好きだと言った時の江火野さんは、泣きそうだった。
だからこそ、上を向いたのだろう。涙がこぼれないように。


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4トントラックに跳ね飛ばされている場面だとしても、拍手でこのシーンを讃えたい。


最高だよ、この漫画は……!


私にとって、江火野さんはヒロインであると同時にヒーローでもあるということを、実感してしまった。


幼なじみのヒロインは、好きだけど関係性が変わることを恐れて言えないというパターンが多い。
江火野さんはそのもう1つ前の段階で、「好き」という感情にさえ気づいてない(無意識に気づかないようにしていた)。
だから元々、ハードルが1つ高かった。


幼なじみのヒロインが踏み出す時は、たいてい相手に好きな人ができてから、ようやくいうという印象。
江火野さんの場合も、指宿くんの影響はある。けれど最終的には、関係性が変わる怖さを自分で乗り越えて踏み出している。


気持ちを伝えることで、関係性が変わることは当然怖い。
江火野さんが当初、それを怖がっていたのも知っている。
でもどうしたいか、どうなりたいかさえ分からなくても。
昨日と違う一歩を江火野さん自ら踏み出す姿が、最高にカッコよくて憧れてしまうのだ。


恋を自覚するまでの過程も素晴らしいけど、恋を自覚した後の江火野さんの反応も実にいい。
好きだと自覚してから、最初にタロウに会った時、
いつものように挨拶するのが少し難しいものの、頑張って「いつもの」感を出す江火野さん。
でも全然、いつも通りじゃない。もうただの幼なじみではないのだから。


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恋の甘酸っぱさが、溢れる


こんな反応されたら悶絶しちゃうよ!


江火野さんに、感情のすべてを引き出されてしまいました。
どうか、江火野さんにハッピーエンドをください……(嘆願)

笑って、指宿くん


10巻は江火野さんだけでなく、指宿くんにとっても激動の展開が待っています。
江火野さんに女性あることがバレたのは、特に指宿くんにとって大きなイベントでした。


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江火野さんと「同じ」、というのが意味深に思える


この場面、江火野さん・指宿くんそれぞれが「同じ」という言葉を使っています。
江火野さんの場合は無意識かもしれませんが、単に性別だけを指しているとはあまり思えません。
誰かを思う気持ちまで含めて、「同じ」という言葉にかけている節があると個人的には感じています。


指宿くんにとって、江火野さんは結果としていい女友だちになりました。
一緒にいる姿は、とても楽しそうです。
けれど江火野さんの存在が、指宿くんを苦しくしているのも事実。


この時点では指宿くんだけが、タロウが江火野さんに惹かれていることに気づいてしまっているから。
自分が女であることを告げられないうちに、江火野さんとタロウが心を通わせてしまって、それが苦しいのだ。


指宿くんに笑って欲しい。タロウとの恋模様で、いいことがあって欲しい。
イブスキーな方々だけでなく、エビナーの私でさえもそう思ってしまいます。
だからこそ指宿くんが作ったと知らないお弁当をタロウが食べて、好みの味だと言ってもらえた時の指宿くんの反応は、全読者を幸せにするのだ。


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魔法陣グルグルで言うところの、かわいいポーズ。効果は読者を浄化する


人類史上に残るかわいさじゃないかこれは!?(錯乱)


1月に発売された単行本に登場するキャラで、一番かわいい生き物はきっと指宿くんです。異論は認めます。
嬉しさ大爆発という表現が、まさにふさわしい。
一応それっぽい理由でこそっと席を外しての反応ですが、もう移動始めるその時点でスゴいシーンが来る確信があった。


言葉ではなく、全身で喜びを表現する指宿くんがかわいいので苦しい。
指宿くんがこの状態で走り高跳びしたら、間違いなく世界記録が狙える(確信)


ネット民的にいうなら、「あぁ^~心がぴょんぴょんするんじゃぁ^~」状態。
指宿くんはごちうさ民だった(違う)


こんなに嬉しそうな指宿くんなのに、終盤の2話でまたひっくり返されます。


やめて、読者が感情のすべてを引き出されてもう息が止まっちゃう。
お願い、死なないで読者。ここを耐えれば、指宿くんの笑顔がまた見られるわ!
次回、「読者死す」。デュエルスタンバイ!
※なお次回は単行本10巻発売タイミングになる模様


というネタが冗談じゃないのが、この漫画の本当に怖いところ。
もう喜んだり悲しんだり、いろんな感情が引き出されて苦しい。
こんなに心を揺さぶってくる指宿くんの恋が、成就せず終わるなんて辛すぎる。


どうか、指宿くんにハッピーエンドをください……(切願)

終わりに


長文になってしまったため、記事中に触れることができませんでしたが、もう一人のヒロインであるイヴの恋模様も悶絶しちゃうレベルで。
この漫画は、読者に心臓発作でも起こさせたいんじゃないんだろうか。
心を揺さぶられすぎて、読後しばらくしても衝動的に枕を殴りたくなる。完全に挙動不審。
すべてのヒロインのハッピーエンドを、ムリだと分かっていても願ってしまいました……


ちなみに江火野さんが「関係ない」と指宿くんに言われて安堵するシーン、雑誌掲載時から内容が修正されています。
恐らくはちょっとした矛盾があるのでは?ということに気付いての修正だと思いますが、細かいことはいいんです。
加筆修正で江火野さんのパンツ描かれたから、それで全部チャラですよ!
ちなみにカバー裏のハロウィン衣装をチェンジした江火野さんもかわいかったです。大満足。



峰浪先生の宣伝ツイートは積極的にRTして、もっとこのおもしろさを共有していきたいなと思いました。
みんなもTwitterアカウント持ってたらぜひ。よろしく。
……キビちゃんが出てきたことで、自称宣伝課長の地位さえ怪しくなったから慌てて宣伝しているわけじゃ……ないよ!


追記
ニコニコ静画で2巻まで無料公開中とのこと。
未読の人は、この機会に読むしかないね!!


今回の記事ではユリスキーなあの話に触れられませんでしたが、以下の記事で感想を書いているのでこちらもどうぞ。
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画像引用元
初恋ゾンビ/峰浪りょう/小学館


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