ボクの恋が成就したらキミは消滅する
そんな衝撃的な帯だった初恋ゾンビ11巻。
巻数を増やすたびに、切なさも増していくのは気の所為ではないでしょう。
指宿くんも江火野さんも、そしてイヴも。
悩んだり戸惑いながら、タロウと向き合っていく。
その姿を、もっともっと見てみたい。
心を晒して、迷いながら進むヒロインやタロウが私は見たいのである。
恋する江火野さん
江火野さんはタロウへの恋心を自覚しています。
戸惑いながら、それでも自分の恋心に素直になろうとする姿は、江火野さんらしくて頬が緩んでしまう。
指宿くんの家でのお泊り会で、浮足立つ男女。
かつての江火野さんだったら、その浮ついた雰囲気も苦手だったかもしれません。
でも今は違う。彼女は変わった。タロウを想って変わったのだ。
この口の形最高に可愛いんだけど!!!
江火野さんが「キス」なんて声に出すなんて、連載当初想像できた読者なんていなかったのではないでしょうか。
女性同士で口にすることはあっても、異性の、ましてタロウの前で言うことは無かったでしょう。
キスをするのはタロウたちではなく、タロウが前にくっつけたカップルである希空たち。
江火野さんはそのお膳立てをしてあげているようですが、タロウが言うようにかつての江火野さんならばしなかったかもしれません。
ただ、きっと今の江火野さんは「キス」がしたいという彼女たちの気持ちが分かる。
好きな人と一緒にいたい、より深く結ばれたいという気持ちが理解できるのでしょう。
もちろんそれは、タロウを好きな気持ちに気づいたから……というのが最高に良い。
恋をしたことで変わる江火野さんが、可愛くてたまらないのだ。
この後、タロウの手を握るシーンは必見。
急にタロウ視点になって……そこに見えるものが凄まじい。
江火野さんが踏み込んでばかりのように見えますが、彼女はヒロイン勢の中で恋を自覚するのが最も遅かったヒロイン。
その感情に、まだまだ振り回されています。
指宿くんが緊張しながらもタロウに電話したのに対し、江火野さんはドキドキしすぎて電話もできなかったり。
恋する乙女歴の差を感じられるシーンです。
何だこの可愛い幼なじみは!
この間までは普通にタロウに電話できたのに、恋をしたことで電話できなくなってしまう。
自分の感情に戸惑う江火野さんが、可愛すぎて抱きしめたい。
自覚したばかりの気持ちを、持て余しているのが分かりすぎて困る。
タロウに電話できないそれっぽい理由を一度作っておいて、それを言い訳するなと自分に言い聞かせる姿も非常に江火野さんらしい。
あと、パジャマ姿の江火野さんが可愛い。
指宿くんの家に泊まった時とは別のパジャマです。
向こうがお泊り時用のパジャマっぽいけど。
胸元が大胆に空いている感じが、お家パジャマっぽくてドキドキ。
どのヒロインも好きな私ですが、やはり江火野さんのこういう無防備な姿に、1番頬が緩んでしまう気がする。
江火野さんが好きなんです……だってエビナーだもの。
叶わない初恋の行方
11巻の一番の見どころは、やはり初恋が叶わないケースを描いた席田編でしょう。
席田は、龍の彼女である亜美に恋をしていました。
つまり最初から、叶わない恋をしていて。
席田はその恋を歪ませていて、龍や亜美だけでなく、指宿くんや江火野さんまでもかき乱してきます。
しかし席田くんが亜美をモデルに絵を描いた時、目の前にいてなお自分ではない誰かを想う様子の亜美を見て、自分の恋の行き先が見えたようでした。
届かなかった想い。叶わなかった恋。
それでも恋したことを「よかった」と、席田くんは思えたのでしょう。
このシーン、私は君曜日のある言葉を思い出しました。
好きって気持ちがかなわなくても 一方通行でも やっぱり 恋だと思うの…
報われなくてもそれは恋なのだ。
時に醜さもあるのかもしれないけれど、好きになったこと、好きでいられたことを前向きに誇れるものであって欲しい。
叶わなかった席田くんの初恋を、切なさや苦しさを感じさせながら、思わず「綺麗」と思ってしまうENDに導いた峰浪先生を褒め称えたい。
席田くんは、初恋ゾンビのもう1つの未来を示していました。
今までは、恋を成就させて浄化させるか、その初恋を眠らせて冬眠状態にする初恋ゾンビが描かれていました。
しかし今回は、初恋を「昇華」させるという違った形を見せていて。
席田くんの恋は、主要キャラに間違いなく大きな影響を与えました。
「叶わなかった恋」の先を見て、これまでとは違った何かを感じ取ったはずです。
自分の今抱えている気持ちが届かなかった時に、席田くんのように「好きになってよかった」と思えるか……というような。
最近の初恋ゾンビは、とにかく大変な状態。
誰の想いが届くのか、そして届かないのか……苦しいくらいドキドキしています。
ただ一つ、私以上にドキドキして、苦しんでいる読者に一言言いたい。
恋をしたことを後悔させないという、タロウを信じろ。
指宿くん、イヴ、江火野さんが好きなタロウを信じろ。
まとめ
書きたいこと盛りだくさんだったはずなのですが、最近の初恋ゾンビが私の精神をすり減らした結果、感想が1ヶ月以上送れることになりました。
12巻が発売する前日に11巻感想を書いてるって……どういうことだよ!
本当はもっと書きたいことがあったんですが、思い出すと辛くて、11巻を読んで幸せな気持ちになれる部分に特化した感想になってしまいました。
11巻そのものは、何回読んでもすごく面白い。最近の初恋ゾンビが切なすぎるのが悪い(ぉ
エビナーの私が江火野さんの話ばかりになるのは仕方ありませんが、チョロ宿くんの可愛さは、普遍的なものだいうことを11巻で実感しました。
チョロ可愛いは、人類共通の可愛さなのだ!
とりあえず、早くこのリリスエンジェルを商品化してください。
あ、その際は受注生産にして下さいね。
じゃないとイブスキーさんたちに買い占められてしまう……(笑)
ということで、峰浪りょう先生&サンデー編集部、どうぞご検討よろしくお願い致します!
画像引用元
初恋ゾンビ/峰浪りょう/小学館