いつかたどり着く

漫画を中心とした感想&レビューサイト。

「暁のヨナ」どうしようもなく、ヨナが可愛いって言いたいんだ

いやー、参りましたね。
可愛すぎて申し訳ない。

私じゃなくて、ヨナがですけど。

暁のヨナ 14 (花とゆめCOMICS)
草凪みずほ
白泉社 (2014-04-18)


前巻がオッサンだらけで少女漫画の表紙とは思えなかったのとは違い、14巻は四龍のイケメン?たちを集めて、まあ少女漫画かな?という感じの表紙。

センターが仮面の君ではあるけど、前巻に比べたら大した問題でもない(引っ張る)

火の部族での戦いを終え、最近治安の悪くなった水の部族を訪れるヨナ一行。
死線を共にくぐったせいか、全体のまとまりが以前より感じられる気がしました。


濡れた服をヨナが着替えるため、野郎どもが出て行くシーンがありました。
ただ、野郎どものお着替えシーンではお姫様は目をそらす描写もない。
……逞しくなったなあ(笑)

シンアとのゼノは、お構いなしに着替えていたというのが正しい気もしますが。
ヨナの目を気にしていたのか、そのコマで一人だけ上裸になっていなかったキジャがなんとなく可愛い。


アダルト担当?なジェハは、ハクを誘って花街に出かけようとしますが、そのシーンでまさか悶えることになるなんて……。


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理解のある主人を装いながらも、ちょっと不満そうなヨナの表情。
ハクの言葉を聞いて、ちょっとためて次のページに……

ヨナの努めて表情に出すまいとしながらも、やはり嬉しそうな顔がもう……もう!


開始早々ニヤニヤしちゃいましたよ。電車でやったらちょっと周りから人が離れていくレベルで。


この無自覚な気持ちが現れるシーンは、なぜこんなにも幸せな気持ちになれるんでしょうか。
可愛くて仕方ない。
前回までの凛とした雰囲気も持ちながら、この可愛さ。


反則的ですね。バレエマンガだったら、トゥショーズに画鋲を入れられるくらいに嫉妬されます。


そんなヨナとハクのやりとりを、なんとも言えない感情で見ているのがジェハでした。
ヨナへの気持ちを偽りだとしながらも、ハクにだけ見せるヨナの表情が彼の胸を締め付けます。

他の四龍に比べ恋愛経験?が豊富だからこそ、自分の気持ちに素直になれないのかもしれません。
しかし彼が水の部族の地で窮地に陥った時、思い出したのは仲間の姿であり、守るべき姫たるヨナの顔でした。


スキャン0002


水も滴る可愛い女の子、ってこの場面は言っても許される。
自分の帰る場所がヨナたちの元であることを自覚し、同時に「元の理由」が何であっても、ヨナのそばにいたいということをジェハは強く感じることになりました。


寒さが…薄れていく…


ヨナたちが駆けつけた時のジェハの言葉です。
帰る場所としての家は、特定の場所ではなく「人」が作り出す空間なのかもなと思いました。

しかしこんなにもヨナが可愛いと、心配されたくて危険な目に進んであいたくなってしまいそうですね(笑)


かつてそんなことをハクも言ってましたが、読者も14巻にしてその気持ちがとてもよく分かりました。
ヨナを心配させたい男性が、この巻で急上昇間違いないし(迷惑)


ちなみに、危険な行動をしたジェハを戒めるこのシーンも地味に好き。


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ハクはどうも、あまりヨナ以外に仲間意識的なのを見せるシーンは少ないのですが、だからこそジェハを心配するこのシーンは良かった。
ハクにとっても、四龍はヨナを中心とした「仲間」なんだなと分かる隠れた良シーン。
いかん、暁のヨナを堪能しまくっている(笑)


水の部族で戦いを開始し、その地で知り合った少女たちの会話シーンも悶絶ものでした。
ヨナが剣を習う理由を問われた際、足手まといになりたくないというのに加えて


スキャン0004


い、いじらしい……!!


思い浮かべるハクの顔。自分が頑張れば、認めてくれる。また笑ってくれる。その顔がまた見たくて、ヨナは頑張ってしまうのですよ。可愛すぎてもう床を転げ回りますよ僕は(知らん)

ハクが特別な人なのは当初からずっと変わっていませんが、「どう」特別なのかは少しずつ変化しているのが面白い。
自分の剣が褒められれば、ハクが褒められたと嬉しがるとかもうね。


どうしようもなく、ヨナが可愛いてブログで言いたかった。


暁のヨナの今後を考えると、胸が高鳴ります。恋かもしれません。
ということで、次号からのはなゆめの購読を開始します(本当です)

ちなみに下が、少女漫画とは思えないオッサン率80%の表紙(スウォンいるけど小さい)

暁のヨナ 13 (花とゆめCOMICS)
草凪みずほ
白泉社 (2013-12-20)

「暁のヨナ」ヨナの凛々しさと可愛さに、悶絶しちゃう件

まずは見てくださいこの表紙。圧倒的おじさん率。

暁のヨナ 13 (花とゆめCOMICS)
草凪みずほ
白泉社 (2013-12-20)

ウソみたいだろ。少女漫画なんだぜ、それで……(失礼)

なんてタッチのネタがやりたくなるくらい、少女漫画っぽくない表紙です。
作者もカバーのコメントでそれを心配するレベル。実際、この巻はおじさん大活躍なんですけど。

荒野で王の夢を見た


第73話のタイトルが上に書いてるやつなんですけど、私はこのタイトルが凄い好きです。
火の部族長は正に、夢を見たのだと思います。その夢は、叶うことはありませんでしたが。

戦いは序盤こそ火の部族が優勢でしたが、グンテが加勢にきたことで立場は逆転。
空の部族が攻勢になりました。


カン・スジンの誤算は、グンテと王が信頼関係をすでに築いていたことにありましたが、王を侮っていたこととグンテを知りすぎていたことが原因だったように思います。


普通に考えれば、王都を攻める際自軍(空の部族)だけでは対応しないと読むでしょう。
奇襲とは言え、増援を呼ぶというのは充分考えられると思います。

しかし、地の部族は予想していなかった。それはグンテが、認めた王にしか従わないことを知っていたから。
かつては共に戦ったグンテとスジン。
そこには友情はなくても、一定の信頼があったことがグンテから伺えます。


その辺りは、何ともやるせない気持ちになりましたが。


そんな劣勢に立たされたスジンの元に、今度はヨナ達が立ちはだかります。
四龍の圧倒的な力で、兵士たちを次々と倒していくヨナたちの動きはスウォンたちにも伝わりました。


また、出会ってしまった。しかし今度は、必然の出会い

スキャン0008


阿波で会った時には、震えることしかできなったヨナ。
しかし今度は逃げることなく、瞳は彼の姿を捉えていました。


ヨナが見ていたのは、スウォン一人でした。
しかしスウォンが見ていたのは、ヨナ一人だったかは定かではありません。そのすぐ側に、かつての親友であるハクがいましたから……

ハクもヨナに続いて、スウォンの存在を認知しました。溢れ出るのは、殺意。もしくは、それを孕んだもっと複雑な想いか。
槍を強く握りしめる描写は、これが愛憎入り交じる感情なのだと強く読者に訴えています。


役目を終えたヨナたちは、その後すぐに撤退します。
決着をつけるのは自分たちではないと、ヨナは理解していたのでしょう。
この造反は、最後は火の部族の兵士による、部族長殺害で幕を閉じました。

ヨナたちにとっては今回が初めての大きな戦ということもあって、仲間たちの傷はなかなかに大きかった模様。
特に前線で速攻しているキジャは、ダメージが大きいようです。


その中で、ハクの怪我は軽微というあたり、流石は元部族長という貫禄です。
四龍やハクの力は強大ですが、それを戦場でどのように使うかという点で、ハクは慣れていることもあってか他に比べ抜けているように感じました。


ハクの手当をするヨナは、改めてハクに感謝の言葉を伝えます。

スキャン0007


全てを捨てて、自分を守ってくれることを選択したハク。
その存在がヨナにとってどれだけ大きいかが、このシーンから伝わってきます。


戦場に舞った鷹は、かつてハクとスウォンが育てたもの。
知らないと嘯くハクの強がりは、ヨナにも当然伝わっていました。
親友と戦わせることの辛さを、優しい彼女は慮ったのでしょう。


このあまりにも自然に互いを思いやる彼らの姿は、フィクションだろうが何だろうが純粋に美しいと思っています。
優しさで胸が満たされてしまうようなシーンが、この漫画の隠れた魅力だと私は力説しても良い。

恋の芽生え始めは、なぜこんなにも素敵なんだろうか


11巻くらいから、ヨナのハクへの気持ちが話題になっていました。
この巻から、それは明確な形になり始めます。

恐らく戦争で武器やら治療などにお金がかかり、貧乏に拍車のかかったヨナ一行。
ユンくんの命令で、客引きを行います(お店はユンくん)


ジェハは得意の話術に女性を引き込み、キジャとシンアもジェハの口車に乗る形で、その美貌で客引きを行いました。

さてハクは?ということですが、一人に声をかけたらなぜかたくさん連れてきてしまう人気ぶり。
かつてスウォンに人を惹きつける何かを持っているとハクは言いましたが、ハクもまたスウォンとは違った魅力で人を惹きつける力があるのだと思いました。

どうでも良いけど、控えなモブの女の子がもの凄く可愛いので、詳細が知りたい(ぉ


積極的なお姉さま方は、もうハクに興味津々です。買うからおまけを、なんて要求するほどの熱心です。


スキャン0005


そのおかげで、ヨナの可愛い反応が見れて大満足なんですけどね!!
あ、この女の子も可愛いけど162ページのモブの女の子は更に可愛いです(しつこい)


ハクが他の女の子と一緒にいる姿を見るのを避けて、抱きしめたのを見た時に走る胸の意味。
うん……これはアレですね。「こ」から始まって「い」で終わる現象に限りなく近いですね。

何となくその場を離れるヨナを、静かに追うジェハ。
彼だけが、ヨナの想いに気づいていました。それは多分、ジェハがハクに近いレベルでヨナをよく見ているからでしょう。

ハクが他の女性を抱きしめる姿を「イヤ」と思ったヨナ。
そう思ったことに、彼女自身が驚いていたみたいですが。


ハクを縛るからその気持ちはダメだというヨナに、キジャはこう告げました。


スキャン0006


ジェハもまた、何かを押し殺しているのがこの評定から伝わってきます。
ハクとヨナの絆の深さを、自分で言いながら実感しているかのような。

悔しさ、あるいは羨ましさのようなものを恐らく感じているのでしょう。
色恋沙汰に詳しそうなジェハですが、本気になったことはないのだと思います。


自分のヨナへの気持ちが恋であることを薄々感づいていながらも、竜の血のせいにしてしまうあたり。
ああ、この切なさもまた、たまらない。。。



で、本当はここで単行本感想を終えようと思ったんですが、やっぱりヨナの可愛さにもっと触れたい……ということでもうちょっとだけ続くんじゃ(長くなるフラグ)


ハクが客引きから開放され、市場を見て回らないかと誘われたヨナ。

スキャン0009


あああもう、可愛すぎる!!


…いいわよ?じゃなくて行きたいでしょ本心は!
暇だから仕方なく付き合ってあげるわ、的な言い方ですけど表情がもう嬉しさを隠しきれてないです。

ハクが自分をかまってくれているのが、内心嬉しくて仕方ないヨナがもう可愛い。
前半のおっさんたちの戦いのカッコ良さを忘れてしまうくらいに可愛い(ひどい)


全巻通してもトップを争うレベルの可愛さでした。
恋が芽生え始めた少女はもう、世界遺産級の可愛さですね!


最後に私のテンションが上がってしまいましたが、この巻も非常に読み応えのある巻でした。
世界観と内容がしっかり練ってあるので、感想も呼応するように長くなってしまいました(笑)

少女漫画という括りを考えずに、もっと多くの人に読んでもらいたい作品です。オススメ。


「暁のヨナ」凛々しく、強く、そして可愛く

暁のヨナ 12 (花とゆめCOMICS)
草凪みずほ
白泉社 (2013-08-20)


暁のヨナ12巻。
ラブ成分がいつもより多めでありながらも切なさに胸が締め付けられた11巻とは打って変わって、12巻は至ってシリアスな展開に。

南戎の村を訪れていたヨナたちですが、そこで自国の火の部族の兵士たちの姿を目撃します。
何かが起こる雰囲気を察知した一行は、再び高華国に戻りました。

そこで目にしたのは、火の部族を攻めようとする戎国の兵士たち。
戦争が始まる。
そんな雰囲気が街には火の部族には漂っていました。


劣勢の火の部族を見て、存在を悟られる危険にも関わらず、ヨナは戦うことを決意します。


スキャン0011


ヨナの決意に即座に準備を始めた四龍+ハクに対し、戸惑いを隠せないユンにこう告げるヨナ。
見るものを引き込むような、凛々しさ。
城にいた頃に比べ、旅の中で人を引き込むような凛々しさを度々見せていたヨナ。

それは人を魅了し、統べる力に繋がるのではないかと思っています。
この人ならやってくれる気がする、そう思ってしまう何かがヨナにはあるのではないでしょうか。


火の部族の街の外側にいる戎国兵士たちに奇襲をかける、暗黒竜とゆかいな腹へりたち。
しかし裏町の人間は優秀ですね。外に繋がる地下の抜け道を知っているなんて。
多分火の部族の兵士たちは知りません。知ってたら外からの侵入を恐れて入り口を封鎖または警備しているはずですからね。


戦力を整えていたとのことですが、足元は案外お留守かもしれません(笑)


奇襲は成功しましたが、戎国の兵士たちの動きが何やらおかしい。
シンアの目で見た情報を元にハクが導き出したものは、火の部族の反乱でした。

反乱自体も大変な問題ですが、それ以上にヨナたちがどう行動するかが問題でした。
反乱を止めることは、憎きスウォンを助けること。
そして止めるために城に向かうことは、わざわざ殺されにいくようなこと。


それでも、ヨナは反乱を止めることを選択しました。
国を守るために。イル王の娘、ヨナ姫として在るために。


スキャン0014


ハクと共に馬に乗り、城に向かうその評定は口を真一文字に結んでいました。
それは自身が揺るがないように、強くあるためにそうしているような気がします。

高鳴る鼓動は、スウォンに近づいているため。
その消せない情を、押し込んでいるように見えました。

以前のような予期せぬものではなく、覚悟を決めた邂逅が迫っています。


さて、上記のようなシリアスな展開が繰り広げられる12巻。
しかし、タイトルにあるように可愛さも存分に詰め込まれているのが12巻なんですよ!


例えば冒頭の、ハク達の寝所に女性たちがやってきた時のシーン。

スキャン0010


ごゆっくり、と言いながらも中の様子を気にしているヨナが可愛い!
本当にそういう現場ならば天幕の外から声をかけるはずですが、やはりハクのことが気になるのか控えめに中を除くヨナの姿はどことなくいじらしい。

理解のある主人を演じつつも、多分ハクがそういう雰囲気を見せたら今のヨナなら少し表情を変えるかもしれませんね。
そう思えるだけのことが、11巻にはありましたから。
フフ、ハクとヨナのこういうちょっとしたやりとりが私は大好きなんですよ!

反乱を起こしてはいますが、火の部族長一族の回想シーンも素敵でした。


スキャン0009


緋龍王の話をしている時の、カン親子の様子です。
テジュンが可愛い。アホ可愛い。
本編では終始悪役のスジンですが、回想では子煩悩な姿を見せていてそのギャップにびっくり。
そこまでの悪人ではないかも、なんてちょっと思ったり。

子供の時から厳しく躾けられている、というのが火の部族長一族のイメージでしたが結構違うみたいですね。


そして極めつけは番外編!!
温泉シーンです!女性ファンは嬉しいかもしれませんが、男性ファンの私としては男の風呂シーンは別に嬉しくも何ともありません(笑)

スキャン0013


でもキジャに仮面を剥がされて、目を見せまいと目をつぶるシンアは可愛かった!
男の私がそう思うということは、女性ファンからするとどえりゃー可愛いとかいうレベルかもしれません。

他にも火の部族との決戦前の、スウォンとジュドのやり取りも、微笑ましいものがあったり。
読んでいてニヤニヤしてしまうシーンが多かったのが、12巻の特徴かもしれません。


そういえば、表紙のデザインが変わりました。
衣装や構図などのデザイン性がより強くなって、私は好印象です。

「暁のヨナ」その切なさに、悶絶しよう

近くて、遠い距離。
暁のヨナ11巻にテーマはこれに尽きると思います。


暁のヨナ 11 (花とゆめCOMICS)
草凪みずほ
白泉社 (2013-04-19)


表紙からもう、何とも言いがたい距離感が伝わってくる。


11巻では、最初の2話にヨナたちの過去編が。
ヨナとスウォンの関係を改めて描くのかと思いきや、ハクとスウォンの関係にスポットを当てた話となっていました。

国ではそれぞれ立場のある身分である、ヨナ・スウォン・ハクの3人。
しかしヨナが城下町に出たことがないといので、城を抜けだして散策に出かけます。


初めて見る城の外の景色にはしゃぐヨナですが、6歳ということもあり人混みの中ではろくにその風景も見れません。
何とか見ようとするヨナの様子はとても微笑ましい。

その様子を見ていたハクは、至って自然にヨナを肩車してあげました。


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ヨナだけでなく、スウォンの表情も同時に描いたのが印象的でした。
ハクの上から見る光景を、眩しそうに見つめるヨナ。
その様子を見上げるスウォン。

過去編を通して伝わってくるのが、ハクはスウォンを、スウォンはハクをそれぞれ尊敬しているということでした。
この場面でスウォンは、自然にそう振る舞えるハクに憧れを覚えていたのかもしれません。
ハクに肩車されるヨナを羨ましい、と少し感じたとも取れますが。


その後はぐれそうになるスウォンに対し、手を差し出したハクを見る目は本当に嬉しそうで、ハクが大好きということが伝わって来ました。

逆にヨナが人さらいに会った時迅速に対応したスウォンに対し、ハクは驚きを隠せませんでした。裏の権力者とも知り合いで、スウォンの言葉で大勢が動くさまに、圧倒される程に。
スウォンの持つ不思議な力、魅力に薄々は気づいていたハク。それを間近で体験させられた時、確信に近いものに変わっていました。


ヨナを助けて、二人だけで語り合った夜。
スウォンを称賛するハクに対し、スウォンもまたハクに素直な気持ちを伝えました。

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思いがけない言葉が、胸に響く。
凄い人間が、自分を見ている。憧れている。
そう思うと、立ち止まってはいられませんでした。


元からハクは優秀な人間でしたが、国でも有数の武人であるグンテを若くして打ち破るほどの実力を後に身につけたのは、この言葉が大きかったのでしょう。
スウォンと肩を並べて歩けるように。親友でいるために。


この過去編は、暁のヨナの心情を読み解く上でかなり重要な話でした。


過去編が終わり現代に戻ると、ヨナの修行シーンからスタートします。
ヨナが剣を振るうのは、ハクを初めとする大切な人を守るため。
しかし剣は武器であり、使い方によっては命を奪うものです。


ヨナに剣を教えるたびに、ハクは迷っているのでしょう。
その剣が奪うのは、何かということを。


ハクの夢のシーンで、それが明らかになりました。
上達するヨナを褒めるハク。しかし返って来た言葉に、ハクは凍りつく。


スキャン0008

これは、ヨナがスウォンへの想いを捨てていないことを知っているから驚いているのではないでしょう。
「スウォンを殺す」という行為そのものに驚いていました。

ヨナだけではなく、ハクもまたスウォンを殺す覚悟はまだ定まっていません。
肩を並べて歩くはずだった友を、そう簡単に殺せるわけがないでしょう。
それでも、ヨナがスウォンに傷つけられようとするならば彼は戦わざるをえない。


わずか4ページの夢のシーンに、ハクの葛藤の多くが込められていました。
これまではヨナのスウォンに対する想いの複雑さが描かれていましたが、ハクもまた表面に出さないだけでヨナ以上に複雑な感情を抱いているのかもしれません。


城にいた頃は、ヨナがスウォンに好意を持っていることを知って押し殺した感情。
今はそれに加え、従者として彼女を守るため押し殺す感情。

時折それは顔を覗かせるものの、ハクもヨナも冗談で済ませてきました。
11巻では、好きにして良いというヨナの言葉にこれまでにない大胆なアプローチをしました。
それを受けて、少しだけヨナもハクに対し変化を見せます。


しかしここでまた、物語を動かしてきた簪が出てきます。
スウォンから貰った、簪。憎き相手からの贈り物を、未だ捨てられずにいるヨナ。
それこそが、スウォンを未だに想っている何よりの証拠でした。

ヨナのスウォンへの想いを誰よりも知っているのが、またハクというから切ない。
恋敵であり主君を殺した相手であり、そして一番の親友だった。
その全てがもう、切なくて。


簪の入った箱を、やや隠すようなヨナの手。
それを見つけたハクは、不意に手を重ね、顔を近づける。

けれども……


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離れる手、そして顔。
深く何かを達観し自分を押し殺した、切なさの漂うこの表情。

なんだよこれ!切ないだろ!寸止め過ぎるだろ!
床を転げまわるレベルで悶絶する切なさです。
切なさはプリズムって言いますけど本当ですね!(興奮しすぎて意味不明)


全編通してハクの持つ複雑な感情と、ヨナに対する想いに切なさを感じているのに、11巻最後が一番切ないとか、もう読了後は悶絶必死です。
呼吸困難です。誰か酸素ボンベ下さい!


11巻の暁のヨナは、切なさが詰まりまくった巻でした。
以前ジェハがハクとヨナの関係を、近いようで遠いと評していました。11巻の最後なんてまさにそれでした。
キジャは割と新加入キャラなのに、物語を動かす印象です。白蛇様は一途過ぎるからハクを炊きつけるというのは無理でしょうね。

最後に全く関係の無い話ですが、暁のヨナで一番可愛いのは誰だと思いますか?

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間違いなくユン君です。なんだよその言い方ツンデレか!


人の捨てられない情。「暁のヨナ」遂に四龍集結

暁のヨナ 8 (花とゆめCOMICS)暁のヨナ 8 (花とゆめCOMICS)
草凪みずほ

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剣を…抜けなかった…


暁のヨナ8巻が発売されました。
ベルセルクの三浦先生も推薦する、ファンタジー作品。

今回はヨナの派手な見せ場こそありませんが、心に響いてくる感情がありました。

四龍集結。しかしこの後は……?


黄龍が仲間になりました。
……それもあっさり。
そのへんにいた人間にご飯をご馳走したらそれが黄龍で、そのまま仲間になることに。


白龍以降は仲間になってもらうのに苦労していたのに、1話もかからないとは(笑)


伝説では体が頑丈とのことですが、ハクのパンチで血を流すあたりまだ力は未知数。
それでもヨナは、彼が纏う黄金の日だまりのような暖かい空気が、彼が黄龍である証拠だと確信していました。


四龍がそろったところで、2巻で出会った神官の元に再び向かうことに。
これからどうするか、何をするかを決めなければいけません。


予言によると、四龍が揃った時王を守護する剣と盾が目覚めるとのこと。
王とは誰か。剣と盾とは何か。


スキャン0004


神官であるイクスは、その時が来れば自ずと分かると言います。
ただ、このイクスの「ため」が気になるんだよなー


実はもう、彼には分かってるんじゃないかな。
ただそれは、今伝えるには辛い事実だったり。


その時が来る条件として、ヨナが覚悟のような何かをしなければいけない可能性もあります。
ヨナだけではなく、そろそろハクが本筋のストーリーと絡んできても良い。


ハクがヨナに対する感情を認めることが、物語を進める鍵になったりするかな?


予言にある王は、可能性としては二通り。
ヨナか、現国王であるスウォンか。


8巻後半の話を見ていると、スウォンの気もするんですよね。
剣と盾らしき人物を意図的に描いた感じがある。


とりあえず、スウォンを倒すといったのはさておき、国の苦境に押しつぶされそうになっている人を助けるとヨナは決めました。
その延長線上にスウォンがいた場合、どうするのかが気になるけど。

なぜなら、ヨナはスウォンに剣を抜けなかったから。


スキャン0005

憎い相手なのに。許せない相手なのに。
父を殺し、ヨナを城から追い出した人間なのに。


他人から見れば愚かだろう。理解できないだろう。
それでもヨナに取って、スウォンは大切な人だった。大好きな人だった。
まさに「捨てられない情」というしかない。


ただイクスも言っていますが、そんな人間だからこそ好きなんですよ。
理解できない、分からないものを持っているからこそその存在が愛しい。


ひどいことをされても、大切だった人を嫌うことができない。
人の業とも言える部分かもしれません。
凄まじく感情を揺さぶられました。簡単に割り切れるような感情じゃない。

姫として


父の残した国を守るため、武器をとることを決意したヨナ。
決してヨナに武器を持たせようとしなかった父の遺志をしってなお、自分の意志でそう決めるヨナが凛々しい。

ハクはヨナを縛っておきたいと言っていた……と言ったことを緑龍に言われたヨナ。
信じていないようですが、ハクはその逆だと告げました。


見せつけてやりたいと。
髪を捨て剣を取り、この国を支えんと、誰よりも強く生きていると。


スキャン0006


ハクだけに、姫と呼ばせ続けたヨナ。
自分が姫だったことを、覚えていてもらうために。

それだけに、この言葉は嬉しかったでしょう。
自分の頑張りを認めてくれたから。姫としてここにいることを認めてくれたから。


ハクは、姫を自分の手元に置いておきたい一方で、この素晴らしい姫を見せつけたいという矛盾した感情があるのが少し可愛い。
ヨナがどうしようもなく大切で好きなのに、その自分の感情を押し殺しているあたりが。

そういう部分でも、ヨナが姫で自分が守る者という立ち位置を崩していないのが凄い。
彼だけがずっと、ヨナを姫としているんだなと改めて思いました。


ヨナがスウォンに対する捨てられない情を吐露したのを聞いていたハク。
あの時ハクは、何を思っていたんだろうな……

8巻は黄龍が仲間になったものの進んだ感じはあまりしません。
それでも心に響く展開、言葉が詰められていました。
ヨナとハク、それにスウォンを絡めた関係は本当に気になりますね。


これを動かすのは、間違いなくハクだと思うけど。


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草凪 みずほ

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「暁のヨナ」姫であったことをあなただけは忘れないで

暁のヨナ 5 (花とゆめCOMICS)暁のヨナ 5 (花とゆめCOMICS)
草凪 みずほ

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この作品の表紙は、どの巻もそうですが本当に美しい。
4巻は愛らしさも感じさせる表紙ですが、5巻の表紙はただただ見惚れるばかりです。

人を照らす光を纏う少女


前巻で、洞窟の壁が崩れ閉じこめられてしまったヨナたち。
そんな状況で眼を見ると石になると言われていた青龍の仮面が外れ、怯える人々。


しかしそんな風に村人から怖がられている青龍は、敵意がないことを知らせるため眼を閉じ再び仮面を付けました。
さらには脱出のルートをいち早く確保しようと行動します。


外に出るために壁を掘る面々。唯一その場にいなかったハクの身を案じながら、ヨナは絶対にハクの元に帰ると強く思い脱出ルートの確保に全力を注ぎました。

ただ、密閉された洞窟の中で次第に息苦しくなる中での作業に、ヨナは倒れてしまいました。
そこで彼女を支え、別の場所へ運んだのは青龍でした。


こんなにも優しいのに、誰かを思いやっている人なのに。
里の人からは理解されていない、青龍の現状。

スキャン0023


悲しいのか、それとも悔しいのか。
その両方の感情が混じって、ヨナは涙を流したのだと思います。


だからこそ、ヨナは決意しました。
青龍が青龍として生きられる場所に連れて行くと。暗闇から連れ出すと。


ヨナのこういう芯の強さが私は好きなんですよね。
国を追われた身でも、凛とした王族というか人を導くようなオーラを感じさせます。
時には、暗闇を照らす光のような圧倒的な存在感で。


それはもしかしたら、先天的なものではなく後天的なものなのかもしれません。
秘龍王としての能力もあるかもしれませんが、個人的には痛みを知っているからだと思います。


暗闇の中にいた経験があるからこそ、その痛みを分かってあげられるのだと思います。
痛みを知っているから、癒したい。暗闇の怖さを知っているから、照らしたい。
そういうのがあるのではないかなと。
国を追われた経験さえも、本人は気づかないうちに成長の糧にしているのかなと感じました。

己が姫であったこと


青龍が旅に加わり、姫の概念がないからかヨナをヨナと呼び捨てに。
ヨナは気にせずむしろ喜び、青龍に名前がないので名前を考えようと言いました。


青龍の呼び捨て発言を受け、ユンもお姫様は字数が多いからヨナと呼んでいいかなと尋ねます。
ヨナの驚きながらも嬉しそうな表情が、本当に可愛いなあと思います。
美しく、そして可愛い。


両立することが可能なのだと感じました。草凪みずほ先生の絵は本当に素敵過ぎる。


だからこそ、ハクがヨナと呼び捨てにしそうになった際のヨナの言葉には驚きました。


スキャン0024


ハクだけには姫と呼んで欲しい
ハクの表情からも驚きが読み取れますが、ほとんどの読者も私と同じように驚いたでしょう。
ヨナはハクにも同じように、「ヨナ」と呼ばせる流れだと思っていたので。


他のメンバーとは姫として出会ったわけではない。だから、ヨナと呼ばれるのは親しさの証でもあって嬉しい。
しかしハクは、ハクだけは姫として出会った。姫である自分とハクは出会った。


誰が忘れてもハクだけは、国王である父親と自分がその娘の姫だったことを忘れないで欲しいというのがヨナの願いしでした。
ハクだからこその願い。いやハクにしか言えない願いでした。


このシーンは本当にやられたと思いました。
それまでのストーリーで続いてきた流れから来る読者の予想を、良い意味で見事にやられました。
感嘆するしかありません。本当に見事な構成でした。


忘れないでというヨナの悲しげな表情。目を伏せるハクの姿。
吸い込まれるようにこの場面は見入ってしまいました。素晴らしいの一言。


この伏せられていた時のハクの表情はどういうものだったのでしょうかと少し気になりました。
忠誠を、守ろうという決意を新たにすると共に、かつてのことを思い出していたのでしょう。
以下にヨナを大切にするかが伝わってきました。


ヨナとハクの関係は本当に大好き過ぎます。主従でありながら、それを超越した関係とでも言うのか。


この漫画のさらに素敵なところは、ヨナの凛とした部分だけではなく弱さをも描いているところです。
彼女は王の才覚を持ってはいますが、未だ成長段階にある少女。


父親を無能と言われれば悲しみます。
誰に何と言われても、彼女にとって父親は本当に大切な存在だったから。


夜更けに弓の練習をしながら、父を想い涙を流すヨナの姿はこちらも涙腺が緩んでしまいました。
強さも弱さも同居する、そういう少女の姿を描いています。もう夢中です(笑)


5巻も素晴らしい内容で大満足でした
ストーリーも、キャラクターのやりとりも本当に好き。


NGライフ 9 (花とゆめCOMICS)NGライフ 9 (花とゆめCOMICS)
草凪 みずほ

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足掻く様は人間らしく、美しい。「暁のヨナ」

私が購読している数少ない少女漫画の中でも、特に気に入っている「暁のヨナ」。


暁のヨナ 4 (花とゆめCOMICS)
草凪 みずほ
白泉社 (2011-01-19)


4巻はこんな表紙。実に素敵。
どんなに、こうしていられる時が幸せだったか。
本編とはある意味対照的な表紙です。当たり前のようにそこにあった幸せ。
今はもう、戻れない。けれど以前より逞しく、強く在ろうとするヨナの姿。それを支える人のやりとりが4巻は非常に良かったと思います。

己の無力を許さない。人間らしく足掻く姿


今までヨナを守ってきたのは護衛のハクでした。それに加えて3巻では、新たに白龍の力を持つキジャが仲間に加わり、戦力的に見ればかなりのものとなっています。
戦闘面に関しては二人に任さていれば大部分は済まされますが、ヨナはそれを良しとはしませんでした。

暇さえあれば、みんなが寝ている夜更けに弓の練習をしていました。
ハク、キジャがいれば戦いはなんとでもなる。それでも、ヨナは自分が無力でいることを許しません。
父を殺され城を逃れ、一人では世界を生き抜くことの出来ない自分を恥じて。
何をすべきか分からないこそ、もがいて、自分の出来ることは何でもしようとしているのです。


ハクは夜の練習を知らないふりをしてずっと見守っていました。
戦わせたいわけじゃない。けれど見ていたい。


スキャン0004


この何とも言えないハクの表情が素敵です。
ただ彼としても、必死に足掻くヨナの姿には何か惹かれるものがあるのでしょう。
何をすべきか分からなくても、出来ることを必死にやろうとしている人間の姿は醜くなどなくむしろ美しい。


ハクも、そういう風に感じているのだと思います。
そういうことほど、人間としての輝きも見れるのだと思います。
はっきりとではなく、鈍く光る。その輝きはまた、鮮明な光とはまた違った魅力があるのだと思います。


このハクとヨナの関係が非常に素敵なんですよね。昔からの付き合いということもありますが、守る守られるだけの関係ではないという感じが。
ハクはヨナが強く在ろうとすることまでも支えたいと思っていますし、ヨナも自分のためにハクが傷付くことを良しとせず、守りたいなんて思える関係。


読んでて思わずニヤっとしてしまうんですよ、この二人のやりとりは。
実に魅力的です。

触れた手の温かさを信じて


仲間になったキジャの能力で、他の龍の力を宿す人間の居場所が見つけやすくなり、青龍を見つけた一行。
ただキジャとは違い、青龍がいた村では青龍の存在は疎まれるものでした。


ひっそりと隠れるように生きてきた青龍。誰とも触れ合えず、誰にも理解されず。
自分の力は呪われていると嘆き、ヨナを自分が求めていると分かっても、ヨナを拒み去れと言いました。
けれど、ヨナは手が温かったと言いました。


スキャン0005


呪われた力を持っていたとしても、それを拒んだりはしない。
自分が必要だと思ったから。触れた手が温かかったから。
このヨナの凛とした表情がたまらない。呪いなんで気にしないということが、言葉以上に伝わってきます。


ハクとのやりとりは可愛いなあなんて思って見ていますが、ヨナのこういう表情、意思の強さを感じられるシーンはカッコいい。
「自分」というものを持っているのだなあなんて感じました。


力で言えば、ハクやキジャにはとうてい叶いません。
けれど、意思の強さという点に関しては彼女は二人に負けないくらい強くなった気がします。
元々、そういう素質があったからだと思いますが。


自分の目で、体で判断して受け入れる王者の資質とでも言うべき何かが。


4巻も非常に素敵な内容でした。大満足です。
やはりファンタジーは素晴らしい。これは本当に男性でも読めるだろうと私は思っています。
ハクはきっと、ヨナが思っている以上に様々なことを思いながらヨナを守っているだろうなあ。
そういうことを描いているシーンも実に見ごたえがあります。


本当に素敵な漫画です。マーベラス。


暁のヨナ 1 (花とゆめCOMICS)
草凪 みずほ
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NGライフ 1 (花とゆめCOMICS)
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