私が購読している数少ない少女漫画の中でも、特に気に入っている「暁のヨナ」。
4巻はこんな表紙。実に素敵。
どんなに、こうしていられる時が幸せだったか。
本編とはある意味対照的な表紙です。当たり前のようにそこにあった幸せ。
今はもう、戻れない。けれど以前より逞しく、強く在ろうとするヨナの姿。それを支える人のやりとりが4巻は非常に良かったと思います。
己の無力を許さない。人間らしく足掻く姿
今までヨナを守ってきたのは護衛のハクでした。それに加えて3巻では、新たに白龍の力を持つキジャが仲間に加わり、戦力的に見ればかなりのものとなっています。
戦闘面に関しては二人に任さていれば大部分は済まされますが、ヨナはそれを良しとはしませんでした。
暇さえあれば、みんなが寝ている夜更けに弓の練習をしていました。
ハク、キジャがいれば戦いはなんとでもなる。それでも、ヨナは自分が無力でいることを許しません。
父を殺され城を逃れ、一人では世界を生き抜くことの出来ない自分を恥じて。
何をすべきか分からないこそ、もがいて、自分の出来ることは何でもしようとしているのです。
ハクは夜の練習を知らないふりをしてずっと見守っていました。
戦わせたいわけじゃない。けれど見ていたい。
この何とも言えないハクの表情が素敵です。
ただ彼としても、必死に足掻くヨナの姿には何か惹かれるものがあるのでしょう。
何をすべきか分からなくても、出来ることを必死にやろうとしている人間の姿は醜くなどなくむしろ美しい。
ハクも、そういう風に感じているのだと思います。
そういうことほど、人間としての輝きも見れるのだと思います。
はっきりとではなく、鈍く光る。その輝きはまた、鮮明な光とはまた違った魅力があるのだと思います。
このハクとヨナの関係が非常に素敵なんですよね。昔からの付き合いということもありますが、守る守られるだけの関係ではないという感じが。
ハクはヨナが強く在ろうとすることまでも支えたいと思っていますし、ヨナも自分のためにハクが傷付くことを良しとせず、守りたいなんて思える関係。
読んでて思わずニヤっとしてしまうんですよ、この二人のやりとりは。
実に魅力的です。
触れた手の温かさを信じて
仲間になったキジャの能力で、他の龍の力を宿す人間の居場所が見つけやすくなり、青龍を見つけた一行。
ただキジャとは違い、青龍がいた村では青龍の存在は疎まれるものでした。
ひっそりと隠れるように生きてきた青龍。誰とも触れ合えず、誰にも理解されず。
自分の力は呪われていると嘆き、ヨナを自分が求めていると分かっても、ヨナを拒み去れと言いました。
けれど、ヨナは手が温かったと言いました。
呪われた力を持っていたとしても、それを拒んだりはしない。
自分が必要だと思ったから。触れた手が温かかったから。
このヨナの凛とした表情がたまらない。呪いなんで気にしないということが、言葉以上に伝わってきます。
ハクとのやりとりは可愛いなあなんて思って見ていますが、ヨナのこういう表情、意思の強さを感じられるシーンはカッコいい。
「自分」というものを持っているのだなあなんて感じました。
力で言えば、ハクやキジャにはとうてい叶いません。
けれど、意思の強さという点に関しては彼女は二人に負けないくらい強くなった気がします。
元々、そういう素質があったからだと思いますが。
自分の目で、体で判断して受け入れる王者の資質とでも言うべき何かが。
4巻も非常に素敵な内容でした。大満足です。
やはりファンタジーは素晴らしい。これは本当に男性でも読めるだろうと私は思っています。
ハクはきっと、ヨナが思っている以上に様々なことを思いながらヨナを守っているだろうなあ。
そういうことを描いているシーンも実に見ごたえがあります。
本当に素敵な漫画です。マーベラス。