まずは見てくださいこの表紙。圧倒的おじさん率。
ウソみたいだろ。少女漫画なんだぜ、それで……(失礼)
なんてタッチのネタがやりたくなるくらい、少女漫画っぽくない表紙です。
作者もカバーのコメントでそれを心配するレベル。実際、この巻はおじさん大活躍なんですけど。
荒野で王の夢を見た
第73話のタイトルが上に書いてるやつなんですけど、私はこのタイトルが凄い好きです。
火の部族長は正に、夢を見たのだと思います。その夢は、叶うことはありませんでしたが。
戦いは序盤こそ火の部族が優勢でしたが、グンテが加勢にきたことで立場は逆転。
空の部族が攻勢になりました。
カン・スジンの誤算は、グンテと王が信頼関係をすでに築いていたことにありましたが、王を侮っていたこととグンテを知りすぎていたことが原因だったように思います。
普通に考えれば、王都を攻める際自軍(空の部族)だけでは対応しないと読むでしょう。
奇襲とは言え、増援を呼ぶというのは充分考えられると思います。
しかし、地の部族は予想していなかった。それはグンテが、認めた王にしか従わないことを知っていたから。
かつては共に戦ったグンテとスジン。
そこには友情はなくても、一定の信頼があったことがグンテから伺えます。
その辺りは、何ともやるせない気持ちになりましたが。
そんな劣勢に立たされたスジンの元に、今度はヨナ達が立ちはだかります。
四龍の圧倒的な力で、兵士たちを次々と倒していくヨナたちの動きはスウォンたちにも伝わりました。
また、出会ってしまった。しかし今度は、必然の出会い。
阿波で会った時には、震えることしかできなったヨナ。
しかし今度は逃げることなく、瞳は彼の姿を捉えていました。
ヨナが見ていたのは、スウォン一人でした。
しかしスウォンが見ていたのは、ヨナ一人だったかは定かではありません。そのすぐ側に、かつての親友であるハクがいましたから……
ハクもヨナに続いて、スウォンの存在を認知しました。溢れ出るのは、殺意。もしくは、それを孕んだもっと複雑な想いか。
槍を強く握りしめる描写は、これが愛憎入り交じる感情なのだと強く読者に訴えています。
役目を終えたヨナたちは、その後すぐに撤退します。
決着をつけるのは自分たちではないと、ヨナは理解していたのでしょう。
この造反は、最後は火の部族の兵士による、部族長殺害で幕を閉じました。
ヨナたちにとっては今回が初めての大きな戦ということもあって、仲間たちの傷はなかなかに大きかった模様。
特に前線で速攻しているキジャは、ダメージが大きいようです。
その中で、ハクの怪我は軽微というあたり、流石は元部族長という貫禄です。
四龍やハクの力は強大ですが、それを戦場でどのように使うかという点で、ハクは慣れていることもあってか他に比べ抜けているように感じました。
ハクの手当をするヨナは、改めてハクに感謝の言葉を伝えます。
全てを捨てて、自分を守ってくれることを選択したハク。
その存在がヨナにとってどれだけ大きいかが、このシーンから伝わってきます。
戦場に舞った鷹は、かつてハクとスウォンが育てたもの。
知らないと嘯くハクの強がりは、ヨナにも当然伝わっていました。
親友と戦わせることの辛さを、優しい彼女は慮ったのでしょう。
このあまりにも自然に互いを思いやる彼らの姿は、フィクションだろうが何だろうが純粋に美しいと思っています。
優しさで胸が満たされてしまうようなシーンが、この漫画の隠れた魅力だと私は力説しても良い。
恋の芽生え始めは、なぜこんなにも素敵なんだろうか
11巻くらいから、ヨナのハクへの気持ちが話題になっていました。
この巻から、それは明確な形になり始めます。
恐らく戦争で武器やら治療などにお金がかかり、貧乏に拍車のかかったヨナ一行。
ユンくんの命令で、客引きを行います(お店はユンくん)
ジェハは得意の話術に女性を引き込み、キジャとシンアもジェハの口車に乗る形で、その美貌で客引きを行いました。
さてハクは?ということですが、一人に声をかけたらなぜかたくさん連れてきてしまう人気ぶり。
かつてスウォンに人を惹きつける何かを持っているとハクは言いましたが、ハクもまたスウォンとは違った魅力で人を惹きつける力があるのだと思いました。
どうでも良いけど、控えなモブの女の子がもの凄く可愛いので、詳細が知りたい(ぉ
積極的なお姉さま方は、もうハクに興味津々です。買うからおまけを、なんて要求するほどの熱心です。
そのおかげで、ヨナの可愛い反応が見れて大満足なんですけどね!!
あ、この女の子も可愛いけど162ページのモブの女の子は更に可愛いです(しつこい)
ハクが他の女の子と一緒にいる姿を見るのを避けて、抱きしめたのを見た時に走る胸の意味。
うん……これはアレですね。「こ」から始まって「い」で終わる現象に限りなく近いですね。
何となくその場を離れるヨナを、静かに追うジェハ。
彼だけが、ヨナの想いに気づいていました。それは多分、ジェハがハクに近いレベルでヨナをよく見ているからでしょう。
ハクが他の女性を抱きしめる姿を「イヤ」と思ったヨナ。
そう思ったことに、彼女自身が驚いていたみたいですが。
ハクを縛るからその気持ちはダメだというヨナに、キジャはこう告げました。
ジェハもまた、何かを押し殺しているのがこの評定から伝わってきます。
ハクとヨナの絆の深さを、自分で言いながら実感しているかのような。
悔しさ、あるいは羨ましさのようなものを恐らく感じているのでしょう。
色恋沙汰に詳しそうなジェハですが、本気になったことはないのだと思います。
自分のヨナへの気持ちが恋であることを薄々感づいていながらも、竜の血のせいにしてしまうあたり。
ああ、この切なさもまた、たまらない。。。
で、本当はここで単行本感想を終えようと思ったんですが、やっぱりヨナの可愛さにもっと触れたい……ということでもうちょっとだけ続くんじゃ(長くなるフラグ)
ハクが客引きから開放され、市場を見て回らないかと誘われたヨナ。
あああもう、可愛すぎる!!
…いいわよ?じゃなくて行きたいでしょ本心は!
暇だから仕方なく付き合ってあげるわ、的な言い方ですけど表情がもう嬉しさを隠しきれてないです。
ハクが自分をかまってくれているのが、内心嬉しくて仕方ないヨナがもう可愛い。
前半のおっさんたちの戦いのカッコ良さを忘れてしまうくらいに可愛い(ひどい)
全巻通してもトップを争うレベルの可愛さでした。
恋が芽生え始めた少女はもう、世界遺産級の可愛さですね!
最後に私のテンションが上がってしまいましたが、この巻も非常に読み応えのある巻でした。
世界観と内容がしっかり練ってあるので、感想も呼応するように長くなってしまいました(笑)
少女漫画という括りを考えずに、もっと多くの人に読んでもらいたい作品です。オススメ。