こじらせる。
私たちは、この単語をあまり良い意味で使わない。
真っ直ぐなものを正しいものとして、そうではないものを否定しがちである。
こじれていない恋とは何だろうか。
素直に想いを伝えられる恋だろうか。何の障害もなく、好き同士が両想いになることだろうか。
それは間違いなく、幸せな恋だ。
否定するつもりは全く無い。
だけど、こじらせた恋がそれに劣るとは思わない。
真っ直ぐじゃないからなんだ。
こじらせたって、恋は恋なのだ。
こじらせた分だけ、輝く恋だってきっとある。
初恋ゾンビのこじらせた恋模様は、読者の頬を滅茶苦茶ニヤニヤさせる破壊力がある。
というわけで、こじれにこじれた初恋ゾンビ5巻の恋模様を振り返ってみましょう。
1巻感想
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2巻感想
脳内彼女×省エネ男子×男装女子+◯◯◯◯!初恋を紐解いていく「初恋ゾンビ」が面白い! - いつかたどり着く
3巻感想
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4巻感想
ドキドキが丸見え。「初恋ゾンビ」が素晴らしいラブコメなんだ! - いつかたどり着く
指宿くんは、まっすぐに想えない
指宿くんは男装女子です。基本的に、自分が男だと偽っています。
だからこそ、タロウと真っ直ぐな恋愛ができません。
しかし、5巻では遂に物語の核心部分である、イブが生まれた瞬間、つまりはタロウが初恋を迎えた瞬間が描かれました。
指宿くんが、タロウに思い出して欲しいことがこの部分に詰まっています。
二人が出会った、思い出の英語教室。
女性の姿で、指宿くんは再びそこでタロウと出会います。
思い出して欲しくて、流れる涙。
想いが届いて欲しくて。本当のことを伝えたくて。
指宿くんの表情に、ドキッとしているタロウがまた良い。
タロウはこの状態の指宿くんも、女装している男だと思っています。
男だと思っていてなお、ドキドキさせる指宿くんの魅力。そして未だ消えぬ恋心。
このシーンだけで、こじれた初恋であることが伝わってきます。
また、江火野さんとタロウの関係性が少し変化を見せていて、それに指宿くんが少し危機感を持っているのがまた良い。
江火野さんがスカート穿いていることに真っ先に気づくあたり、無意識にライバル視しているのかもしれません。
ただし、指宿くんのライバルは江火野さんだけではありません。
タロウの初恋ゾンビである、自分がモデルとなっているイブもまたライバルです。
観覧車デートをするタロウとイブを見て、江火野さんに対し、聞こえない声でぼそっと呟くシーンが印象的です。
明確に、形となって存在する初恋。
それは他のヒロインからすれば、強敵以外の何者でもないでしょう。
モデルである自分でさえ、超えられるかは分からない。
イブはもはや、指宿くんとは別の存在になっていて。
せめて、真っ直ぐ気持ちを伝えられるようになれば。
そう思っているかもしれません。
でもね、指宿くんの想いは、もう隠しきれず溢れてきている。
このシーンとか完全に乙女。
タロウと夏休み前に会話したくて、下駄箱前でまっている姿とか。
高等テクニックまで使って、タロウを待っている指宿くんが可愛い。
で、出たー!必殺の靴箱カチャカチャテクニック!
ここの指宿くん、完全に思春期の乙女である。
長期休みになると、遠出する指宿くんはタロウに会えないので、その前に会って話がしたい。
気持ちはよく分かるんだけど、指宿くん自身がその気持ちを認められていなくて。
こじらせた指宿くんの恋に、乾杯。
もうきっと、「ただの」幼なじみじゃない
幼なじみの恋もまた、難しい。
近いが故に、こじらせることもある。近くて遠いのが、幼なじみだ。
だからこそ、そのある意味ではこじれた関係を超えて、近づいていく心に私たちは惹かれるのだ。
そんな幼なじみである、タロウと江火野さん。
夏祭り。二人きり。
指宿くんも同じ会場に偶然やってきているのに、江火野・タロウ組とは出会わない。
江火野さんよる、エンペラータイムが発動する。
繰り返しになりますが、タロウにとって江火野さんは、幼なじみです。
その関係は、子供の時から変わることはありません。
異性として意識したことはなく、むしろ同性に近い感覚だったかもしれません。
でもふとした時に気づく。隣にいる幼なじみが、ただの幼なじみでないことに。
魅力的な異性であることに。
一瞬呼吸を忘れるくらい、魅せられる。
完璧にタロウ視点なので、もうどれくらいタロウが魅せられたかが分かってしまうんですよ。
花火を見ている江火野さん以外、目に入らなくなっていて。
この次のページがまた良い。
上記コマでは隠れていてよく分かりませんが、江火野さんの帯の部分に、タロウがプレゼントしたエビのキーホルダーがつけられていて。
渡した時の、江火野さんの笑顔を思い出して。
そしてタロウが江火野さんの浴衣を褒める時、世界が変わる。
読者が江火野さんに恋した瞬間でした。
赤面する幼なじみが可愛すぎて辛い。って私の人生で一度で良いから言ってみたかったです。
実際、この話では初めてイブがタロウが意識を失う以外で、眠りにつきそうになる描写があります。
タロウが江火野さんを異性として意識したのが、明確に伝わってきました。
タロウが江火野さんを見て褒められなかったのは、きっと花火を見ていたからじゃない。
江火野さんが非常に可愛い話なのですが……まだだ。
恐ろしいことに、まだ凄いシーンがあるのだ。
帰り道、江火野さんはタロウに、こんなことを言います。
ちょっと甘酸っぱい、青春の1ページだな……という印象でしょうか。
ただし、それは前提をちゃんと知らない場合です。
このセリフを発するまでの、江火野さんの姿を見てから、もう一度このセリフを聞くともう、最上級の青春となるのだ。
ただの「またね」じゃ終わらないように、タロウからもらったプレゼントを握りしめて。
何でもない顔の裏に、少女の勇気が存在しているのだ。
小さく、しかし確かな一歩を江火野さんは踏み出して、あのセリフを発するのだ。
なんだこの漫画最高か!
甘酸っぱすぎて、胸が苦しい。
叫びたくて、枕に顔を押し付けて必死に声を押し殺す。
それほどの破壊力が、このシーンにはありました。
声を大にして言いたい
これはまさしく、珠玉の青春ラブコメディーである、と。
終わりに
5巻から溢れるこじれた恋模様に、圧倒されてしまいました。
特に、江火野さんです。ここにきて、一気にヒロイン力を高めてきました。
何か真っ当な恋愛ものみたいな感想になりましたが、これはラブ「コメディー」です。
だからこんなシーンも有る。
ヒロイン二人に挟まれたいだけの人生だった(ドン!
ちなみに5巻表紙で、ツインテールの娘は、指宿くんの膨らみがしっかりアピールできたと満足顔です。
……よくよく見たら、確かに膨らみあるな(笑)
ここまで頑張らないと、確認できない膨らみ……頑張れ指宿くん!
当ブログは、指宿くんの胸の成長も応援しています!でもそこは、ある意味アイデンティティーだから割り切ろう(本音)
あ、表紙の虫眼鏡ってそういうこと……?
※絶対に違います
雑誌掲載時の感想
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