暁のヨナ21巻は、はっきり言ってこれまでで一番凄い。
16巻のハクとスウォンの邂逅を超えるシーンは、もう出てこないとさえ思っていたのに。
それを軽々と超えるシーンを描いてくるから、この漫画は恐ろしい。
20巻の続きで、隣国に攫われてしまったヨナとリリ。
救出しに向かっているのはハクたちだけではなく、スウォンたちもまた、ヨナたちの捉えられた砦に攻め入ろうとしていました。
20巻感想
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そして、ハクとスウォンはもう一度出会ってしまう。
かつて夢見た未来の欠片が、そこにはありました。
夢見た未来
かつてハクは、スウォンをヨナを支えるために、彼らが統べる国を守るために、鍛錬を重ねてきました。
スウォンとハク。
親友であり、共に並び立てるように切磋琢磨してきた過去があり。
彼ら二人が揃えば、困難も乗り越えられる。
そんな思いが、少なくともハクにはあったはずです。
いや、例え並び立つ未来が来ないと知っていても、スウォンもまたそう思っていたことでしょう。
リリが処刑されそうになったとき、スウォンは彼女の首にかかった縄めがけて、弓を射ろうとします。
しかし彼女のいる場所は高く、縄が切れた瞬間に下に落ちてしまい、ただではすまない。
スウォンも誰かが受け止めないといけないことは、当然理解していました。
時間的猶予もなく。
それはまさに、刹那の思考。
その刹那を、共有できる人間が、その場に一人だけいて。
ハクは、今の詳細な状況など少しも見えていません。
目の前にいる敵をなぎ払い続け、広がった視界にいたのは、宿敵ともいうべきかつての親友。
理解できるはずがない。
理解できるはずがないのに、目があった瞬間、ハクは理解してしまった。
憎い相手にもかかわらず、彼が何をしようとしているのかが、分かってしまった。
ハクの顔に陰りがあるような描写ですが、これ最初は憎しみの現れかと思ってたんですよ。
でも、今読み返すと少し違う。
多分これは、理解できてしまったことへの苛立ち。
縄が切れる瞬間のハクの口元が、それを証拠付けているように感じました。
またこの場面、ハクと目があっているスウォンが2回描かれているんですよ。
ハクがスウォンの思考を理解したように。
スウォンもまた、ハクが自分の思考を理解したことを理解して。
この瞬間に、スウォンはハクを信じていたのでしょう。
刹那の瞬間、思考を共有した二人。
それを間近でヨナは見ました。ずっと二人を見てきた、ヨナだからこその思いがあって。
3人でいられた時間を、思い出す。夢見た未来を思い出す。
それは多分、夢見た未来にあったはずの光景。
見とれた。
それはヨナだけではありません。
まるで、英雄譚に一説に載るかのようなシーンで。
その場にいた誰もが、その光景に見とれていた。
しかし、このシーンはどこまでも悲しい。
それが、かつて夢見た未来の欠片であることを、ヨナは誰よりも理解しているから。
それがもう、届かない未来の欠片であることを、誰よりも理解しているから。
ハクとスウォンの一連の流れは、本誌で読んだときから鳥肌が止まりませんでした。
誇張抜きに、呼吸するのを忘れて魅入ってしまいました。
それくらい、凄いシーンで……圧倒される。
感想書くために21巻を読み返していますが、このシーンを何度も何度も読み返してしまう。
この記事読んでる人の大半は、暁のヨナ読者だと思います。
だから、この後もう1回21巻読んで、一緒に打ちのめされよう。
触れたくて、側に
戦いが終わると、ハクが仲間たちに強烈なハグをしかけています。
何というか、一人でヨナを守ろうとしていた時期があるだけに、妙に微笑ましい。
ハクに取っての、帰る場所。風の部族以外の、もう1つの家族。
ムンドクの前でそれを認めているあたり、おじいちゃんには隠せないから、少し素直になっているのかもしれない。
ちょっとだけ、戸惑っている感じもありますが(笑)
仲間たちに対しかなりフレンドリーに接するハクは相当レアですが、ヨナはそれがちょっと羨ましくて。
二人きりの夜に、「ハクに触れたい」との爆弾発言。
色々テンパって取り消そうとするも、ハクに力強く引き寄せられたらもう抗えない。
理由をつけたって、触れたい、側にいたいという気持ちが勝ってしまうのだから。
この辺はもう、読者に対するご褒美です。
ヨナの可愛さを、存分に堪能しました。
強引に抱き寄せられて、文句を言っても。
ハクが笑っている顔を、じっと見つめて。
ふと見つめ返されたときに、少しドキッとして。
私はただ、枕を殴りながら悶えることしかできませんでした。
ハクと二人きりのときに見せる、ヨナの乙女の表情の破壊力が凄まじすぎて。
シリアスな場面では本当に凛々しいヨナですが、可愛さも持ち合わせているから困っちゃうんですよ(笑顔)
呼吸をするのは苦しく、言葉を紡ぐのさえ怖くなり。
それでもハクに、近づきたくて仕方ない。
読者の胸が摩り下ろされるような、そんな恋の仕方をしているようです。
私の心臓が読むたびに止まりそうです。
暁のヨナが無事完結するまで、死んでも生きるけどな。
終わりに
漫画感想を書く時は大体ぽえみーな文章になりますが、暁のヨナ感想時のぽえむっぷりは我ながら凄いな(笑)
これをネットの海に流すのはちょっと恥ずかしくはありますが、同じ暁のヨナ好きの方に届けば良いなと、ぼんやり思っています。
良い作品読んだら、ポエム書きたくなんだよ!!
花とゆめを購読しているので、22巻にも素晴らしいシーンが収録されることを、すでに知っています。
もう楽しみしか無い!
あと何回も書くけど、今一番切ないキャラは多分ジェハ。
21巻も随所にそれが出ているから、もっかいチェックしてみて下さい。