甘酸っぱさの後に、苦しさが来て。そして切なさと愛しさがが溢れる。
それが、私の「神様がうそをつく」に対する、率直な感想です。
そのへんは、昨日マンガHONZで記事を書いてます。
書き終わったあと、少しブログでもこの漫画に触れたくなったので書きます。
悪いことだと分かっていても、それしかできない状況にあったとしたら。
大人ならば、そんな状況になる前に何かすべきだったと言えるでしょう。
しかし力の無い子どもに、そんな正論を簡単にぶつけられない
拾った猫が家では飼えず、途方にくれていた少年・なつる。
偶然出会った同級生の少女・理生の家で猫は飼えることになりましたが、彼女は小学生の弟と二人だけで暮らしていました。
疑問には思いつつも、彼女と過ごす日々が楽しくて、深くは考えられていなくて。
甘酸っぱい、青春が繰り広げられる。
年頃の男女が、少しずつ心を通わせ、惹かれ合っていく。
そんな中で、明かされる理生の秘密。
その秘密は、少女が一人で抱えるにはあまりにも多すぎて。
それは、秘密にしてはいけなかった。
秘密にしていることは、明らかに間違いだった。
でも彼女には、守りたいものがあった。
壊したくないものがあった。
だから、彼女はその秘密を一人で抱えることにした。誰にも知られないように。
間違いだと言うことは、誰にでも分かる。
しかし私たちは、ゆずるの言葉に何も返すことが出来ないのだ。
読み終わってしばらく経った今でも、返す言葉は見つかっていない。
間違いだと分かっていても、正しくあれなかった少年少女。
それでも、それぞれが大切にしたかったこと、守りたかったものが、どうしようもなく分かってしまう。
二人の不安と愛しさが入り混じった感情が溢れたシーンは、流れた涙の熱さえも伝わってくるほどに。
不思議なタイトルは、物語の最後で回収されていく。
神様も時々は嘘を付くのだ。
愛しているから、せいいっぱいの嘘をつく。
私たちは、その嘘に手を伸ばし生きている。
どこかで嘘と知りつつも、それでも手を伸ばすのだろう。
読み終わった後、込み上げてくるのはのは切なさと、そして愛しさのはず。
凄い漫画なんです。
何度も何度も、読み返したくなるほどに。