いつかたどり着く

漫画を中心とした感想&レビューサイト。

駄菓子への愛しかない。「だがしかし」を読むのが楽しくて仕方ない件

だがしかし2巻が、発売されましたね(3月に)

だがしかし 2 (2) (少年サンデーコミックス)

だがしかし 2 (2) (少年サンデーコミックス)


下記のような記事を書いておきながら、肝心の単行本感想はまだでした。

gannbarenai.hatenablog.com


ということで、もはや需要もそんなにないかもしれませんが、2巻の感想です。
注目ポイントは、やはりほたるちゃんの表情です。

溢れる駄菓子への愛


正直、駄菓子漫画というコンセプトは斬新だったものの、1巻ですでにピークがきていると私は思っていました。
駄菓子ネタでそんなに続くわけがない……と。


それは大きな間違いでした。
ただ駄菓子を紹介するのではなく、そもそも駄菓子とは何かというちょっと深い部分まで踏み込んできます。

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駄菓子の食べにくさ、オマケ的な機能の多さは、いかに長時間楽しめるかという側面を追求した結果というもの。
思わず納得してしまいました。


実際、この話で紹介されているセブンネオンは食べ辛くて仕方ない。
それがまた、「どうやったら効率よく食べられるか」という遊びに、またつながっていくのかな。


ただ食べるのではなく、いかに楽しむかというのが駄菓子の大きなテーマだということを、この作品に教えられました。


また、駄菓子というテーマを描く上で面白かった話がもう1つ、ヤンヤンつけボーの回です。
私は率直に、ヤンヤンつけボーは駄菓子だと思っていました。


だがしかし、話はそう簡単ではありません。

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そう、面白さと対をなす重要な駄菓子の要素、値段です。
子供のお駄賃というと、たいてい100円以下というイメージです。


その範囲で買えるものが、駄菓子ではないのかと問われれば、少し考えてしまう。
まさか、この漫画に考えさせられるなんて(失礼)


この漫画、駄菓子愛に満ちあふれてやがる……


そもそも、こんなに駄菓子を美味しそうに食べる美少女、日本中の漫画探してもいない。


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5円チョコを食べた時の表情じゃないよ!
日本一、駄菓子を美味しそうに食べる女の子はほたるさんで間違いないね。


だがしかしを読むと、本当に駄菓子が食べたくなってきます。
また駄菓子バーに行くしかないなこれは!


gannbarenai.hatenablog.com


ほたるさんが可愛すぎて……春


ネット上では美しい脚線美を持つサヤ師ファンが多いようですが、私はほたるちゃんファンです。
人気投票があったら、千葉県のFさんと言われるくらいに投票するよ!
yamakamu.com


そんな冗談はさておき、2巻でもほたるちゃんの可愛さ大爆発です。
もうね、ずっと楽しそう。
駄菓子に関わることを、いつも全力で楽しんでいる。キラキラっぷりが素晴らしい。


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見よ、この輝くパジャマ姿を!
ほたるさんのパジャマ姿が、素直に眩しい。
女の子のパジャマ姿って、何かドキドキするよね(こじらせてる)


そりゃあね、チラっと見ちゃうよ。男の子だもの。

家に遊びに行った時の部屋着もまたトキメキました。


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イグニッションしちゃうね。これは。点火された。
この無防備っぽさがね、逆に色気を感じさせます。こんな素敵イベント、どうやったら起こせるんだ……


サヤ師の足は確かに素晴らしい。だがしかし。
ほたるちゃんのおっぱいには勝てない、勝てないのだ……


ココノツくんが、最近友人相手にはそのスケベっぷりを隠さなくなってきたのが良い。
あの胸の前に、僕たちは正直にならざるを得なくなる。



こんなにほたるちゃん可愛いと連呼している私ですが、ヒットしている理由が「駄菓子×美少女」というのがうけたで片付けられるとちょっと怒ります。
駄菓子への愛と、テンポの良いギャグと、イキイキとしたキャラクター。


漫画として面白いから、人気なんです。女の子が可愛いから人気、というのは理由の1つで全てじゃない。
単行本で読むと、より楽しい漫画だと思います。

まとめ

ほたるちゃんは、駄菓子コンシエルジュとかに就任すべき。


だがしかし(1) (少年サンデーコミックス)

だがしかし(1) (少年サンデーコミックス)

明治 ヤンヤンチョコ 48g×10個

明治 ヤンヤンチョコ 48g×10個

少年漫画に「努力」は必要なのか

ちょっと煽っているようなタイトルになっていますが、なんでこんなことを書くのかという説明を簡単に。


少し前に記事を書いた天狼院という書店で、「ヒットする漫画」というものをテーマに、好きに漫画を語ろうというイベントが開かれました。

そこの内容を詳細に書くのは、趣旨的に良いのか分からないので控えますが、その中で最近はジャンプでさえ、努力する部分が描かれないこともあるというような意見が出ました。


最近のヒット作ということで、進撃の巨人をベースに話が進むことが多かったのですが、ジャンプも努力描写は省くし、進撃の巨人だってないよね……という話に。

※どうも、ドラゴンボールの亀仙人の元での悟空が行う修行編的なものを、努力として捉えていた印象


その背景としては、「努力」を必ずしも評価しない価値観がビジネス書などによって作られているというものでした。
努力は必ず報われるものではなく、結果が出ない努力は意味がないというような。


それが正しいかは私には分かりませんが、何となく分かる部分もあります。
ということで、最近の少年漫画の「努力」をちょっと考えてみたいと思います。

進撃の巨人の努力

進撃の巨人(16) (講談社コミックス)

進撃の巨人(16) (講談社コミックス)


分かりやすく修行編というのはないかもしれませんが、そもそも1巻で訓練してたりするんですよね。
巨人になれるようになったあとも、それをコントロールできるようにしようとするなど、修行編という形ではなくとも、努力しているのは読んでいて伝わってきます。


「努力」しているということを、ことさらアピールしている描写はありませんが、作中の端々に努力の跡を感じられると私は思います。

「友情・努力・勝利」のジャンプから、「努力」はなくなったのか

そもそもなぜ、ジャンプからも努力がなくなったかという話になったかというと、ワンピースは2年間の修行をカットしたからというもの。
ジャンプの定番で「努力」の象徴であった修行編を描かなかったので、ジャンプでさえ「努力」はなくなりつつあるというものでした。
確かに、分からなくはありません。


ただ私は描かなかったことは確かにしろ、ワンピースもまた修行→強化のジャンプサイクルを守っているのだと感じました。
何というか、「努力」の描き方が変わってきているというのが私の印象です。


修行編と呼ばれるほど、練習や訓練の描写を何周も書くようなことは減ってはいるのかもしれません。
その中で、どうやって限られた話数の中で「努力」して成長したのかという、見せ方が重要になっている気がしています。


トリコや最近まで連載していたNARUTOのように、王道的な修行編がある作品ももちろんあります。


面白いのは、食戟のソーマです。

食戟のソーマ 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

食戟のソーマ 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)


大会に敗れたソーマは、自分に足りないものを探し始めます。
それを学校の課題と合わせて、描いているんですよ。学校から課せられた課題をクリアしながら、自分に足りないものを身につけていく。


明確な「修行編」というわけではありませんが、ストーリーの自然な流れの中で、結果として修行に繋がるという展開を見せています。そもそもこの漫画は、創意工夫をしている段階で、強い努力を感じさせます。


暗殺教室なんかは、ほぼ全編修行みたいなものですよね(笑)
殺せんせーとの授業を通し、生徒は各々のスキルを磨いていく。
ある意味では、「修行」をテーマに描いていると言っても良いかもしれません。生徒は果たすべき目的のために、努力をする。
努力する姿があまり辛そうに見えないから、この漫画で「努力」を意識することはない人もいるのかもしれませんが。
これもまた、1つの「努力」の描き方かなと思っています。


少年漫画に「努力」は必要なのか、私には判断できません。
ただ、「修行編」というような話数を割いた描写は少なくなったかもしれませんが、見せ方が変わっただけで、多くの少年漫画に「努力」が見られ、その先の成長に繋がっているのではないかなと考えています。


一部の漫画しか挙げられていないので、説得力薄いけど(笑)
サンデーとマガジンのそういうのも、書いてみたいな。


余談
まあこんな記事、その場で言えよという話かもしれませんが、コミュ症なので(笑)
帰宅後に、こうじゃないかなという考えをまとめてみました。こういう考えもあるよ的なくらいで(予防線)


暗殺教室 13 (ジャンプコミックス)

暗殺教室 13 (ジャンプコミックス)

努力論

努力論

「だがしかし」2巻に登場した駄菓子も大体Amazonで買える

gannbarenai.hatenablog.com


だがしかし2巻が発売されたので、またもや駄菓子が食べたくなりました。
近所には駄菓子屋がないので、通勤経路にないか調べてみます。やっぱり駄菓子は駄菓子屋で買いたい。
以下は自分用の買い物メモ。


・わくわくスマートフォン(こんな駄菓子が今はあるのか……)

わくわくスマートフォン 6個入り BOX (食玩・清涼菓子)

わくわくスマートフォン 6個入り BOX (食玩・清涼菓子)


・セブンネオン(マジで食べ辛い)

マルヨシの セブンネオン (1袋は30小袋入り)

マルヨシの セブンネオン (1袋は30小袋入り)


・さくら大根(今度ご飯と一緒に食べてみるか)

さくら大根 (20袋入り)

さくら大根 (20袋入り)


・モンスタースタンプ(ほたるちゃんの舐めたスタンプで押されたい)



・ヤンヤンつけボー(これ結構楽しいよね)


・ヤッター!めん(ふたが少し凹んでいると当たりやすいとか言う都市伝説)


・ボンタンアメ(年間1300万個の売上とか凄い)


・アメリカンコーラ(公園の水道使って飲んだことあったなあ)


・超ひもQ(手を使わずに食べきるみたいなことをやってた)

明治 超ひもQコーラ&ソーダ味 1本×20袋

明治 超ひもQコーラ&ソーダ味 1本×20袋


・わたパチ(おばあちゃんにねだってよく買ってもらってた。パチパチ感が楽しい)

明治 わたパチグレープ 12g×10個

明治 わたパチグレープ 12g×10個


・すっぱいぶどうにご用心(4人で遊んでた時にこれ買って来て、一人仲間はずれにしちゃった。ごめん)

明治チューインガム すっぱいぶどうにご用心 3個×20袋

明治チューインガム すっぱいぶどうにご用心 3個×20袋


・キャベツ太郎(たまにお酒のおつまみにしてる)

菓道 キャベツ太郎 14g×30袋

菓道 キャベツ太郎 14g×30袋


・味カレー(実は食べたことない)

大和製菓 味カレー 10g×30袋

大和製菓 味カレー 10g×30袋


・けん玉(駄菓子屋においてあったか記憶に無い……)

※食べられません


・メロンボール(Amazonじゃ買えないから楽天リンクで)

review.rakuten.co.jp


・ねるねるねるね(体にわるいからやめろって親に言われる代名詞的な駄菓子)

ねるねるねるね ブドウ味 10個入 BOX (食玩・知育)

ねるねるねるね ブドウ味 10個入 BOX (食玩・知育)


・面白ボーイ(凄い名前だなしかし)

・チョコベビー(アポロチョコもそうだけど、冷蔵庫で保管してた)

明治 チョコベビー 34g×10個

明治 チョコベビー 34g×10個


・チョコバット(あのサクッとした感じが良い)

三立製菓 チョコバット 1本×60本

三立製菓 チョコバット 1本×60本


・ごえんがあるよ(食べたことがない小学生はいないだろ)


いや、本当に大体Amazonで帰るから凄い(笑)
結構な量を買うことになりそうです。行く駄菓子屋に、全部置いてると良いんだけど。


ほたるちゃんみたいに、駄菓子の美味しさを堪能したい……

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ごえんちょこでこんな表情ができるのは、ほたるちゃんしかいないよ!
ネット上ではサヤ師が多いですが、僕はほたるちゃん派です(まとめ)


だがしかし 2 (2) (少年サンデーコミックス)

だがしかし 2 (2) (少年サンデーコミックス)

だがしかし 1 (1) (少年サンデーコミックス)

だがしかし 1 (1) (少年サンデーコミックス)

「GOD SPEED」少年は、天使に牙を向く。心震えるダークファンタジーに、出会ってしまった件

高畠エナガの作品を、心から待ち望んでいました。


力強く、優しくて暖かい。
そんな短編が多かった高畠エナガが描いた連載作品は、楽園から逃げ出した少年と悪魔の壮大なファンタジーでした。


GODSPEED 1 (ヤングジャンプコミックス)

GODSPEED 1 (ヤングジャンプコミックス)


圧倒された。
絶望に震え、それでも立ち上がる少年の姿に、心が震えてしまった。

閉ざされた聖峰


清らかな魂を持つ人間を悪魔から守るための場所、それが主人公・明の住む聖峰でした。
そこは天使たちが子供を守り、子どもたちはそこで健やかに成長していきます。


何となく、天使というと人間と同サイズをイメージしがちですが、この漫画の天使はデカイ。


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人間を手のひらで、包めるような大きさです。
このシーンを見た時、天使の人間に対する愛おしさを見た気がしました。


後に、これが間違いだったことに気がつきます。
いや正確には、愛おしいと思っている理由が根本的に違ったのですが……


子どもたちは14歳になると聖峰を卒業し、楽園と呼ばれる場所で暮らすようになります。
明の兄貴分的な存在のバーナードも、明たちより一足早く楽園に旅立って行きました。


明たちもまた、数日後に卒業を控えています。
昔見た外の風景に、憧れを持っていた明は、天使たちに内緒で友人たちと共に外で抜け出しました。


満たされているとは言えない、聖峰とは異なる人々の暮らし。
初めて見る、大人の姿。


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そう、14歳で卒業する聖峰に大人は存在しません。
天使もまた、少女と呼んでもおかしくない姿をした者ばかりでした。


知らなかった現実と、次々と浮かぶ疑問。
明たちはこの街で、天使の違った姿を見ることになりました。


聖峰とは何か。楽園とは何か。
怪我をした明は、幼なじみの利乃が楽園に旅立つのを見送る立場になりました。


引き止めることができなかった彼の前に、天使と対になる存在・悪魔が現れます。
彼女の力を借りて、彼は楽園への扉を開きます。


そこで待っていたのは、信じたくない現実。


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幼なじみたちの、無残な姿。
手を加えられた後のある肉体は、明らかに何かがおかしい。


そして目の前で体が膨らみ、中から出てきたのは天使。


聖峰という場所は、死んだ天使を復活させるために、代わりの肉体を育てる場所。
楽園は、適正のある人間を媒体として、天使を復活させる場所でした。


加工された肉体。膨張し、天使の姿へと変貌するあのシーンは、人間としての尊厳が踏みにじられていて、どうしようもなく胸が痛んだ。

そして少年は天使に抗う


幼なじみたちの変わり果てた姿を見て、遂に真実に辿り着いてしまった明。
積み上げてきた、これまでが崩れていく。


天使たちは人間が愛おしかったのではなく、天使の体になり得る人間が愛おしかったという現実。
生きてきたこれまでが揺らぐ。生きていく理由が揺らぐ。


それでもただ膝から崩れ落ちるのではなく、彼は想いを吠えました。
無駄だと分かっていたかもしれない。それでも、吠えずにはいられなかった。


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ここで注目して欲しいのが、4人の天使の表情。
下二人の天使は、明の言葉に動揺しているのが分かります。


草花の天使・セラフィと、成長の天使・イグザロープです。
特にイグザロープは成長の天使ということもあり、恐らく聖峰の子どもたちと接する機会は他の天使より多かったのでしょう。
いや、想い入れが強いという方が正しいかもしれない。


成長という概念は、恐らく天使や悪魔にはありません。
この世界においては、成長とは主に「人間」が行うもの。
特に子どもたちの成長は、人間の一生という枠を考えた時、最も成長する期間になります。
想い入れがないわけがない。


天使全てが、この現状に何も思っていないわけではないことが分かるシーンでした。


それでも、現実は非常で。明を置いて楽園に旅立った利乃もまた、肉体を改造され天使化を待つ段階に入っていました。
元に戻す方法は分からない。成功したという話もきかない。


それでも、聖峰の外に可能性を求めて、少年は運命に抗う。
力を得るために、自分から天使の心臓を飲み込むシーンは心が震えました。


天使に抗うということは、これまでの生活を否定すること。
偽りだったとしても、楽しかった思い出を捨て去ること。


飲み込む前に思い出すのは、天使たちとの楽しかった日々。
それらは本当に楽しそうで、偽りの日々とは到底思えませんでした。
明もまた、それが偽りの日々だったと信じたくはなかったでしょう。あの楽しかった日々が、偽物だったなんて。


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心臓を飲み込んだ後の彼の表情が、全てを物語っています。
どうしようもなく切なくて、震えてしまった。


少年の旅が始まりました。
幼なじみを救うための、悪魔との冒険の旅が。


今回ほとんど触れていませんが、明を導く悪魔は当然重要な存在です。
彼女もまた、大切な人を天使から救うため悪魔の心臓を食べた人間でした。


オリヴィエという名前なんですが、可愛いです(ここが重要)
主人公からは当初痴女呼ばわりされてますが、私は素敵な衣装だと思うなあ(ぉ


壮大なスケールの、読者を圧倒する力を持ったファンタジー漫画に、出会ってしまいました。
高畠エナガが好きでよかった。心からそう思っています。

seiga.nicovideo.jp


高畠エナガ短編集 1 Latin

高畠エナガ短編集 1 Latin

高畠エナガ短編集 2 100

高畠エナガ短編集 2 100

この短編集は……凄い!「Latin」の泣き顔に心打たれた

Latin 高畠エナガ短編集 1 (高畠エナガ短編集)Latin 高畠エナガ短編集 1 (高畠エナガ短編集)
高畠 エナガ

集英社

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表紙を見た時から、実はちょっとだけこれ面白いんじゃないかとか思ってました。
泣き顔が非常に印象的だったので。
何かを訴えかけてくる、そんな泣き顔です。


こちらの作品、短篇集ということですが表題作の「Latin」がページ数的に3分の1を占めています。
そのページびっちりと、熱い内容が描かれていました。


ラテンというアンドロイドを自宅前で拾った渡辺。
捨てられたアンドロイドらしく、ボロボロという表現が実に合っています。


元々は精巧な女性型アンドロイド。
ただ現在は手当をしたとはいえ全身に包帯を巻き、髪もボサボサ。
性格の方もヤサグレているように見受けられます。


家事の手伝いもしてくれないラテンと渡辺はケンカが絶えず、ラテンはそのたびに捨てれば良いじゃないかと自暴自棄のように吐き捨てる。
そのたびに、命を持っているものは捨てられないと答える渡辺。
アンドロイドに対し「命を持つ」という認識が、素敵だなと思ったり。


ふと家に帰った時、ラテンの持っていた写真を見てしまう渡辺。
そこには、家族と幸せそうに写っているラテンの姿がありました。

家出したと言ったラテンですが、実際は捨てられていた。
記憶は消えているのに、体の内側いっぱいに貼られた幸せそうな写真がいつまでもラテンに問いかけをさせる。
どうして、と。こんなに愛されていたはずなのに、どうして捨てられたのかと。


大好きだったアンドロイドを捨てられた経験がある渡辺。
ラテンの辛さ、大好きなラテンを捨てられた子供たちの辛さを彼は知っていました。


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だからこそ、重みのある言葉。
好きな人と別れる辛さを知っているからこそ、何とかしてあげたい。
渡辺の素直な気持ちが、固くなだったラテンの心に響いているのが伝わって来ました。

悲しくて泣いていた涙に、嬉しみの涙が混ざったのが分かります。
ラテンの泣き顔は、崩れながらも美しいんですよね。
ずっと見ていたくなるような魅力を感じます。泣き顔が素敵な作品は、名作が多いような気がする。


この日を境に、渡辺とラテンの生活は変わります。
ラテンの元の持ち主を探したり、体を修理したり。
その時の表現が、非常に印象的なものでした。


未来へ進むような 過去へ還るような 不思議な時間が流れた


二人の関係が前進し良好なものとなった今、未来へ進んでいるように感じるでしょう。
その一方でラテンの体を直したり、元の持ち主を探す行動は、ラテンの過去へと還っているように感じるのだと思います。
渡辺にしたら、ラテンを拾う前の自分に戻っているような感覚もあったのかもしれません。

この表現が強く心に響きました。今のこの状況を、これ以上に表せる言葉を思いつかない。
一件矛盾するような言葉が当てはまる、稀有な時間だということが伝わって来ました。


渡辺はラテンの髪を磨いで、体を直して。ケンカもして。
ラテンは渡辺のために、今までやらなかった料理なんかをして。
少しずつ、けれど着実にお互いの距離を縮めていく二人の姿は、心地良いものでした。

その一方で、どちらもラテンの過去を気にする描写がたまらない。
特に渡辺が、ラテンの過去のことを考えて、自分を傷つけたシーンが。
このシーン、さり気なく流されていますが渡辺は傷ついていました。


ラテンが自分の中で大切な存在になっていることにこの時点で気づきながら、ラテンには「還る場所」があるということを思い出し、彼は泣いていました。
いつかラテンが自分以外の誰かの元に「還る」ことを、悲しんで泣いていました。

感情を文字にしたわけではないけれど、痛いほど伝わって来ました。
絵で感情を訴えられると、文字にする以上に響くもんだな。

渡辺と親しくなったラテンは、もう信じられないくらい可愛いんですよ。
修理が終わってピカピカになって、渡辺が自分を意識し始めているのを察してニヤニヤしている姿とか最高です。


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渡辺が何かを伝えようとしているのを知って、待っているラテンが可愛すぎる。
髪をくるくるする仕草が、実に人間の女の子らしい。
ちょっといたずらっぽく微笑んでいる姿に、思わず頬が緩んでしまいました。


ああもうラテン可愛すぎる!!


やっぱり、女の子は笑っている顔が一番可愛いなと改めて感じました。
ラテンの笑っている顔は、それくらい魅力的だから困る。ちょっとドキドキしちゃう。


このあとの終盤の展開が、実に熱かった。

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家族と渡辺の間で揺れる、ラテンの心。
自分の居場所が分からず、涙が溢れました。
どうにかできるのは、渡辺だけ。ラテンが待っているのは、渡辺の言葉だけ。

もうこの辺は息を呑んで読んでいたと思います。まさに作品に引き込まれた。
ラテンの涙が、辛さを全力で読者に訴えてきます。
泣き顔の破壊力が本当に凄まじい。
ラテンの感情を、これでもかというくらい表現している。
こんな泣き顔が、心を打たないわけがない。


どのような展開を、そして結末を迎えるかはぜひ短篇集を読んで確かめて下さい。
感想サイト失格かもしれませんが、言葉ではあの熱量を半分も表現しきれない。

百聞は一見にしかずとは言いますが、この作品は本当に読んで確かめて欲しい。
Latin以外の作品も本当に素敵でした。一番はどうしてもLatinになってしまいますが。


大満足の1冊でした。本当にオススメです。
……短編1話に対し、かなり長い感想になってしまったな(笑)


オススメ短篇集

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石黒 正数

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花とゆめで、素晴らしいラブコメが始まっている。「高嶺と花」プッシュ&レビュー

2015年注目度No1ラブコメ。


白泉社がそう言ってのける作品がある。花とゆめで連載中の高嶺と花だ。


高嶺と花 1 (花とゆめCOMICS)

高嶺と花 1 (花とゆめCOMICS)


1巻発売日に合わせ、特設サイトを作ってしまうくらいのプッシュ具合だ。

www.hanayume.com


私は花とゆめを去年から購読しているが、この作品が読み切りだった頃から読んでいた。
これは絶対に連載して欲しい。


そう願っていた作品が連載開始となり、単行本も発売された。
連載になっても、この作品に魅了され続けている。

スペックは高くて内面は残念な青年と、The・庶民な女子高生コンビ


始まりは、姉のかわりにお見合いに出席したことだった。
最悪なファーストコンタクトをしたはずだったのに、なぜか御曹司・高嶺は普通の女子高生・花のことが気に入ってしまう。


高嶺は、高所得・高身長・高学歴と、スペックは非常に高い。
高いのだが……お世辞にもそのスペックを活かしているとは言えない。
花に反論し、女に困ったことはないと言うシーンは、それが顕著に表れている。


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この状況で、ヒロインに「で?」って返されるイケメンって……
私には分かる。きっと、やってみたかったのだと。
女性と接する時に、こうすると良い的な認識を、どこかで持っていたのだろう。


実際に使えそうな場面がきて使ってみたものの、その後に何をすべきかまでは分からないのが少し可愛い。
その後は、多分流れだからね。でも初心者にはその流れが難しんだ。


高嶺はまた、高飛車な性格をしている。勝ち誇った笑みが、非常に印象的だ。


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ああ、何だろう。
残念かオーラが漂っている。
これはアレだな。だめ可愛いってやつだな。


このレベルになると、分かりやすくて逆に扱いやすい部分がある。
若干面倒ではあるが、花がすぐに高嶺の扱い方を覚えているのが面白い。
負けず嫌いな性格を、ちょこっとくすぐってやればイチコロなのだ。


そんな単純な高嶺だが、時にはドキっとするような言葉を紡ぐ。
自分を大きく見せがちな高嶺が、ふとした瞬間に見せる素の表情や、不器用ながらも花を気遣うシーンは、思わず男性の私もニヤニヤしてしまう。


振り回したり振り回されたり。その中にある、確かなドキドキ。
ああ、これは間違いなくラブコメなんだ。

頬の緩みがとまらない、いじらしい二人の関係


物語を進めるのは、基本的に高嶺の仕事だ。
もはや日課と言っても良いくらいに、彼は花を学校帰りに出迎えている。
二人の物語はの多くは、花の下校から始まるのだ。


馬鹿にしたりされたりしながら、二人は関係を紡いでいく。
高嶺のことを精神的に残念な人だと思いつつも、花はその側がなぜか心地良い。
意識はしなくとも、二人が心を通わせていく様は、ニヤニヤが止まらなくなってしまう。


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このセリフは、高嶺が別の女性とのお見合い際に言った言葉だ。
様子を見るだけだった。しかし花は我慢ができなかった。
その女性が家柄ばかりで、高嶺を見ていなかったことが花には許せなかったのだ。


ワガママで、いけ好かない部分もあるけれど、優しくて根は良い人なのを花は知っている。
いや、花だから知っている。


だからこそ、その高嶺を見ようとしないことが、彼女には耐えられなかったのだ。
ああ、こんな展開を見せつけられるだなんだ……!
公共の場では、見せられない表情になってしまう。この二人の関係は、もうご馳走レベルだ。


二人は一応、お見合いをした関係だ。
お見合いというと、普通の恋愛より結婚を意識させる面もある。
花がそれを意識した話が、また素敵なのだ。


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結婚は考えられない。
その言葉は、お見合いという出会いから考えると、別れの言葉に等しい。


でも彼女は、この関係を壊したくないと言う。
それは花が初めて明確に認める、高嶺との関係。

一緒にいて楽しい、壊したくない関係を、いつの間にか高嶺と花は築いていた。
それは、始まったばかりの関係。名前にできない想いの芽生え。
どうなるか分からない。どうしたいかも分からない。
それでも、今のまま一緒にいたいという花の想いに、思わず胸がキュンとなった。


高嶺と花のやりとりに、一喜一憂する自分に驚いてしまった。
始まったばかりの少女漫画に、こんなに魅了されてしまうなんて。


白泉社の言うとおりの、2015年注目度No1ラブコメと断言することは、私には難しい。
でもこれだけは言える。

男女ともにニヤニヤできて、思わずキュンとなる。
そんな素晴らしいラブコメが、私達の前に現れたということを


花とゆめ 2015年 3/20 号 [雑誌]

花とゆめ 2015年 3/20 号 [雑誌]

小説・暁のヨナ 同じ月の下で (花とゆめCOMICSスペシャル花とゆめノベルズ)

小説・暁のヨナ 同じ月の下で (花とゆめCOMICSスペシャル花とゆめノベルズ)

悶えたいあなたに、心からおすすめしたい漫画がある。「つうがくろ」は今年最強の赤面漫画

何なんだこの漫画は!!


読み終わった後、思わずそう声に出してしまった。


つうがくろ(1) (アクションコミックス(コミックハイ!))

つうがくろ(1) (アクションコミックス(コミックハイ!))


悶える。心の底から、この作品の展開に悶えてしまう。
悔しいくらいに、だ。しかし、抗うことはできない。


断言しよう。この漫画は、今年最強の赤面漫画だ。

この赤面力に、圧倒されよう


物語は、二人の男女のつうがくろで繰り広げられる。
ヒロインの佐藤さんは、つうがくろで無口だと思っていた転校生の汐田くんと出会う。


汐田くんは無口なのではなく、極度の人見知りだということが分かり、汐田くんへの印象が変わる佐藤さん。
「かわいい」
それが佐藤さんの持った、汐田くんへの印象だった。


話すのは苦手だけど、頑張って仲良くなろうとする汐田くん。
高いレベルの赤面力を持っていて、その様子は同性の私から見ても実にかわいらしい。


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異性の佐藤さんには尚更のことだったらしく、汐田くんの可愛さに虜にされていた。
ニヤける表情を、何とか汐田くんに見せないようにする佐藤さん。
表情をコントロールできないほど、汐田くんの赤面顔にやられている。


しかし、このあたりですでに読者は知っている。
佐藤さんの赤面力も、素晴らしく高いことを。


そんな読者の考えなど知らず、佐藤さんは汐田くんを愛でる


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可愛い顔が見たくて、いたずらしてしまったり。
この辺りのシーンは、読者の頬がゆるみっぱなしだ。
ただ、今の関係が楽しくて仕方ない。


そんな様子が、容易に読み取れる。


だがしかし、汐田くんも男の子だ。


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女の子らしい佐藤さんの一面を見て、つい可愛いと言ってしまう。
見事な、実に見事なカウンターパンチだ。
佐藤さんの赤面力が、ここから急激に高まっていく。


読者は知っている。
赤面する佐藤さんもまた、思わずこちらも赤面しそうになるくらい可愛いということを。

悶絶しよう。ただこの展開に。


佐藤さんの赤面力の高まりは、留まりを知らない。
一緒の帰り道。楽しい帰り道。
でもそこにいるのは、年若い男の子と女の子で。


ちょっとずつ意識する、互いの「性」。
汐田くんの方が、少し早く認識していたようだけれど。


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佐藤さんもまた、僅かに遅れてそのことを意識する。
自分が女の子で、「かわいい」と思っていた汐田くんが、紛れも無い男の子だということを。


互いに赤面しあうシーンが多くなり、読者もニヤけるというよりは声にならない声を発したくなるレベルになっていく。


そして、悶えずにはいられない、神社での話がやってくる。


お互いを意識することで、一緒に登下校しにくくなる二人。
恋愛に奥手な二人だから、芽生えた感情をどうして良いか分からない。


そんな中で、突然の雨。
佐藤さんが神社で雨宿りしているところに、遅れて汐田くんもやってくる。
思わず隠れる佐藤さんに気がつかないまま、汐田くんは思わぬ行動に出る。


今までと同じように、佐藤さんと一緒に学校行ったり帰ったり、できますように。


そう、神頼みだ。
今どき初すぎるだろと、見ているこちらが赤面してしまう。
隠れて聞いている佐藤さんは、その比ではない。
頬に朱が差し、その破壊力にクラッとしてしまった。


だが、恐ろしいのはここからだ。


その言葉の直後、佐藤さんは汐田くんの前に姿を表わす。
どうして?という問いに対し、お願いされたけん、と答えるニクい展開。


それに対する、汐田くんの開始が凄い。


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何が神様凄いだバカ野郎!!


意味を成さない声を発し、それでも収まりきらずに枕を何度も殴った。
何なんだこの展開は!何なんだこの漫画は!


こんな返しを見せられるなんて。この二人以上に、読者の方が赤面してしまう。
ただただ、悶える。
上手く言語化できなくなってしまうほどに、悶絶してしまうのだ。


1巻を通して、悶えさせられっぱなしだった。
圧倒的な赤面力とその破壊力に、魅せられてしまった。


やられたよ。完敗だ。
賞賛するしかない。それほど、打ちのめされた。


何度でも言おう。何なんだこの漫画は!


悶えたいあなたへ、この「つうがくろ」を心からおすすめしたい。
この最強の赤面漫画を、体感しよう。


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