今週の初恋ゾンビの感想です。
昨日、先週分の初恋ゾンビ感想記事を書きました。
今日の記事は、その答え合わせも兼ねています。
タロウがたどり着いた、「指宿くんはやはり女の子」ではないかという疑問。
指宿くんのファンであるイブスキーな方々も、今こそ正体を明かして欲しい……というのがSNS上でも多数見受けられました。
初恋ゾンビファンだけでなく、全サンデー読者も注目する展開。
指宿くんの想いは、届いたのだろうか……
積み重ねた時間
今週の初恋ゾンビで、心から良いなあと思ったのは、タロウが「指宿くんは女の子じゃないか」という疑問にたどり着いた時の、指宿くんの反応でした。
タロウは、物語の根幹を担っている、指宿くんとの別れの日のことを完全に思い出したわけではありません。
思い出したわけではないけれど、「指宿くんは女の子じゃないか」という疑問にたどり着くことができた。
それは、再会してから積み重ねた、これまでの時間があったから。
性別を男性と偽って再会した。
江火野さんや朱々子を除けば、ほとんどの人に、その秘密はバレることはなかった。
けれど、タロウはその疑問にたどり着く。
直接的に、裸を見たとかカミングアウトしたとか、そういう事実はなく、指宿くんと共に過ごした時間の中で、その疑問にまでたどり着いた。
指宿くんはきっと、あの別れた日から、タロウと自分の関係はさして進展していないと感じていたでしょう。
タロウがあの日のことを思い出すことでしか、進めない。そう思っていたかもしれません。
でも、違いました。
再会してから一緒に過ごした時間が、思い出さなくてもタロウがその真実まで至る道を作ってくれた。
こんなの、絶対嬉しいでしょ!
私は過去に引きずられすぎるのがあまり好きではないので、この展開は非常に良かった。
タロウは、ちゃんと「今」の指宿くんを見ていたんだなと。
幼き頃の想いが、時間が空いても残っているのは、美しいことだとは思います。
でも、過去の思い出に引きずられすぎず、それぞれの「今」を見て、改めて好きだと思って欲しい。
タロウと指宿くんの恋が、そんな風に描かれると良いなと考えたりしています。
そんな中、指宿くんもやはり、言うしか無いと決心します。
今こそ、伝える時。
抑えてきた気持ちが、溢れ出す。
タロウへ、振り返る。いつもと違う、柔らかな表情。
本来の、女の子としての素顔。
しかし、皮肉にもその顔が、タロウを思いとどまらせてしまうのでした。
指宿くんの顔で、タロウは、イブの微笑みを思い出してしまった。
ハッピーエンド下さい
先週の感想を昨日書いています。色々と今週の展開を予想していますが、まさか一番可能性が低いと思っていた展開になるとは……
届くはずだった指宿くんの想いは、伝える前にタロウ自身に取り消されてしまいました。
「忘れて」
指宿くんの顔を見ずに、そう告げて。
顔を見なかったのは、きっと、見れなかったのでしょう。
指宿くんは、イヴのためにタロウは思いとどまったのだと理解しました。
自分の顔を見て、イヴを思い出したのだと。
それは事実です。事実ですが、ここでちょっとずつ、タロウと指宿くんの認識がズレていくのが面白い。
この後、タロウと指宿くんは、イヴが初恋が成就する寸前かのような輝きを放っていることを認識します。
指宿くんは、その輝きを「タロウがイヴそのものを想う輝き」だと考えています。
でも、タロウは初恋が成就する時の輝きだと思っているから、このままだとまずいと考えて、自分の言葉を取り消した、というのが指宿くんの理解です。
ですが、それは恐らく誤りです。
指宿くんは、イヴが前に同じような状態になった時のことを知りません。
8巻の洞窟で、指宿くんがタロウを抱きしめた時に、イヴは今回と同様に一際輝くようになっていました。
指宿くんを女の子じゃないかと意識したとき、イヴの輝きが強くなる。
これは明らかに、初恋が成就しようとする時のそれでしょう。
指宿くんを女性だと意識して、消えていない「好き」という気持ちが、現れようとしている。
タロウは、そのことに気づいてしまいます。
イヴのために、取り消した。その認識は、お互い正しくて。
指宿くんは、タロウに自分は男だと伝えた上で、イヴと自分はもうお互いに独立した存在で、安心してと伝えます。
優しく、微笑みながら。
どんな気持ちで、指宿くんはそう言ったのか。
考えただけで、胸が苦しくなる。
指宿くんのこの行動は、自分の気持ちを殺す行為以外の、何者でもない。
イヴのために、イヴを想うタロウのために、自分の気持ちを殺したのだ。
二人を思って、自分をまた男だと偽る、指宿くんのために、私は泣きたい。
耐え難い苦しみを、一人抱える指宿くんのために、泣いてあげたい。
今日、私は、泣けない指宿くんのために、泣いたって良いんだ……
タロウは、指宿くんのその心情までには気がつけない。
ただ1つ、本当のことを言えずにいる。
イヴの輝きは、自分の指宿くんへの未練。
女の子であって欲しいという、願望。
しかし、その気持ちは抑えなければならない。イヴの輝きが、指宿くんへの想いだと分かってしまったから。
その気持ちを膨れ上がらせた先にあるのは、イヴの消滅だということが、分かってしまったから。
……もうね、何なんだろうこの漫画は。
どんだけ、読者の心を揺さぶるつもりなんでしょうか。
誰もがもがいている。
自分の気持ちの行く先を探して。自分以外の誰かが傷つかない未来を探して。
上の画像で、指宿くんが左上を見ていて、最初は泣きそうになところを、上を向いてこらえているのかと思ったんですよ。
でもその後のタロウの視線で、理解してしまいました。
指宿くんはこの時、イヴを見ていた。
楽しそうに笑う、イヴを。
指宿くんはどんな気持ちで、自身をモデルにした初恋ゾンビを、このとき見ていたんだろうなあ。
少し、何かを諦めるような、受け入れるような表情に見えたのは、気のせいであって欲しい。
イブスキーではありませんが、全イブスキーさんの気持ちを代弁しましょう。
指宿くんが、幸せになれる未来を下さい
終わりに
心がすりおろされていく、そんな感覚を覚える今週号でした。
イブスキーな方々、息してますか?
ここで気になるのは、タロウの中で「指宿くんが女の子じゃないか」という疑問は、別に解消はしてないんですよね。
指宿くんは改めて男だと伝えるものの、確証もなくそれを信用するということは無くて。
というか、こうなってくると、指宿くんが男か女かという部分は、タロウが知りたいことでは無くなってしまっていて。
むしろ、イブと一緒にいるためには、極論女の子じゃない方が良いと考えてもおかしくはありません。
物語としては、タロウがいつ指宿くんを女性だと認識してもおかしくはない状況です。
女性だということを受け止められるか、という方が大事なのかもしれません。
完全に、指宿くんが一歩引く形になってしまいました。
でも、例えどんな形でも、最終的には、どのヒロインも自分の気持ちを大切にして欲しい。
そこをどう描くのかなあ。
指宿くんを、素直にさせるのは誰か。
案外、ライバルであるイヴや江火野さんだったりするのかもしれませんね。
だいぶ指宿くんを応援したい気持ちが強くなってしまったので、エビナーとして、来週は江火野さん成分を補給したいです(笑)