KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
皆さんの許せないことって何ですか?
多かれ少なかれ、誰にでも「許せないこと」ってあると思います。
こんな風に、男心を弄ぶ女性は許せませんよ!
だって……だって!こんなこと言われたら惚れちゃうじゃないですか。
僕たちはチョロいんです。
ISのセシリアさんもびっくりの、チョロさなんです。
優しくされたり、ちょっとでも好意を示されたら好きになっちゃうんだよ!
勘違いさせないでよね!(ちょっと本音)
と言うような感想を、この漫画の主人公クロも抱いています。
告白?まがいのことをされて、ベッドの上で悶々と転げまわっています。
嘘みたいだろ。世界壊そうとしてるんだぜ。これで。
世界の端で生きてきて、優しくない世界を壊そうとしているクロと、お前は俺かと言いたくなる初心過ぎるクロというギャップが良い。
ただの厨二キャラに収まらないのは、こういう部分あるからかなって思ったり。
2巻では遂にセラ以外のインスタントバレットとも登場しました。
一人は温和そうな青年で諸木と言い、もう一人はやっぱり頭のネジが飛んでる少女で木陰というそうです。
彼女もまた、世界を滅ぼそうとするインスタントバレットでした。
クロとはどちらが世界を滅ぼすかで揉めることになります。仲裁役は当然魔女さん。
完全に苦労人ポジションです。
いや私は、どう考えてもこの魔女さんにも裏があるだろとか思ってますけどね。
ドス黒い過去とか持ってるんでしょうか。ちょっと楽しみですね(ゲス顔)
2巻はクロと揉めた少女、木陰ちゃんにスポットが当てられます。
彼女のibは、種子を生み出す能力。存在しない植物を生み出すこともでき、この能力で世界に毒をばら撒こうとします。
クロは自分が壊す世界を先に滅ぼされるのは困るのでそれを阻止しようとしますが、その行く手を諸木が塞ぎました。
彼は、クロたちと違い世界に何かしようという意思はありません。
何かに干渉することもない、世捨て人のような存在でした。
しかし、彼はクロの前に立ちました。
殺すかもしれないという、クロの言葉を聞いて。
彼もibで、やはりどこか狂った部分のある人間です。世界に嫌われ、家族などの大切な人たちも存在しません。
優しくない世界の中で、木陰が彼の秘密基地にあるこだわりの本棚に対して、「いい本棚だ」と褒めてくれた
それだけの理由で彼は、クロの前に立っていました。
彼のibは瞬間移動。クロと違い腕っ節があるわけでもなく、直接的な力はありません。
それでも、彼はクロの行く手を塞ぐという戦いを決意しました。
己の弱さを自覚した上で、なお戦いに挑む。
このシーンに、他のibにはあまり感じることのない「人間としての真っ当な強さ」を感じました。
ある意味主人公より主人公っぽい。
地味なシーンではありますが、ちょっと胸が熱くなる良いシーンでした。
でもきっと、亮太も後に狂ってる感じをこの漫画なら出してくるんでしょう。そういう期待は裏切らないと思います、この漫画は(笑)
最終的にクロは亮太を突破し、木陰の元にたどり着きますが、この展開もまた良かった。
やさしくなりたい、優しくない人々。
2巻のサブタイトルになっているこの言葉が、ここでその意味を明らかにしていきます。
世界を滅ぼすと言っても、彼女は直接的に大勢の人間を殺せるような人間ではありませんでした。
彼女は、誰よりも優しくなりたかったのだと思います。
けれど、上手くいかなくて。
彼女のもとでやさしくなりかった人たちも、結局は優しくなれなくて。
そのことで、どんどん自分を傷つけていって。
彼女が選んだのは、人類から「未来」を奪い滅ぼすというものでした。
それが正解ではないことは、彼女自身も何となく分かっています。
間違え続けてきた。
しかしそれは逆に言えば、問に対し答えようとした証でもあると私は思っています。
現状を受け入れ諦観するのではなく、優しくなろうともがき続けていたのだと。
人類の未来を奪うという滅ぼし方も、大嫌いな世界と大切な人たちに対する「たった1つ」の彼女の優しさでした。
世界に嫌われてなお、「優しさ」を捨てられなかったのが木陰という女の子なんでしょう。
ibはこう、心に刺さってくる感じが良い。
屈折した痛みが、どこか心地よい感覚です。厨二心をくすぐる、とはちょっと違うんですよ。この辺りは確かめて欲しい。
「やさしい」を漢字にしたりしなかったりするのは、ちょっと作者のこだわりを感じました。
どういう意図があるかまでは、読解力不足で読み取れませんでしたけど(笑)
2巻も濃厚な展開でした。いや面白いね。この漫画のために掲載誌買う人の気持ちがわかった。
ただ冒頭に書きましたが誰にでも許せないことがあり、私もこの漫画に対して許せないことがあります。
魔女さんの名前が一向に出てこないことだよ!
可愛いって言いたいのに、「名前」が分からないからこうね、気持ちが表せている感じがしない。
聞いたらまだ本誌でも、名前は分かっていないらしい。
これは魔女ファンに対する焦らしプレイですか、赤坂先生!
魔女さん可愛いとか言ってたら、荒地の魔女とか好きなんだなとか誤解されそうで困る(ねーよ)
【1巻感想】
「インスタントバレット」ラスボスは君か僕。世界を滅ぼす物語が始まる - いつかたどり着く
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アスキー・メディアワークス (2013-06-08)
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