「無料」を掲げたマンガ、読んだことありませんか?
コミックメテオやガンガンオンラインなどのwebマンガ雑誌もそうですが、最近はお金を使わなくても読むことのできる漫画コンテンツが増えています。
少し古いですが、今年の2月にテレ東のWBSで「全巻無料マンガ」特集がありました。
別の場所で書いた記事を改変しながら、「全巻無料マンガ」の仕組みを紹介します。
マンガボックスとは
話題は少し前からCMでよく見るようになった「マンガボックス」。
編集部のある場所は吉祥寺。漫画家にも人気の街です。
マンガボックスについて、詳しくは公式サイトをどうぞ。
https://www.mangabox.me/
で、どこの会社がやっているサイトかというと球団も持っているDeNAです。
2013年からサービスが開始されたという、本当にできて間もないサービス。
編集長は、あの有名な金田一少年の事件簿の作者でもある樹林伸編集長。
なんだってーと驚く人もいるかもしれません(笑)
マンガボックスはスマートフォンやタブレット向けのマンガアプリで、新作マンガを約30本無料で配信しているそうです。
毎週30本も公開されているというから驚きます。既存のweb漫画雑誌よりもかなり多い印象。
配信されているマンガは、有名所だと「進撃の巨人」のスピンオフである「寸劇の巨人」や、金田一少年の事件簿のスピンオフ、高遠少年の事件簿ということ。
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すでにメジャーな作品で人を集めるという手法でしょう。キーとなるコンテンツがあるのは強い。
それらを中心とした連載漫画を、全巻無料で読むことができるとのこと。
樹林伸編集長によると
・有料の雑誌に匹敵する作品が揃っており、想像以上に成功している
・マンガボックスのアプリは、サービス開始から2ヶ月で約270万件のダウンロードされている
全巻無料の秘密
マンガボックスで連載を持つ、一人の漫画家がモデルケースとして紹介されました。
週刊少年マガジンに昨年まで連載してた漫画家大沢祐輔さんは、現在マンガボックスだけで連載しています。
「グリーンワールズ」という作品です。
マンガボックスの原稿料は、1ページ約1万円。
この原稿料が多いか少ないかは、人によって判断は別れるかもしれません。佐藤秀峰先生の場合、読み切りは1ページ5000円だったり、ケースバイケースなのかなと。
ただ新興勢力であることを考えると、割と高めの原稿料という印象。
大沢さんの場合は、週に10ページ描いて1ヶ月で50万の収入を得るそうです。
この数字だけ見ると結構貰っている印象ですが、ここからアシスタント3人の給料を払い家賃等も捻出するため、財政的には厳しいのが現状のようです。
それでも、手にとってもらえるチャンスが増えたなど、マンガボックスに可能性を感じているということでした。
その原稿料等の費用はどこから出ているのでしょうか。
実は講談社から出ていました。
仕組みはこうです。
1 講談社は自社で抱える漫画家に連載を依頼
2 その原稿を、DeNAに依頼しマンガボックスに掲載し無料配信
3 その3ヶ月後に、単行本を売って収益を上げるビジネスモデル
何となく講談社が単独でやれば良いような気もしますが、餅は餅屋という考えが講談社側にはあったのでしょう。
webコンテンツのノウハウを持っている企業と、共同でやった方が利益に繋がるという風に。
私としては、この考えは間違ってないかなと思います。
出版社のweb展開は、褒められたものではないというのが今までの印象です。
小学館は、今でもクラブサンデー使いこなせてない(断言)
後発の裏サンデーの方が優秀。
結局、どうやって収益をあげるかというと単行本です。
作品が掲載されっぱなしだと収益が出ないので、掲載された漫画は3ヶ月すると消去されるようです。
このあたりは、普通にweb漫画雑誌と同じですね。
その売上や印税を、DeNA・講談社・原作者に分配する構造になっています。
配分する比率がちょっと気になりました(笑)
樹林伸編集長は、後輩漫画たちにチャンスが多く与えられるようにという思いを持っているそうです。
確かに、裾野は広がっているかなと思いました。
「COMICO」のビジネスモデル
別の無料漫画アプリ「COMICO」のビジネスモデルも紹介しましょう。
コミコは、毎週約70の新作漫画が読める無料アプリです。
毎週読める漫画の数は、マンガボックスより多いようです。これは、マンガボックスに比べ経験の浅い漫画家が多いからなのかもしれません。ほぼ新人かなという印象。
このコミコを運営するのは、NHNプレイアートという会社。
NHNという会社は、今やLINE等でかなり有名になっていますね。
http://www.nhn-playart.com/http://www.nhn-playart.com/
http://www.nhn-playart.com/
駆け出しの漫画家70人に、毎月20万円を出しコミコに連載してもらっているようです。
月給制というのがなかなか面白い。
では、ここはどのようにして利益を出しているいるのか
アプリからの売上は0ですが、自社の運営するサイトへのリンクが貼られていて、自社のサイトに誘導することで収益をあげるというビジネスモデルでした。
言ってしまえば、集客に近いのかもしれません。言葉が適切ではないかもしれませんが。
コミコの読者は女性層で、それを男性中心のゲームビジネスに呼びこむのが狙いとのこと。
ネットゲーム制作が主力事業の会社らしく、あくまでゲームコンテンツのための無料マンガアプリということでしょうか。
人を誘導して収益化できれば、できるかぎり無料のコミコの運営を続けるということですが、当然ながら収益化できなければ終わるということです。
マンガボックスに比べ、収益化が読みにくいというのが私の印象。
マンガボックスは漫画が面白ければ恐らく収益が出ますが、コミコは面白くてもゲームコンテンツとの連動に失敗すれば収益が出ません。
その分、成功すれば新たなビジネスモデルとなるとは思います。
ちなみに、コミコに連載している漫画家さんも登場しました。
ココなし。さんという方で、大学生とのこと。テレビでチラっとみた「保留荘の奴ら」という作品は、確かに女性向けかなという印象でした。
大学生で20万……社会人1年目の私よりもらってるかも
コミコからヒット作がでれば、ゲーム化等も考えているようです。ゲーム化を前提とした漫画も今後出てくるかもしれませんね。
しかし70人に毎月20万円払うと、1400万円もかかるのか……
書き起こしに私の雑感を交えたので、結構長くなってしまいました。読みにくくて申し訳ない。
web漫画コンテンツが増えている中での、こういった特集は興味もあったので非常に面白かったです。
基本的には単行本の売上から収益を得ているケースがほとんどですが、もしかしたら今後違ったビジネスモデルが出てくるかもしれません。
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