前世をテーマにした作品だと、ぼくの地球を守ってなどが思い浮かびます。
ただ前世ものも、前世に引っ張られ過ぎるのはあまり好きではなかったり。
それって本当に自分の人生なの?と疑問に思うから。
懲役339年は、その部分をテーマに描いた作品です。
- 作者: 伊勢ともか
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2014/08/18
- メディア: コミック
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懲役339年という重み
日本の場合、最も重い刑罰は死刑です。
339年牢獄にいる……という刑罰はありません。他の国にはあったと思いますが。
しかし物語の国の制度は、現実のどの国との異なるものがありました。
それが、来世に罪を引き継ぐということ。
物語は、歴代の「ハロー」という人物にスポットを当てます。
最初のハローの犯した罪に伴う339年という刑期を、次のハローが引き継ぐ。
その中で起こった出来事を書いています。
ハローの場合、二代目以降はその生のほとんどを刑務所で過ごします。
その生き方に疑問を抱く者が出て、その芽が少しずつではありますが次世代に引き継がれていきました。
3代目のハローは女性で、彼女は看守・シナトと仲良くなります。
そのシナトから借りた本で、彼女が気に入る部分がありました。彼女はそれを、前世で関連する事象があったのではないかと推測します。それに対する答えが、実に素敵だったので紹介します。
君が良いって感じたなら、それは、君自信が感じたことだ
前世ではなく、現世の「自分自身」が感じたということ。
それを大切にして欲しいというのが、看守の言葉から読み取れます。
とても素敵な言葉だと思いました。
これは前世の話に限らず、自分の価値観を大切にするという意味でも響きます。
誰の影響を受けようとも、自分がそれを「良し」とする気持ちを大切にするってことかなと。
ちなみにこの看守、ハローの前世に抗おうと脱獄します。
だから厳密に言うと、ハロー自身が直接的に前世に抗ったわけではないんですが。
二人で前世に抗う。本を借りてくるという些細な約束を守るために。
些細と書きましたが、ハローにとっては大きな約束なんだよなあと感想を書いていて思う。
刑務所で一生を過ごしてきた彼女にとって、それは毎日を変えるきっかけになった大切な約束なのだから。
ハローが可愛いくて……切ない
この漫画の絵柄は、いわゆる「萌え絵」というものではない。
それでも声を大にして言おう。ハローが可愛いのだ。
脱獄して髪を切った時のやりとりである。
これを可愛いと言わずして、何を可愛いというのか!
仕草やシチュエーションで、キャラの可愛さを表現しています。
恋をしたのも初めて何だろうな、というのが読み取れる。
いじらしい反応です。抱きしめたい。
しかし物語は残酷で、この二人の物語をハッピーエンドにはしてくれませんでした。
漫画の表紙の麦畑は、ハローが見たかったもの。そこで二人は果てます。
帯にも使われた、シナトの言葉が切なくて泣きそうになります。
「生まれ変わっても一緒だ」なんて 僕が言えるわけ無いもんなあ…
これを切ないと言わずにはいられない。
生まれ変わりを否定したシナトが、死の間際に二人の来世での出会いを願う。なんという皮肉なんだろう。
胸が締め付けられるシーンでした。
設定もそうですが、先を読ませない話の展開が非常に面白い。
裏サンデーは面白い作品出してくるね。コンテンツは本当に気に入っています。
webで連載中なので、興味があればぜひ。
裏サンデー | 懲役339年
- 作者: 七尾ナナキ
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2014/08/18
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- 作者: 阿久井真
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2014/03/18
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