料理漫画が乱立している昨今、僕はよっぽど興味が惹かれない限り、料理漫画に手を出しません。
「味噌汁でカンパイ!」は、僕が勝手に高くしているハードルを悠々と超えていった料理漫画です。
ただの料理漫画ではありません。
初恋の味がする、料理漫画です。
1巻も非常に楽しませてくれましたが、2巻は更に上回る内容でした。
幼なじみのむず痒い関係を、読者は料理と一緒に味わうんだ!
幼なじみはお母さん
誤解されそうな見出しですが、軽く説明しましょう。
主人公の善は、幼いころに母を無くしました。
幼なじみの八重は、代わりに自分が母になろうと奮闘する物語です。
父親と幼なじみが再婚したとか、そういう作品ではありません。念のため。
善としては、八重は母ではなく気になる幼なじみですが、今のちょっと不思議な関係性も悪くはないようです。
好きな子が自分のために朝ごはんを作ってくれるわけだからね。
文句が出るはずがない、男の子だもの。
そんなわけで、母の日は八重に何かプレゼントすることに。
ただ八重も慣れているわけではないので、普通に買い物して終わりという雰囲気に。
少しだけがっかりした八重を見て、意を決して善は行動します。
不器用に、突き出されたプレゼント。
それでも、気持ちはちゃんと伝わっていました。
その次のページで描かれる、少し照れた、嬉しさを隠し切れない八重の表情。
このやり取りを、ニヤニヤせずに読めるかよ!
年頃の男の子の、素直になれない感じが妙に微笑ましい。
女の子へのプレゼントなんて、慣れない行為でしょう。
八重にしても、いざ受け取ってみると妙にくすぐったいといったところでしょうか。
表情から、それが読み取れます。
それでいて、嬉しそうだからもう可愛くて仕方ない。この二人の関係性に、僕たちは悶えずにはいられない。
二人の日常、非日常
僕が2巻で最もニヤけたシーンは、旅行先から八重が電話してきた時の場面です。
何の用事かと思えば……ね。
何か忘れている気がして。何か足りない気がして。
ふと、それが幼なじみへの「おはよう」だということに気がつく。
八重が善に、「おはよう」ということが、八重にとっては日常になっていて。
幼なじみに毎日おはようって言われたいだけの人生だった。
善が顔を真赤にして照れていますが、読んでる読者も思わず照れたよ!
八重はそんなに深く考えていないのは分かっていますが、男の子はもう大変です。
恥ずかしいけど、嬉しい。
善の感情が、容易に読み取れます。
……こんな幼なじみが欲しかった(読者の総意)
善ばかりで、八重が意識してないように思えますが、全く意識していないわけではなくて。
そのことを、日常ではなく、非日常的な場で明らかになります。
遠足の日、八重は母として善にお弁当を作ります。
更にはサプライズとして、お味噌汁まで準備していました。
しかし、昼食時に味噌汁を渡すことができない。
自分たちの関係が、周りにどう見られるか。
そこに気づいて、アワアワする八重が非常に可愛らしかった。
八重が取ろうとした行為は、彼女の中で、「幼なじみ」で通せる枠の中には無かったのでしょう。
「幼なじみ」の先、それを八重が少しでも想像したのかと思うと、僕の頬は大変なことになったよ!
同級生の中で、二人だけが同じお弁当を食べているシチュエーションがたまらない。
それ以上に、八重が善には上手く出来たものだけ渡して、自分には失敗作の方をいれているあたりが、可愛くてもう抱きしめたくなる。
この意地らしさが、むず痒くて心地良い。
なんて素晴らしい漫画なんだ……!
終わりに
えー、ほとんど料理に触れない感想になってますね(笑)
個人的には、しじみの味噌汁が食べたいと思いました。
いや、二日酔いにマジで効果あるので(ぉ
この漫画で描かれる料理は、暖かさがよく伝わってきます。
心が暖まる、という表現が適切かもしれません。それでいて、少し甘酸っぱい。
これが、初恋の味なのでしょう。
もうすっかり、この漫画の虜になってしまいました。
短期連載の時から好きですが、いつの間にかゲッサンでもトップクラスに好きな作品になっています。
こんな幼なじみが欲しかった。今からでもできないかな(無理です)
ここまで読んだら、まずは試し読みでしょ!