初恋ゾンビが大好きです。
単行本感想を書いて、これだけ面白いんだ!と言うのを書いたつもりでした。
けれど、今週号ではまた違った感情を持ちました。
切ない
「初恋ゾンビ」であるということ
僕は今回の話で、この先いつか、逃れられない切なさがあるということを痛感した。
イブは初恋ゾンビです。
タロウの妄想が具現化……というよりは可視化されるようになったものの、当然生身の肉体は持たない。
イブはタロウのことが大好きです。
そりゃね、元々はタロウの理想だ。タロウのことが好きに決まっている。
タロウが見えていなかった頃のイブは、自我を持っていませんでした。
自我を持ち、タロウにその存在が見えるようになり、話もすることができるようになって。
それが嬉しい。イブは今まで、無邪気にそう思っていたでしょう。
でも彼女は、タロウたちができる当たり前ができない。
彼女はただ、「眺める」だけ。
この口元だけのコマ、絶妙です。
あえて目を描かいことで、よりイブの感情が際立ちます。
彼女は、実感しているのでしょう。
今のこの光景が、きっと自分の手に入らないものだということを。
それを言葉にされた時の破壊力が、とにかく凄い。
さびしい。
字面以上に、寂しい気持ちになったのは僕だけではないでしょう。
イブの抱える寂しさは、僕達の思う寂しさと次元が違う。
その寂しさは、完全に埋めきることはできない。
それを僕たちは何となく感じ取ってしまうから、どうしようもなく寂しくなってしまうんですよ。
ご飯を作ってあげることも、一緒に食べることも。
好きな人に触れることさえ、彼女はできなくて。
このシーン、タロウがドキッとしていますが、それも納得です。
イブはタロウの理想で、寂しそうな表情なんてすることは無かったでしょう。
初恋が、理想を超えていく……
自分の想像の範囲を超えた表情に、ドキドキしない男なんていません。
イブに自我がある、心があるということを改めて感じさせる凄いシーンでした。
触れられなくても、側にいる
前述したシーンも切なかったんですけど、個人的にもっと切ないシーンがありました。
イブはむしろ、言葉少なめです。
でもその時の表情や行動が、どうしようもなく切なかったんだ。
勝手にいなくなるなよ。
ぶっきらぼうなタロウの言葉。
しかしそれは、素直じゃない、側にいて欲しいという気持ちの表れ。
抱きしめるように、「…うん」と伝えるイブ。
いや、抱きしめるようにというよりは、包み込むようにというのが正しいかもしれません。
愛しさと寂しさが、同時に伝わってくる。
愛しい人を包むように、触れてしまえば壊れてしまうかのように。
いっそギュッと抱きしめられたら、どんなに僕の心が救われるか。
抱きしめたいのに、抱きしめられない。触れられないのに、触れられない。
それが痛いほど伝わってきて、どうしようもなく切なくなりました。
自我が芽生え、タロウと話せるようになった。
それはイブにとって嬉しいことでしたが、同時に彼女は、自我を持つゆえの寂しさも覚えることになりました。
この先いつか、タロウとイブの関係がより深くなるにつれて、読者は決して逃れることのできない切なさを味わうことになるでしょう。
想像しただけで、胸が苦しくなってしまう。
それが実際に描かれる日がきたら、僕はどんな反応をしているんでしょうか。
……だめだー、初恋ゾンビ面白すぎるよ。
終わりに
初恋ゾンビに翻弄されっぱなしです。
もしかしたら、読者の喜怒哀楽を全て引っ張りだすつもりなのかもしれない。
自分の予想や想像を超えた展開に、ノックアウトされてます。
リバーブロー、ガゼルパンチ、デンプシーロールのコンボを食らっているみたいだ(笑)
ラブコメというジャンルをそんなに読まない人にも、読んで欲しいと思ってしまう話でした。
この切なさに、悶絶しよう。