いやあ、今月のサンデーSはとても良かった。
本誌で好評連載中の、以下の4作品のショート漫画が掲載されるということで、結構話題になった今月のサンデーS。
・初恋ゾンビ
・天野めぐみはスキだらけ!
・魔王城でおやすみ
・古見さんは、コミュ症です。
一応思い出せば買っているレベルでは読んでいますが、今月はかなり楽しみに待っていました。
上記4作品のショート漫画を堪能し、読み切りで面白いのが無いかなとパラパラ読んでいたら……あるじゃないか!
私のアンテナが、ビビビと反応しました。
それが「バカと天才」でした。
もう描かなくなったあの人へ。何かを止めた人も、続けている人も読んで欲しい「結んで放して」 - いつかたどり着く
バカと天才のコンビ
天才の少年・天府くんと、お馬鹿な少女・大葉さんは結構仲良しです。
いつも天府くんが、大葉さんに勉強を教えています。
この関係性が、絶妙に良い。
ただ教えたり教わる関係じゃなくて、ちゃんと二人ならではの関係がここにはあるんですよ。
天府くんは、天才だけど友達が少なくて。
大葉さんはおバカだけど、友達は沢山いて。
天府くんが、大葉さんのあっけらかんとした雰囲気に惹かれるのがよく分かります。
もちろん二人はただの友達ではあるけど、天才だって男の子、やっぱり気になってしまうのはサガでしょう。
この天府くんが、頭のいい馬鹿なのが、この漫画の最高に面白いところです。
二人で勉強しているところに、飛び込んでくる野球ボール。
熱いのによくやるなあという天府くんの冷めた意見に対し、大葉さんは違ったコメントを出します。
自然にこういう発言ができるところが、大葉さんの好かれるところなのでしょう。
この発言に、ちょっと焦った感じの天府くんが可愛い。
大葉さんは、頑張っている人が好き。そう捉えることもできるシーンではありますからね。
更に、偶然彼女が男性と腕を組んで歩いていることを目撃。
消沈の天府くんは、大葉さんの前から姿を消してしまいます。
うーん、この後どうなるんだろう。
個人的に、以下の2パターンだと考えていました。
①大葉さんが強引に天府くんを捕まえる
②天府くんが、大葉さんに隠れて何かを頑張っている
結論から言うと2番なんですが、頑張り方が予想外でした。
何を頑張ったかは、大葉さんが、再び窓を突き破ってきたボールの出処を見た時の表情で分かる。
もうこの表情がたまらない。
この瞬間、全部分かっちゃったのである。
読者も、大葉さんの表情で全てを察することができました。
自分がその立場になって考えてみると、確かに第一声は「あー」になるわ!
グラウンド近くまで走っていって、バカって叫ぶシーンはもう、ニヤニヤが止まりませんでした。
素晴らしい展開というしかない。
ちょっとズレた、だけど間違いなく青春と言うべきやりとりに、私の心は撃ち抜かれていました。
がんばっていることがカッコいいのであって、「野球を頑張っている」ことがカッコいいわけじゃない。
誰でも分かりそうなことなのに、天府くんはそれが分からないのだ。
大葉さんが野球部を見て「がんばっているのかっこいい」って言ったから、野球をする。
天府くんに取っては、至って単純な結論だったのだろうけど……(笑)
でも本当にニヤニヤしてしまったのは、この後のシーンでした。
そんなことしなくても……。その後に続く言葉を考えるともうね!!
恥ずかしくなったのか、その言葉は頑張れに変わってしまったけど、読者にはしっかりと伝わっていました。
そんなことしなくても、天府くんは頑張っていてカッコいいよって言いたかったことが。
もう!もう!もう!
頬の緩みが止まりませんでした。なんだこのニヤニヤメイカーは。
久しぶりにグッとくる読み切りを読んでしまいました。素晴らしいな!