いつかたどり着く

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漫画とかの駄文書く。

【昔の記事を掘り起こした】追悼~今敏~を観に行ってきました

アニメ

この記事は2010年に書いたものです。

2010年8月24日、アニメ映画監督として有名な今敏氏がお亡くなりになりました。
その追悼として、早稲田にある名画座早稲田松竹今敏作品の上映が行われることになったので見に行ってきました。
急遽お誘いすることになった方と二人で名画座に。初回から「パプリカ」「千年女優」「東京ゴッドファーザーズ」と3本連続で一気に見ました。

割と早く来たのが良かったのか、そこそこの席に座れました。初回から立ち見が出るほどの盛況ぶりでした。
3本目の東京ゴッドファーザーズを観終わり外に出ると、長い列が出来ていました。見ると、最後に放映する20時半の3回目のパプリカ以外は全て券が売り切れていました。
改めて、ファンに愛されているのだと感じました。

パプリカ・千年女優東京ゴッドファーザーズともに過去に見たことはありましたが、歳をとってから見るとまた違った風に感じました。
以下、大まかな感想など。ネタバレ含むので閲覧注意

パプリカ

これはここ数年で見た作品で、上映作品では唯一複数回見た作品です。その分内容も覚えていたため、新鮮さというのはあんまり無かったかも。
この作品の一番のポイントは『狂気』

五輪官女たてです
蛙たちの笛や太鼓にあわせて回収中の不燃ごみが後から後から吹き出してくるさまは圧巻で
まるでコンピュータグラフィックスなんだこれが
総天然色の青春グラフィティーの一億総プチブルを私が許さないことぐらいオセアニアじゃ常識なんだよ
さぁ今こそ青空に向かって凱旋だ
絢爛たる紙ふぶきは鳥居をくぐり 周波数を同じくするポストと冷蔵庫は先鋒をつかさどれ

ちょっとカンペキにあってるか自信はありませんが、大体こんな感じの言葉遣いが劇中であります。
このまったく意味が分からない、さりとて単語自体の意味は理解可能で、どことなく薄気味悪さを覚えるこの言葉回し。
狂人の夢に脳内を乗っ取られてしまった際のものなのですが、「狂気」というのをこれ以上無く言葉で表現していると思います。


この文を思いつく脳内を私は少し見てみたいとすら思いました。
また、何度見てもゾクリとするシーンがあります。夢が現実と混ざり合った祭、ビルの上から次々と笑顔で飛び降りていく人間たちのシーン。


何度もそこは見ているから分かっているのに、鳥肌が今回も立ってしまいました。これが狂気か、と心底思いました。
話としては少し専門的な用語などもあり難しく聞こえる部分もありますが、あまり気にしなくても問題なく楽しめます。平沢進の音楽に映像が付いているということだけでも私はもの凄く楽しかったのですが(笑)


夢を他人と共有できる……それは素敵なことでもありますが、覗かれたくないものもあるし、悪用される危険性もある。だからこそ管理する人間がしっかりしなければならないのだと思いました。
個人的には、悪役の親玉が悪用しようとした理由をもうちょっと説得力を持たせて欲しかった気がしないでもないですが、まあ些細な問題です。
今回ももの凄く楽しめました。劇場で観るのは良いなあ。

千年女優

個人的には、3本の上映作品では一番好みが分かれる作品だろうなあと思っていました。
何というか、実験的な作品……のように私は感じているんですよね。
ある意味では、アニメだからこそ出来た表現というか。虚実混じり合った藤原千代子の回想を複数の人間で共有し時には演じて。
実写向き……と言われるみたいですが私はあんまりそうは思わなかったんですよね。むしろこれ実写でやったら違和感ありまくりじゃないかと。


ただ、今度実写化されるそうなので、私の考えはどうやら違っているようです(笑)
話としては、全体的に掴み所がない、掴ませないという印象ですかね。最後のセリフが結構意見分かれるんですよね。私としたら、手段と目的が入れ替わることなど日常でもたたありますし、彼女の場合はそれが人より長かっただけというか。
自分が輝いている瞬間が好き、って別にそこまで不自然でもないでしょう。ただ、台無しにしたと取られかねないなとは多少思いますが。


あとは藤原千代子の笑みが、今敏監督作品で一番美しいなと思ったり。あの色々な思いを内包した笑みに心が引きつけられました。美しいとすら思いました。
個人的には楽しめましたが、少し中だるみした部分はあったような気がします。とはいえ、やはり面白いことには違いはありません。

東京ゴッドファーザーズ

この映画を見たのは小学生くらいですが……やはり今見ると感じ方が違うなあ。
一番面白いと思ったのが東京ゴッドファーザーズでした。だいぶ前に見たので新鮮さがあったせいでしょうけど(笑)
笑えるし泣ける、ほんの少しアンダーワールドな部分を描きつつも、共感を覚えさせるような上手い構成だったと感じました。
親と子というのを少し考えさせられました。親と子の数だけその在り方があるのかもなあと、よく言われるようなことをしみじみ思いました。


そんなことを考えながら、タクシーの運転手とのやりとりの場面ではクスっと笑ってしまったり。シリアスとコメディーのバランスは秀逸という表現しか思いつきません。
最後の清子を連れて飛び降りようとした女性に対してのミユキの言葉で私の涙腺が決壊しました(笑)
彼女だからこそ言える、いや言えたのかもしれません。あの3人組の中で一番若いミユキに言わせるからこそ私は泣いたんだろうなと。

設定に甘さがある……と言われる部分もあるようですが、肝心の部分は完結してますし、受け手の想像に任せる部分が少し多いだけだと私は考えています。
全てに決着を付けるより、この後はまた別の物語……的な終わりの方が私は好きです。だって、自分が考えられる余地がありますから。
少し足りない、と思うくらいが案外ちょうどいいんじゃないかと。もちろん満足度はお腹いっぱいです!


今敏監督作品全てに言えますが、OPのクレジット表記が凄い好きなんですよ。
あの劇中にあるもので、表現していく手法。単純に文字が映像の上に貼りついているのではなく、文字が劇中の世界に溶け込んでいます。


町の看板に、作画監督・脚本の名前が乗る。うっかり見逃しちゃいそうになるときすらあるんですよ本当に。
そういう表現が凄く好きでした。
あれももう……見れないのかなあ。いや夢みる機械でやってくれると確信していますが。
3本見て、改めて素晴らしい作品を作った方なのだと感じました。

ここから今の時間軸

ふとパプリカが見たくなって、そういえば昔記事を書いたなあと探したらこの記事が出てきました。
もうあれから、5年も経とうとしているかと思うと、不思議な気分です。
今敏の作品、今見ても面白いんだよなあ……

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