女子高生、それは恋多き生き物。
「命短し 恋せよ 乙女」という言葉があるように、花真っ盛りの女子高生ならば、恋のひとつやふたつは当然かもしれない。
もちろん、その枠に当てはまらない女子高生も存在する。
「女子高生にムリヤリ恋させてみた」の主役である、恋沼めばえは、その枠にハマらない女子高生だ。
恋愛なんてくだらない、彼女はそんな風に主張する。
しかし種の存亡をかけて彼女に恋愛を実践してもらいたい宇宙人が表れた結果、彼女はムリヤリ恋をさせられてしまうのだった
意外と上手い、恋の駆け引き
宇宙人によれば、種の存続を目的として地球人と交配したいという思いが、宇宙人たちには恋愛感情がない。
地球人との交配のために恋愛感情を学ぶため、地球一恋愛力が低いめばえを実験台にして、恋愛を学びたい……とのこと。
ゴリラと恋愛したくはないので、渋々従うめばえの最初のターゲットに選ばれたのは、幼なじみの小山内次郎。
何とも思っていないはずなのに、強制恋愛装置のせいで、写真だけでドキドキしてしまう。
とは言え、いくら恋愛感情を高ぶらせても、恋愛力が低いめばえに、アプローチ方法なんてわかるはずもない。
そんな読者の期待を裏切るかのように、めばえは絶妙に男心にヒットする選択をしていく。
恋はムダと言っていたわりに、恋の駆け引きに長けているめばえ。
予想外の引き出しの多さに、思わずニヤッとしてしまう。
少なからず、恋愛に興味はあったことが分かってしまうのだ。
メールでの連絡でさえ才能を感じさせるテクニックは、直接会った時にこそ真価は発揮される。
強制恋愛装置がONの状態で、登校前に小山内くんと遭遇するイベントにて、発される一言はすべての男子生徒を落とす破壊力がある。
こんな言葉を言われてみたいだけの人生だったという感想が浮かんでしまうくらいの、インパクトのある台詞。
どこで学んできたんだ、こんな恋愛テクニックを……
これはもう、実は家の本棚いっぱいに、恋愛小説が詰まっている可能性さえあるね。
一緒に登校するという選択ではなく、あえて男女を意識させる言葉のチョイスが素晴らしい。
絶対意識しちゃうね、男は(断言)
このドキドキは、装置のせいじゃない
強制恋愛装置のせいで、小山内くんにドキドキしてしまうめばえ。
逆に言えば、強制恋愛装置がなければドキドキしないということでもある。
宇宙人が見ていないスキに、めばえは小山内くんをはっきりと突き放す。
それで小山内くんとの実験は、少なくとも終わるはず。
しかしその認識は、誤っていたのだった。
結局のところ強制恋愛装置は、恋のきっかけを作る装置だったのだろう。
「ときめく」ことを知ってしまっためばえは、装置がなくても、幼なじみのちょっとした言葉や笑顔に、ドキドキしてしまうようになる。
女子高生にムリヤリ恋させてみたと聞くと、人道的にそれはどうなの?と少し思ってしまうかもしれない。
しかしめばえも、別に恋が嫌いだったわけではない。
元々は小山内くん関連の恋愛でゴタゴタしか過去があり、恋愛を遠ざけていたという背景があるのだ。
恋愛するやつはバカとまで思うようになったのは、多分遠ざけすぎてこじらせてしまったからだろう。
めばえにとっての強制恋愛装置は、眠っていた誰かに「ときめく」という感情を起こす、目覚まし時計のような存在なのかもしれない。
とりあえず、赤面する女子は最高にかわいいので、もっとドキドキして欲しい。
終わりに
「女子高生にムリヤリ恋させてみた」は、となりのヤングジャンプで毎週木曜日に最新話が更新されている。
恋をムダと言っていた女子高生が、最初は強制的に、段々と自然にドキドキするようになっていく姿に、ぜひニヤっとしてもらいたい。