好きだからこそ、辛くなることがある。
今週の初恋ゾンビは、ヒロインたちのそんな切なさが滲み出る構成になっています。
恋するということは、好きな相手を想って幸せになることももちろんありますが、好きだからこそ気づくこともあり、苦しい気持ちを抱いてしまったり。
乙女センサーが敏感になったヒロインたちが、切なさを滲み出したとき、読者も思わずグッと惹きつけられてしまう。
江火野さんが物語をぐいぐいと引っ張り出した初恋ゾンビ、今週も必見の展開でした。
あ、それと一言言わせてください。
水曜日は少年サンデー!
— 峰浪りょう「初恋ゾンビ」9巻発売中! (@ryo_minenami) 2017年11月1日
初恋ゾンビついに100話が載りました!ありがとうございます!!
まさか100話も続くとは…感謝感謝でこれからもがんばっていきます!
てわけで巻頭カラーは全員集合!
物語は江火野がぐいぐい!どうぞよろしくです! pic.twitter.com/lnQdftl7sd
初恋ゾンビ100話到達おめでとうございます!!
思い出は沢山あるけれど、とにかくこの節目の数字まで、初恋ゾンビがたどり着く瞬間を見ることができて本当に良かった……!!
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それぞれの「男女」が、胸を締めつける
文化祭編を経て、自分がタロウを好きだということに気がついた江火野さん。
あらためて指宿くんとタロウの関係を振り返ってみると、気になってくる点は多々あって。
二人の隠し事の手がかりを探そうと思いだしたはずなのに、出てくるのはタロウと指宿くんの「男女」の光景。
当時、江火野さんは指宿くんを女性だとは知りません。
これまではそこに、男女を感じることはありませんでした。
しかし今は違います。
女性と知ってから思い出す指宿くんとタロウとの姿に、江火野さんは「男女」を感じてしまっていて。
ああ、江火野さんが切なさで胸を痛めているシーンが、こんなにも愛おしいなんて……
このシーンで好きなのは、江火野さんがその痛みを受け止めようとしている部分なんですよ。
今の胸の苦しみこそが、自分がタロウを好きだという証拠だというように。
江火野さんはもう、好きという気持ちから逃げ出したりしない。
切なさも、苦しさも含めて、きっと恋だから。
江火野さんはそれを今、噛み締めている。
こんなの、絶対愛おしいって思ってしまう。江火野さんをますます好きになってしまう……
江火野さんの恋は、芽吹いたばかりのものです。
この痛みも恐らくは、はじめてのものでしょう。
誰かを好きになる苦しさ、切なさ、そして嬉しさを、江火野さんはこれから体験していく。
その中で、江火野さんがそれをどんな風に受け止めて、少女として成長していくのかがもう、楽しみで仕方がないのだ!
一方、恋するオトメ歴10年の指宿くん。
最近敏感になった江火野さんの乙女センサーに比べて、連載当初から指宿くんのセンサーは感度良好です。
いち早く江火野さんの気持ちに気づく等、ライバルの恋心によく反応するセンサーに仕上がっていて。
江火野さんが長女気質を発揮して心配しているというタロウの発言に対し、伝えるわけにもいかないからボソッと呟く指宿くんが切ない。
ちゃんと伝えてしまえば、取り返しがつかなくなる気がしたのか。
それとも、自分が伝えるようなことではないと思ったのか。
恐らくは、その両方の気持ちが、タロウには届かない程度の小さなボリュームにさせたのでしょう。
それでも吐き出さずにはいられなかった、指宿くんの心情を思うと胸が苦しい。
江火野さんも指宿くんも、自分以外の相手がタロウとの「男女」の関係にあることを意識して、胸を痛めている。
好きだからこそ、他の誰かの「好き」にも敏感になってしまう。
指宿くんの気持ちを、江火野さんははっきりとは知らないはずだけど、「男女」を感じ取るくらいはできてしまうのだ。
恋する切なさを、この漫画はあらためて読者に伝えてくる。
揺れる心。そして綻び
ヒロインたちが心を痛める一方で、タロウは自分の気持ちが定まっていないことを自覚します。
あの初恋ゾンビ大解剖も素晴らしい。何が良いって、タロウ⇒指宿くんへの感情が「?」になっているところ。色々な事情が絡まって、まだ揺れ動いている感が分かりすぎて困る。きっと好きなんだけど、そう単純な好きじゃないのだ……
— ふな@転職活動中 (@hosome252) 2017年11月2日
自分は誰が好きなのか。イヴなのか、あるいは指宿くんなのか。
ここでおもしろいのが、それ以外の選択肢をタロウはまだ考えることができていないことなんですよね。
タロウの第一の考えは、「イヴ」を大切にすることで。
そう思っていたのに、山登り編で、イヴの輝きは指宿くんを想うほど輝くことに気がついてしまい、心が揺れている。
タロウが自覚しているのは、イヴと指宿くんへの気持ちで。
文化祭編で、その気持ちが一時的とは言え完全に吹っ飛んで、江火野さんに魅了されていた事実をまだタロウは知らない。
イヴが完全に眠っていたことを、指宿くんしか知らなくて。
読者から見ても、タロウはまだまだ気が付かなければいけないことが山ほど残っています。
どういった場面で、タロウがそれに気づいていくのか、あるいは知らされていくのか。
想像しただけで、少年のようにドキドキしてしまう(笑)
タロウが自分の気持ちに悩むことで綻びができたのか、江火野さんの接近に気が付かず、イヴに呼びかける声を聞かれてしまいます。
普通に立ち聞きしてて笑った。
心配でついてきたとは言いますが、やっていることは普通に盗み見&盗み聞きです。
後ろめたい気持ちがなければ、普通に話しかければよいわけですからね。
それをしなかったということは、言い方はよくないけどタロウを泳がせたということでしょう。
うーむ、これは名探偵江火野さん。
私は上手いこと初恋ゾンビの存在は誤魔化すかな?と予想していましたが、江火野さんがだいぶ踏み込んできています。
朱々子からイヴという言葉が幼き頃の指宿くんの愛称という情報も入手して、かなり真実に近づいている感じ。
江火野さんは、タロウ家でイマジナリーフレンドの話を聞いたことがありますが、それを結びつけることができたら、いよいよ初恋ゾンビの存在を知ってしまうかもしれませんね。
終わりに
ヒロインたちの恋をする切なさが、ひしひしと伝わってきて読んでいて痺れてしまいます。
100話分の積み重ねが、話の展開に深みを与えているのが分かって、ずっと応援してきた身としては非常に嬉しい。
モバMANのヒメゴト(あるいはひとつ前の溺れる花火)からのファンにしてみれば、私なんかは新参ものかもしれないけど、
それでも連載当初から感想を書き続けてきたから、この100話巻頭カラーは本当に嬉しいです。
ブログで宣伝して、物理的に布教して、Twitterで初恋ゾンビトークする機会も増えて。
まだまだ、この漫画を楽しみたい。もっともっと、悶えさせて欲しい。
ということで、今後も当ブログは初恋ゾンビを応援していきます。
みんなで、初恋ゾンビというコンテンツを盛り上げていければ楽しいだろうなあ。