いつかたどり着く

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「初恋ゾンビ」目と目が逢う 瞬間、芽生えた想いの名前を僕達はまだ知らない。

読まないなんて勿体無い。
こう言われたら、反発して「読まねーよ!」と思う人もいるでしょう。
それくらい、強い言葉だと思います。


でも私は、「ラブコメ好きなら」という限定をした上でなら、自信を持ってこう言いたい。


初恋ゾンビを読まないなんて、勿体無い。


1巻部分こそ、少しスロースターターとも言える序盤でした。
しかし、ここ数ヶ月の展開は、読者を惹き付けて離さない。


読者の頬を幸せにするくらい、ラブをコメらせて。
それでいて恋愛漫画以上に、青春漫画以上に。
胸が締め付けられるような恋も、呼吸を忘れるような青春も。
この漫画には、確かにある。

心臓の音が聞こえる

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先週に引き続き、縁結び合宿とも呼ばれる林間学校にて、タロウが自分を呼び出すのではないかと勘違いしている江火野さん。
たかが勘違い。されど勘違い。
勘違いから始まった恋も、ラブコメ好きの読者ならたくさん見てきたことでしょう。


二人が幼なじみであることに変わりはありませんが、少しずつ、だけど確実にただの幼なじみでは無くなりつつある。
江火野さんの胸の高鳴りが、それを強く証明しています。


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どうなるか分からない、どうしたいかも分からない。
それでも彼女は、確かに誰かを待っている。
本当は、誰を待っているか知っているのに、気づかないふりをして彼女は待ち続ける。


だって、知らないわけがないんですよ。
タロウが誰かに告白をすると噂された時、考えられる相手が江火野さんしかいなかったように。
江火野さんもまた、待つ相手なんてタロウしかいなくて。


指宿くんを弟みたいと言ってしまった江火野さんはもう、自らタロウを待っていると言ってしまっているようなものなのだ。
江火野さんが誰を待っているかなんて、タロウを除いたすべての関係者が分かる答え。
それでも、当事者だけが気づかないんだから、もどかしくてたまらないのだ。


誰を待っているか分からないけれど、タロウから告白された場合のことを考えてしまう江火野さん。
明らかにタロウ待ってるじゃん!って読者は思ってしまうけど、心臓の音が聞こえるくらいドキドキしてしまっている江火野さんは、やっぱり気づかない。


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一人で焦れている江火野さんが、最高に可愛い。


誰も焦らしてないのに、勝手に一人で焦れている江火野さん。
このシチュエーションだけでもう、私の頬のニヤニヤは止まりません。
江火野さんの赤面顔に、ファンになってしまった読者も多数いるようです。


この記事書いてる今でさえ、このシーン読み返してニヤニヤしてしまっています。
皆が江火野さんの可愛さに気づいてしまっている。
嬉しいけど、私だけの江火野さんじゃなくなってしまって、寂しい。
※最初から違います。

呼吸を忘れるほどの青春

当然といえば当然ですが、タロウは来ません。
なにせ、他の人の恋を応援している最中なのだから。
じゃあ会えないのか?と言われれば、もちろんそんなわけはない。


周りが見えてなかった風の江火野さんが、なぜか草むらから何かが出てきたようなちょっとした音に気づく。
もちろん、それはタロウなわけで。
これがラブコメなんだよ!この主人公が発するサインに気付けることこそ、ラブコメのヒロインの才能です。


他の人を呼び出すのではないかと、ムッとした表情でタロウの後をつける江火野さん。
タロウのことが、気になって仕方ないようです。


で、真相を知って、ホッとして去ろうとするわけですが、二人は出会ってしまいます。
タロウは、他クラスの男子が江火野さんに告白する可能性を知っているので、江火野さんも誰かに呼び出されたのではないかと考えて。
しかし、タロウは省エネ男。
先週、江火野さんに告白しそうな男子の存在を知っても、興味の無さそうな反応をしていました。


今回も……そう思うかもしれません。
ただ、先週の興味の無さそうな反応も、わざとそう見せているように見えて仕方ありませんでした。
はっきりと「失恋ゾンビ」になる、という言葉にも、どこか含みがあるようで。


江火野さんが、タロウが気になって追いかけてきたように。
タロウもまた、江火野さんのことを気にしていたことが分かるシーンがもう、最高という言葉でも足りない。


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一瞬呼吸を忘れるほど、魅入ってしまった。


何なんだこの漫画は!
さっきまで江火野さんの心臓の音が聞こえると思っていたら、今聞こえているのは私の心臓の音である。
どんだけドキドキしてるんだよ(笑)


目と目があった瞬間、二人は何を思ったのでしょうか。何を考えたのでしょうか。
私たちはその答えを、まだ知りません。
当事者である彼らもまた、はっきりと分かっていないのだから。


ただ1つ、暗示されていることがあるとすれば。
この次のシーンは、キャンプファイヤーの火が揺らいでいました。
きっとそれは、心に火が灯ったことを示しているのでしょう。


名前の分からない想いを燃料にして、二人の心に火が灯る。
今はまだ小さいかもしれないけれど、確かな灯火がそこにはあるのだ。
最高じゃないか、もう!


このシーンを何度も読み返して、そのたびにため息が漏れる。
心が満たされていくのが、分かります。
ニヤニヤを通り越した先の境地に、たどり着いた気がした。

終わりに

江火野さんと目があった瞬間、タロウが何を思ったかは分かりません。
ただ、イブはその時間眠りにつきかけていた。それが1つの事実です。


気持ちの正体が分からないから、何も言えなくて。
いや、きっと上手く言葉にできなくて。
タロウと江火野さんは一緒に広場に戻ってきても、特に会話もしている様子はなく、視線さえバラバラでした。
逆にそれが、たまらなく甘酸っぱい。


離れていく江火野さんを横目で見る指宿くんがまた、切ないのだ。


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何が合ったか分からない。いや、分かりたくないのだ。
薄々は感づいていても、その事実を知りたくないのだ。
きっとその事実は、胸を苦しくさせるものだから。


ダブルヒロイン両方好きなだけに、このシーンはもう切なくて苦しい。


おまけに、後ろで振られたであろう男子が周りから慰められている。

多分、一番苦しいのはそいつ。


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