いつかたどり着く

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「初恋ゾンビ」 ヒロインたちが上を向いて歩く夜が、素晴らしかったのだ……!

あけましておめでとうございます。
今年はじめての初恋ゾンビ感想ですが、去年のサンデー掲載時の感想です(笑)
2016年内にやっておけよ!という話ではありますが。


さて、私にとって、2016年は初恋ゾンビと出会うためにあったと言っても過言ではありません。

www.itutado.com

上記感想書いてる時は、割と本気でそう思ってました。
読み返すと、かなりの檄文を書いてしまったな。。。


そんな2016年を象徴するラブコメの初恋ゾンビですが、最新号では、タロウとヒロイン勢の関係を更に発展させそうな展開になっていました。
指宿くんファンの皆様、お待たせしました!

今もまだ、消えない気持ち


タロウの姉が前号から登場していますが、指宿くんが女の子であることに気がついているようで。
彼にフラれた償いと称して、指宿くんに女装させます。
……いや、元々女性なのだから、女装ではないんだけど。


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赤面指宿くんキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!


女の子らしい格好をするのが恥ずかしいというよりは、この姿をタロウや江火野さんに見られるのが恥ずかしいと言ったところか。
服装もそうですが、髪型を少し変えるだけでずっと女性らしい印象を受けます。
女装指宿くん(ショート版)もいけるじゃんか!
※だから女装ではない


タロウも意識しないようにしていたとは思いますが、ふと見ると、やっぱり可愛くて。
イブの姿が、指宿くんの服装に変わるほど意識してしまったようです。
どれくらい意識したかが分かるので、イブはある意味メーターになる。
イブメーターと名付けよう(イチ・メーター意識してます)


イブの姿が変化したことに動揺する指宿くん。
汁物をこぼすくらい動揺してしまい、少しタロウを責めます。
……あ、汁物をこぼすって別に隠語じゃないからね?


ただし、タロウは指宿くんにも責任があると言います。
そして、この後に紡がれた言葉に、指宿くんはトキメキを抑えられないのだ。


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完全に乙女の顔である。


誰が見たって、もう女の子の顔ですよ。思春期真っ只中の少女ですよ。
なんで誰もこの指宿くんの表情を見ていないんだ!
見なければ気づきようがない。これが鈍感力を極めた先にあるものなのか……(違います)


このシーン、非常に良いんですけど、個人的にはこれ以上描かれなかったことがまた良い。
指宿くんが、タロウの言葉になんて返答したかが描かれていないんですよ。
なぜでしょうか?


多分、何も言えなかったのだと思います。
男性のふりをするならば、馬鹿なことを、そんな風に否定すべきでしょう。
でも、指宿くんは何も言わなかった。
嬉しくて、何も言えなかった。


今の自分を、まだタロウが可愛いと見てくれていたことが、本当に嬉しかったから。
上手く返す言葉が思い浮かばず、ただただその言葉を噛みしめる。
タロウもまた、それ以上は言葉にしない。
そんな沈黙が、このシーンの後に確かにあったと思います。
それを読者に想起させる展開が、実に素晴らしい。


……深読みしすぎ?
いや、そんなことはない、はず。多分ね!(笑)

自分の知らない、幼なじみ


前号の最後から江火野さんも登場し、タロウの家で皆でご飯を食べています。
その際、タロウ母から恋愛系の鋭い質問が。
彼氏はいないと答えるも、好きな人は?という問に一瞬の沈黙。


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女性陣は、しっかりとその「間」に気がついていました。
つまりは、多少なりとも思い当たる節があるということに。
特に指宿くんは、内心結構ドキドキしているのがバレバレです。
ライバルの情報だもんね、気になって当然です。顔に出やすい指宿くんがまた可愛い。


江火野さんが、またタロウと関わってくれるようになったことが嬉しそうな、タロウ母。
仲が悪くなったわけではなかったけれど、そう話した江火野さんに対するタロウ姉の言葉は、なかなかに意味深である。


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先程と違って、明らかに「間」があるわけではない。
多分、どれほど考えても今の江火野さんには「そうですね」としか言えなくて。
だからこそ、そこにいた誰もが、江火野さんに思う部分があることに気がつかなかったのでしょう。


江火野さんは、タロウが「省エネ」男になった原因が、指宿くんがいなくなってしまったことに起因していることをこの話で知ります。
自分が知っているタロウがいて、それこそが本来のタロウかもしれなくて。


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江火野さんとタロウが出会った時、タロウはすでに「省エネ」男でした。
そんなタロウと、小中と10年くらい江火野さんは一緒にいて。
自分の知らないタロウがいることを、想像もしなかったことでしょう。


これまでの話から、江火野さんはタロウに「変わって欲しくない」と思っていたことが読み取れます。
自分の知っているタロウでいて欲しい、そんな感じかもしれません。
でも、それは元々タロウが持っている姿で。


多分、江火野さんはタロウとの関係が変わるのが怖かったのでしょう。


でも、タロウ姉の言葉で、ちょっっとしたきっかけで幼なじみの関係性が変わる可能性を知って。
見落としガチですが、江火野さんの言葉から、すでにタロウとの関係性が「変わって」いることが分かります。
きっとそれは、「ただの」幼なじみじゃ無くなっていることを指しているのでしょう。

涙がこぼれないように

この話のタイトルは、「上を向いて歩こう」です。
言わずもがな、坂本九の名曲です。
アメリカ人に知らないって言われたらSUKIYAKIって言えば分かる人は分かるかもしれません(若い人は知らないと思うけど)


なかなか深いタイトルにしたなあというのが、個人的な感想です。
最後の方で、ヒロイン二人は夜空を見上げます。


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上を向く二人。
歌詞的に考えれば、涙が溢れないように上を向いているはずです。
でもきっと、泣きたくなる理由は二人共違うはずです。


指宿くんは、多分嬉しくて。
タロウが今も自分を可愛いと思っていてくれていること。
10年前の別れで、タロウもまた人生が変わったという体験を共有していたこと。
きっとそれらが、嬉しくて。少しだけ泣きそうになっているのかもしれません。


江火野さんは、多分寂しくて。
自分の知らないタロウがいて。
指宿くんと再びであったことで、タロウがまたその姿を見せるようになっていて。
そして、自分とタロウの関係が少しずつ変わっていって。


江火野さんの気持ちは、多分様々な感情が混ざり合っていると思います。
関係が変わることの怖さ、逆に期待といった想いも、もしかしたらあるかもしれません。
でもこの場面での一番の感情は、やっぱり「寂しさ」だと思います。


自分の知っているタロウじゃなくなっていく寂しさ。
「省エネ」じゃないタロウがいたことを、自分が知らなかった寂しさ。
色々な寂しさが、この時の江火野さんにはあったんじゃないかと思います。


……はあ、初恋ゾンビに魅入り過ぎて、読了後にため息ばっかり出ちゃう。。。

終わりに


いつの間にか、サンデーで一番楽しみにしている作品になってしまいました。
Twitterでも毎日のようにエゴサーチしてます。すっかりファンだな(笑)
イチャラブコメディーも良いけど、切なさがにじみ出るラブコメが個人的には大好きです。


青春は切ないのである。だから青春ラブコメディーが良いのだ!


ちなみに今回のタイトルは、すき焼き食べてる話だからとのこと。
あと指宿くんは上を向いて「歩いて」はいないけど、そこは……(笑)
※指宿くんは車で帰宅しました

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