今週のニセコイが素晴らしかった、素晴らしかったんだ。
私はすじピン!の感想を書く気満々だったんだけど、今週のニセコイを読んで何も書かなかったら、私は二度とニセコイが好きだなんて言えない。
※感想ブログ書いててネタバレ注意なんて書くのも今更ですが、この先はネタバレの配慮とか一切しないので一応収納します
伝えなかった気持ち。伝えたかった気持ち。
春ちゃんは楽が自分の王子様だと知っていたことを告げました。
それはつまり、彼女の想い人が楽であると伝えることでもあります。
楽が本当は優しい人で、変な噂で起こった誤解も今はないことを伝えます。
けれど、けれど彼女は楽を好きというわけではないと言いました。
感謝している、千棘とのニセモノの関係も知っているけど広めるつもりはない。
そして、お姉ちゃんをよろしく……春が楽に伝えた真実はこれだけでした。
違う。そうじゃない。それだけじゃない。
彼女が楽に本当に言いたかったことはそれじゃないんだ。
それでも春ちゃんは、楽に自分の想いを伝えませんでした。
楽が姉を好きなことを知っていて、姉もまた楽が好きなことを知っていて。
彼女は自分の気持ちを「伝えない」という選択を取りました。
その程度の好きだったんじゃないか、心ない人がそういうこともあるかもしれません。
ふざけるな
春ちゃんは本気で楽のことが好きで、でも姉のことも本当に大好きだから、自分の心を押し殺したんだ。
親友の前で、彼女は誰にも言えなかった気持ちを初めて言葉にする。
涙が溢れて。想いが溢れて。
こんなにも胸が苦しくなるのは、春ちゃんの気持ちが本気だったからに他ならない。
伝えなかった気持ち。本当は伝えたかった気持ち。
何度も何度も、このシーンを読み返しました。そのたびに、春ちゃんの気持ちにあてられてしまいました。
私の好きな「君曜日」という作品に、こんな言葉があります。
好きって気持ちがかなわなくても 一方通行でも やっぱり 恋だと思うの……
春ちゃんの気持ちは、実らないものだったかもしれません。
でもその気持ちは、間違いなく恋でした。ヒロインとして、読者の心を揺れ動かすレベルの恋だったんだ。
恋をすることの切なさを、春ちゃんは僕に忘れさせてはくれないらしい。
泣いていい、僕たちは春ちゃんのために泣いて良いんだ。
だからその時は、その後に続く言葉を僕たちはまだ知らない。
春ちゃんは髪を切りました。
少し大人っぽくなった春ちゃんの姿に、落ち着かない私の心はまだ少しざわついてしまう。
自分の進路を決めた春ちゃんは、楽に新作のお菓子を渡します。
今までで一番美味しいという楽の言葉は、春ちゃんがスランプを抜けたことを示しています。
楽へ恋をしてスランプとなり、楽への恋に決着をつけてスランプを抜けだして。
好きじゃなく無くなったから抜けた、そんな単純な話じゃない。
このシーンは、楽への恋を自身の糧にして、春ちゃんが歩み始めている証拠なんだ。
新作の和菓子を渡して、早々に立ち去ろうとする春ちゃん。
だけど、少しだけ振り返って。
伝えられなかった気持ちを、ちょっとだけ滲ませて。
春風のいたずらで、その言葉が最後まで紡がれることはない。
「その時は」に続く言葉を、僕たちはまだ知らない。
作中で明らかになることはないかもしれない。それでも良い。
「その時」は、必ず春ちゃんに訪れる未来だと信じているからだ。その時に楽が取る行動が、きっとその後に続く言葉なんだ。
読者がやることは1つで良い。僕がやることは1つで良い。
精一杯の恋をした、春ちゃんのために泣こう。
今週のニセコイは最高でした。長々書いたけど、言いたいことってつまりそういうことです。