年を取るごとに、恋をすることに疲れてしまう。
漠然とそんなイメージを持っていた私にとって、こいいじは新鮮なマンガでした。
- 作者: 志村貴子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2015/03/13
- メディア: コミック
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あらすじ
下町の銭湯「すずめ湯」の娘・まめは、子供の頃からずっと幼馴染みの聡ちゃんに片思いを続けている。聡ちゃんの妻・春さんが亡くなってから一年、まめの恋心は募るばかり。そこへ突然、まめの姉・ゆめが帰国するとの報が入り、胸騒ぎの予感です。
フラれても、フラれても、
あきらめられない、究極の片思い。
30歳女性。ずっと片想い。報われない片想い。
それでも、諦められない。
ピュアな想いに、胸を打たれました。
何度フラレても、どんなに辛くても、諦められない気持ち
主人公・まめの好きな相手は既婚者です。
いや、物語が始まる時にはそうではなくなっていましたが。
物語は、まめの好きな相手「聡太」の最愛の人の一周忌からスタートします。
好きな相手が、フリーにはなっていて。
聡太の娘からも、お母さんになって欲しいと言われるくらい好かれていて。
条件的には、揃っていました。それでも、想いは届かない。
好きになったのは、中学生の時。
いや、もっと前から好きだったのかもしれませんが、告白したのは13歳の時でした。
返ってきた言葉は、ありがとう。
しかし翌日に見た光景は、女性と仲良く手をつないでいる聡太の姿でした。
数年後にもう1回告白し、それでも届かなくて。
最後の告白は、言わずに終わってしまいました。
「結婚することにした」
その言葉に、全てを飲み込まれて。
30歳。
1つの節目の年であり、まめの同級生たちも、続々と結婚していきます。
それでも近所のお兄ちゃんに、しつこく片想いしてしまう。
脈がないと、面と向かってはっきり言われても。
呼ばれた結婚式で、涙をこらえてローストビーフを食べたとしても。
それでも、好きという感情は消えてくれません。
諦められない気持ちが、彼女の中には確かにあって。
その切なさに、年甲斐もなくキュンとなってしまいました。
30歳の、ピュアな恋
大人になったら、思春期の頃のようなキラキラした恋ではなく、色々な要素が絡んだ打算的な恋が多くなっていく。
そんなイメージを、この作品は知らないとばかりに壊していきます。
まめの恋は、いじらしいほどピュア過ぎて。
好きな人のいつもと少し違うおどけた仕草に、どうしようもなく悶えたり。
普段の立ちふるまいは落ち着いているだけに、聡太が絡んだ時に見せる反応が実に乙女過ぎて困る。
聡太の一挙一動に反応し、そのたびにまめから「聡太が好き」という感情が溢れる。
なんていじらしい恋なんだ。
酔った時、聡太に運んでもらい、自然と感じる体温。
忘れられないよね。
だって、ずっとずっと好きな人の体温なんだから。
いや、困った。
30歳の女性の片想いが、こんなにピュアなんて。
それでいて、作品全体の落ち着いた雰囲気と絶妙にマッチしている。
面白くて、困っちゃうなあ。こじらせそうです。
こいいじというタイトルが、実にしっくりくる作品でした。
いじらしい恋の行方を、もう見守るしかない。
- 作者: 志村貴子
- 出版社/メーカー: 太田出版
- 発売日: 2015/04/14
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- 作者: 志村貴子
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2015/03/19
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