「彼女とカメラと彼女の季節」が堂々完結。
- 作者: 月子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2014/09/22
- メディア: コミック
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実に素晴らしい作品でした。そのうちレビュー書こうと思います。
今回は前々から書きたかった、カノカメから見る盛岡のお話を書きます。
……私が盛岡市出身だからなんですけど(笑)
カノカメを語る上で、キャラクター以外にも外せない要素があります。
それは「橋」です。
カノカメにおいて重要なシーンは少なからず、橋の上でした。
例えば、読者へのお見えとも言える1話の最初の見開き。
開運橋を渡り自転車で学校に向かう、主人公・あかりが描かれています。
盛岡の街中を舞台としている以上、橋というのは重要な要素です。
水の都を自称する盛岡は、街の中心部を川が複数流れていることもあって街中に橋が多い。
この最初に描かれた開運橋という橋は、その後何度も登場します。
突発的ではない、初めて計画的なデートをした時も、また開運橋でのワンシーンが描かれました。
いつも見ている景色。でもいつも以上に綺麗なのは、ユキが隣にいるから。
自分が本当にユキが好きだということを、このシーンであかりは改めて自覚します。
夕焼けを反射する北上川(だよね)と、南部片富士と呼ばれる理由がよく分かる岩手山。
これだけでも充分素敵な景色ですが、好きな人が近くにいるだけで、それが涙が出そうなほど胸打たれる景色にもなる。
なぜか少しだけ、切なさも感じさせるシーンです。
ユキと仲違いした時、あかりが訪れたのはやはりこの開運橋。
あかりにとっては日常の一部であり、心が安らぐ素敵な風景も見られるということもありますが、何より「ユキ」との思い出の場所という意味が強いのだとこの場面で感じました。
ちなみにここであかりは号泣します。人通り凄く多いところなので、実際にあったらかなり目立ちそうです(笑)
自分にとってユキという存在がいかに大きかったかを、あかりはここで実感します。
ユキと出会ったことで、モノクロだった世界がカラーになった。
ユキと共に見た開運橋からの風景が胸を打つほど感動したのは、まさにモノクロだった風景に色がついたからだったのでしょう。
ユキが自分の想いを自覚するシーンも、また橋の上でした。
いつも泰然としていたユキが、初めてと言っていいほど明確な動揺を見せます。
自分の気持ちから目を背けているというあかりの言葉を、凛太郎を前にして分かるくらい自覚してしまいました。
もうここまで来るとはっきり断言できます。
彼女とカメラと彼女の季節において、橋というのは重要なファクターです。
橋は人の流れと中継点であり、出会い、そして別れたりする場所です。
そういった意味合いを含んで、重要なシーンでは橋が舞台となっているのかもしれません。
個人的には、月子先生が橋に思い入れがある……というか橋が好きだからだと思っていますけど(笑)
そして最終話。1話の見開きと比べて見て下さい。
分かりますか?
1話の見開きと、あかりが自転車で行く方向が逆になっているんですよ。
最終話と1話の同じく橋を描いた見開きが、対となっている。
色々考えちゃいますね、この構図。実に素敵な構図です。こういうの大好き。
いかがでしたか?
1話から最終話まで、今回紹介したものよりもっと数多く、橋が描かれるシーンがありました。
盛岡の街中の風景を話す上で、橋というのは語れない存在だということが何となく伝わったかなと思います。
街中を川が流れ、その上に橋がかかり、岩手山が顔を出す。
これが、盛岡の風景です。カノカメからも、それがよく読み取れます。
というわけで、今回はカノカメと盛岡の風景のお話でした。
感想とは別に、一番ひどい目にあったけど1番たくましくて立派な凛太郎の記事も書きたいな。