いつかたどり着く

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とある居合道部員が決めた、2012年度の読んでおきたい8冊の漫画

大学の居合道部に所属している部員は、8割近くがオタクもしくはオタク予備軍です。
少なくとも東日本はそうです。私もアニメはあまり見ませんが漫画は好きです。
だから漫画ランキング記事書くよ!(理由になっていない)


もうすぐ会計年度的に2012年度が終わってしまうので、その前にやっちゃおう……というのが本当のところ。
厳しくない武道系のライトヲタがどんな漫画を読んでいるか、参考になれば良いなと思います。
勝手に定めたルールとして、基本的に2012年度内に1巻が発売した漫画に絞るよ!


「君曜日」

君曜日―鉄道少女漫画 2

君曜日―鉄道少女漫画 2

最近発売された君曜日ですが、本当に面白い。ルールに基本的と書いたのはこの作品のため。ほぼ独立しているけど、一応鉄道少女漫画2なので。前作を読んでいなくても問題はありません。

妻子のある男性を好きになってしまった亜子と、その亜子が好きな小平。
噛み合わなかった二人の会話が徐々に繋がり、真っ直ぐな小平の気持ちに亜子が少しずつ惹かれて行く様に頬が自然と緩みます。
それでいてなお、捨てられぬ想い。忘れえぬ人。

亜子の好きな男性も含めて展開されていくストーリーは、実に繊細にキャラの心情の機微を描いています。

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中村明日美子の確かな表現力にもう、魅了されっぱなし。
表情の僅かな変化も、コマで表現する間もご馳走です。
私がコアなマンガ好きにも自信を持って勧められる、数少ない作品。


「ハイキュー!!」

ハイキュー!! 1 (ジャンプコミックス)

ハイキュー!! 1 (ジャンプコミックス)

これからのジャンプを引っ張る作品としても期待されているであろう、ハイキュー!!はニワカと言われても外せません。実際ニワカだからね!

私自身としても、健太やります!以来ハマったバレー漫画です。
健太は大きくなってしまいましたが、この作品の主人公・日向は小柄なままでしょう。
身長が高いほうが有利、と思われている(一般には)バレーの世界で、相棒であるセッター影山をはじめとしたメンバーと共に戦っていく物語です。

日向のひたむきさ、真っ直ぐさが素直に心地良いと思えます。プライドの高い影山との対比もあり、良いコンビだなあと読んでいて思います。
高校部活漫画らしい爽やかさがありながら、ワクワクするような試合展開に夢中です。

チームワークが大事なスポーツということもあり、互いに信頼を深めていく過程、信じて任せる場面などは心震える時さえあります。
熱くなれるスポーツ漫画を挙げるなら、間違いなくハイキューです。


「ニセコイ」

ニセコイ 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

ニセコイ 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

テンプレ的だ?それがどうした!この作品はラブコメの王道なんだ!
年をとるに連れ巷に乱立するラブコメのテンションの高さに着いていけなくなった私でも、このニセコイは読んじゃいます。

2012年度の読んでおきたい漫画というより、2000年代をゼロ年代とするなら10年代を代表するラブコメと言われることになるでしょう。
千棘は王道であるが故に、読者の心を裏切りません。
小野寺さんはその不憫さ故に、読者の心を掴んで離しません。

照れた表情はとにかく可愛い。素直になりたいのになりきれないその様子に、頬の緩みが収まりません。

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たいていラブコメ好きにはその作品ごとに、推しキャラがいます。私の場合、ニセコイは千棘です。
それでいてなお、それ以外のヒロインにときめくことがあるのがこの作品の素晴らしいところ。
ダメばいの破壊力はそれくらい凄かった。


「式の前日」

式の前日 (フラワーコミックス)

式の前日 (フラワーコミックス)

式の前日は、Twitterで話題になったのは知っていましたが初めて読んだのは部室。
ちょっとオタっぽい部活(サークル)の部室には、まず漫画がありたまに未読の良作に出会えます。

これが新人というから驚きです。丁寧に結婚する前の人々の心情を描きながら、巧みなミスリードにより読者が読了後に「やられた」と思ってしまうこと間違い無し。
その二人でしか生み出せないその場での感情を、巧みに掬い取って物語への昇華させる技術は見事としか言えません。

不器用かもしれないけど確かにある、人を思いやる優しさ。
それを物語全体と通して上手く表現していました。切なくもあり、暖かくもある。そんな不思議な感覚を覚えます。
話題になったことで逆に読みにくいと思う人もいるかもしれませんが、話題になるだけの面白さがあるのでぜひ読んでみて下さい。


「ひとりぼっちの地球侵略」

ひとりぼっちの地球侵略 1 (ゲッサン少年サンデーコミックス)

ひとりぼっちの地球侵略 1 (ゲッサン少年サンデーコミックス)

良作揃いのゲッサンの中でも、この作品は最初から期待値が高かった。
というのも、以前とある飛空士への追憶をコミカライズしていた人だったからです。あの作品も良かった。

今作は、高校に入学した広瀬が地球を侵略しにきた少女・希と出会うことよりスタートします。
祖父を救うため最初はいやいや彼女に協力することになった広瀬ですが、彼女がいかに「ひとりぼっち」で宇宙人と戦っていたかを知ります。

この際の心理描写は、見事というか圧巻というか。これだけ説得力をもたせるというのは難しい。
それほど確かな孤独を、私たちに伝えて来ました。だからこそ、広瀬と出会い二人で過ごした日々がどれだけ素敵で大切だったか。

お前はもう一人ぼっちじゃないんだ

このセリフが私の心を鷲掴みにしました。それまでの過程を確かな説得力で描き、差し出される「相棒」の手を描かれたらもうイチコロですよ(私が)
可愛い絵柄ですが、結構キツイシーンも隠すこと無く描いています。
今一番期待している、ハートフルSF漫画(他にそんなSF漫画が今あるか知らないけど)


「Latin」

高畠エナガ短編集 1 Latin

高畠エナガ短編集 1 Latin

表紙に破壊力を感じたのがこのLatin。Twitterで評判が良かったので書店を探しに行き、この表紙を見た瞬間に買おうと即決意しました。
表題作Latinのヒロインの、この泣き顔。これがあまりにも印象的で。

何かを訴えかけてくる、そんな泣き顔をしばらく見つめてしまうほどに。

Latinの内容は捨てられたアンドロイドと共に生活をする話です。
捨てられた側の辛さ。捨てる側の辛さ。
互いの想いが交じり合い、少しずつ打ち解けていく姿は自然と頬が緩みます。
自分を意識していることを知り、ちょっと弄ぶようなラテンがまた可愛い。

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ニヤニヤするなって言う方が無理でしょ!
作者である高畠エナガは、非常に物語の熱を伝えるのが上手い作家だと思います。キャラの心情が、確かな熱となって読者に伝わってきます。
熱と言うと冷めそうですが、何度読んでも冷めないから素晴らしい。
短篇集第二弾も発売され、今後の活躍が楽しみな作家です。表題作Latinが今のところ一番好き。


CATCH&THROW

とよ田みのる短編集 CATCH&THROW (ゲッサン少年サンデーコミックススペシャル)

とよ田みのる短編集 CATCH&THROW (ゲッサン少年サンデーコミックススペシャル)

私の大好きな、とよ田みのる先生の短篇集。表題作は少年サンデーに掲載された作品。
収録された作品のほとんどはコミティアで出された作品で、私は全て読んでいましたが単行本で読むとまた格別でした。

表題作CATCH&THROWは、フリスビーを通じて想いを通じ合わせるというテーマの作品。
二人でフリスビーをして遊ぶ姿は、私たちが生活する上での基本的なことが詰まっているように感じました。

受けて、投げる。それを繰り返し、私たちは日常を紡いでいく。

私たちは一人では生きられなくて、誰かと寄り添い支えあいながら生活しています。
その上で欠かせないコミニケーション。それがフリスビーには詰まっていました。
発信し、相手がそれを受け止め、また返す。その繰り返しの上に、私たちの生活が成り立っているのだと実感しました。

そんな当たり前のことが、実は難しいこともまた、作品を通して学びました。
大切なことをたくさん伝えてくれる作品だと想います。


「竜のかわいい七つの子」

九井諒子作品集 竜のかわいい七つの子 (ビームコミックス)

九井諒子作品集 竜のかわいい七つの子 (ビームコミックス)

竜の学校が山の上が好きで、作者買いをしたらまたもや当たりでした。
「絆」をテーマにした今作は、違う環境で生活するキャラたちの絆の在り方を描いています。
特に竜を描いた「竜の小塔」が大好きです。

戦争する二つの国の国境付近で、竜が巣を作り子育てを始めます。戦争なんか関係なしに、生命の営みを行う竜の姿。本当に賢いのはどちらなのか。そんな風に考えたりします。
懸命に生きようとする竜の姿は、たまらなく美しい。そんな姿を美しいと思う感情は万国共通で、竜を通して争っている国に住んでいるのもまた人間なのだと意識する展開は見事。

魅力的な設定使って、実に巧みに描く展開にただただ感嘆するばかり。
原始的な自然あるいは生命を通して、私たちに何かを問いかけているようにも感じました。
全編心暖まる作品です。カバーイラストも本当に素敵。こだわりを感じる。


以上が2012年度の読んでおきたい漫画8つです。
「あの漫画ないぞ」とか多々あると思いますが、ライトヲタの居合道部員が選んだので勘弁して下さい。

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