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可愛い顔して、やることはやっちゃう。ゆるかわ少女から目が離せない「バイオレンスアクション」をおすすめしたい

怖い。可愛い。面白い。用はないけど依頼したい。

「バイオレンスアクション」公式サイトに掲載された、ワンパンマンの原作者であるONE先生のコメントだ。
「用はないけど依頼したい」というコメントが同意しちゃうほど秀逸で、感想ブロガーとしてちょっと悔しい。


「バイオレンスアクション」は、主人公が依頼をこなしていく物語だ。
天然っぽい可愛い主人公に対して、依頼内容は不釣り合いに見えるくらいハードだ。
そのギャップやアンバランスさが、他にない魅力を作り上げている。

水商売ですか?いいえ殺し屋です。


主人公・ケイは殺し屋である。
1話目冒頭で、死に絶えそうな男の前で、よく見てきたかのような雰囲気で男を看取ろうとする。
可愛い顔して、カメラを持って。


彼女を回収する役割の男がいるなど、フリーではなく組織に所属していることが分かる。
というか、殺し屋はバイトらしい。
どこでそんな求人をしているのだろうか。


依頼も、現代的にネットで申し込むことが可能。
もちろん、法的には完全にアウトなので偽装は必須。
ポータルサイトも、一見してそれが殺し屋のサイトと分からないようになっている。


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私はアクセスしたことがないので分からないが、風俗サイトに偽装させているようだ。
ヒットマンを指名できたり、料金や指名状況が分かるなど、なるほど偽装しながらも条件を適切に指定できるあたり、風俗サイトは理に適っているのかもしれない。
世の中の風俗サイトの1割くらいは、実は殺し屋の偽装ポータルだった……?


ケイはその殺し屋組織の中でも、ナンバーワンのヒットガールらしい。
思い出して欲しいのは、ケイはバイトでやっているということだ。
正社員の殺し屋、立場が無さそう……


最も、正社員は裏方で、実働部隊はバイトで固められている可能性がある。
何かこう書くと、殺し屋組織もブラック企業みたいだ。
(ある意味最初からブラックだけど。法的に)


殺し屋といっても、殺す方法はいくらでもある。
毒・あるいは薬、女の武器を使った閨での殺し。
だが、ケイの方法は至ってシンプルだ。真正面から、始末する。


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ヤクザの事務所に正面から乗り込み、顔色1つ変えずに淡々と始末していく。
一人、また一人。相手に考えるスキも与えない。
乗り込む前に見せた彼女の不敵な笑みが、非常に印象的だった。


恐れなど微塵も感じさない。揺るぐこともない。
ゆるかわ少女の見せるギャップに、見事に魅了されていくのが分かった。

生きる目的と、少女の歪み。

主人公でありヒロインであるケイについて、1巻では、いや最新話でもその背景については謎のままだ。
なぜ彼女のような少女が、殺し屋をしているのか。
そのスキルをどうやって身につけたのか、疑問は多々ある。


ただ1つ分かっているのは、彼女がマシーンではないということだ。
ケイは依頼を受けて殺しをしている。快楽のために殺しているわけではない。あくまで仕事だからだ。


彼女は殺し屋という裏の仕事をしている一方で、目的を持っている。
「日商簿記2級合格」という、裏世界の住人に似つかわしくない目的だ。


恐らくではあるが、ケイには元々生きる目的がない。生きる意味を見つけていない。
どう生きたら良いか、どう生きるべきかが分からないのだ。


それでも彼女は、それを良しとしなかった。
無いのならば作れば良い。小さなことから始めれば良い。
その彼女の小さな歩みの1つが、「日商簿記」なのだ。


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分からなくて、模索する意味。
他人から見れば無意味でも、彼女にとっては「明日」に繋がる行為なのだ。
手探り状態でも、彼女は明日を探している。未来を求めている。


言葉の端々から、そういった気持ちが透けて見えるのが、この作品の素晴らしい部分である。


上記の通り、彼女はマシーンではない。
だが、歪んでいるのは事実だ。


ケイは予備校に通っている。その中には友人もいる。家に呼べるくらい仲の良い友人だ。
それでも彼女は、その友人が殺されるシチュエーションを想像しても、冷静に自分が生き残る姿を想像できてしまう。
友人を殺した敵を全て殺して、自分が一人だけ生き残っている姿が。


それは恐らく、事実なのだ。
だからこそ、歪んでいると思わずにいられないのだ。


今後も変わらず、彼女は依頼をこなしていくだろう。
彼女がこの先どうなっていくかは、全く読めない。
何かあるとすれば、それは多分、出会うことだ。


出会うことで、人と関わっていくことで、彼女に中に何かが生まれ、変わっていくことがあるかもしれない。
「日商簿記2級合格」の先にある未来を、見つけることができるかもしれない。


そんな部分もまた、これから楽しみにして読んでいきたい。

終わりに

やわスピの中でもトップクラスに好きな作品だったので、単行本発売は首を長くして待っていた。
読み応えのあるマンガなので、ぜひ読んでもらいたい。
やわスピはね、人気無いと結構簡単に終わっちゃうから……


ちなみに敵にも魅力的なキャラがいて、特にみちたか君は一部ファンにコアな人気がある模様。
頭おかしいからね、あいつ。

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wikiで調べたらイコールだったよみちたか君!


※試し読み
yawaspi.com

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