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この漫画が面白いんだ!「おはようとかおやすみとか」を涙目になりながらおすすめする

家族って言われて、何をイメージしますか?


私は普段、その存在を意識することはあまりありませんでしたが、疲れた時に家族の側にいると、安らぐのを感じたりします。
それは私が家庭的に恵まれていたからで、全ての家族がそうとは思いません。


最近出会った「おはようとかおやすみとか」という漫画は、いわゆる擬似家族漫画です。
まだ家族としての「在り方」も定まっていません。
今まさに、家族になっていく様を描いている漫画です。


おはようとかおやすみとか

おはようとかおやすみとか


その家族になっていく様が、たまらなく心の琴線に触れてきて、泣きそうになってしまう。

帰る場所


この漫画は、主人公・和平の元に今まで存在を知らなかった妹たちが飛び込んでくるところからスタートします。
自由奔放な親が家を出て、一人暮らしを謳歌しようと思っていた和平に取って、彼女たちの存在は到底好ましいものではなく。


かといって、幼子を無下にすることもできず、とりあえず一泊させてあげることにします。
その中で、姉が妹達を抱きしめるシーンが非常に印象的でした。


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彼女たちには、帰る家がない。
言ってしまえば、心の拠り所がありません。
まだ小さな妹達にとって、それはとても不安なことでしょう。
だから寂しくなって、誰かが自分の側にいることを確かめるかのように、抱きしめてもらう。


姉の体温を感じることで、自分が一人ではないことを確かめる。
それはきっと、本来なら母がしてあげているはずの行為なのでしょう。


柔らかく、暖かく。
けれど確かにある不安を、印象的に描いたシーンでした。


和平はその様子を見て、何をしているかピンと来ていない様子でしたが、次の日に彼女たちの心境を理解します。
昔住んでいた家が、取り壊されて綺麗に無くなっているのを見た時に。


嫌いだったはずのに。取り壊すことを決めたのは自分なのに。
失って、初めてそこが「自分の帰る場所」だったことに気がつく。


その様子を見て、姉妹たちが取った行動が、きっと家族になる始まりだったんだ。

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帰る家はない。けれど。
側にいることを伝える。一人じゃないことを伝える。


言葉ではなく、触れることでそれを伝えていました。
妹達はいつも姉にしてもらっているように。姉は弱々しく震えながら、和平の袖を掴んで。


血はつながっているかもしれない。けれど会ってまだ2日の彼らは、他人に近い関係で。
それでも、相手を思いやる姉妹の姿にグッときました。

おはようとかおやすみとか


ひとまず家に置くことは決めたものの、出会ったばかりの彼らが、上手く共同生活をおくれるわけがありません。
一人の時間が和平は欲しくて、姉妹を遠ざけようとする発言をしたりもします。
それはある意味、当然のことで。


家族って言われたからすぐに家族になるものではないでしょう。
何気ない会話を繰り返して、同じ時間を過ごして。
そういったことを積み重ねていくうちに、自然に家族になるのでしょう。


1日の挨拶を想像してもらえれば、分かりやすいでしょう。
例えば、おはようとかおやすみとか。

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おかえりとか、ただいまとか。


毎日繰り返される、家族にとって当たり前の挨拶。
出会ったばかりの彼らには、そういう当たり前を繰り返していくことが、家族の形を作っていくことに繋がるのだと思います。


今はまだ、ぎこちない挨拶。
それは、和平と妹たちの距離感を物語っています。


けれど、そのやり取りを当たり前にしたいという想いが皆にあるのならば。
きっと彼らは、家族になれるのではないかと思っています。


出会ったばかりの、ほぼ他人の彼らは、簡単に分かり合えるはずもない。


でも会話を繰り返すことで、おはようとかおやすみとかを繰り返していることで。
少しつづ、心を通わせる。相手の痛みや喜びを、理解していく。


その様がもう、抱きしめたく程愛おしいんだ。


彼らのおはようとかおやすみとかが、当たり前になることを願わずにいられない。
当たり前になる様子を、この目で見たくて仕方がない。


凄まじく、心に響いてくる漫画でした。
自分、涙いいすか
この擬似家族漫画は、本当に凄い。心からおすすめします。


そして僕らは家族になる (1) (まんがタイムKRコミックス)

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