いつかたどり着く

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恋をする切なさを、この漫画は忘れさせてくれない。「君曜日」を再読して

中村明日美子の君曜日を再読しました。


君曜日 ─鉄道少女漫画2─ (楽園コミックス)

君曜日 ─鉄道少女漫画2─ (楽園コミックス)

君曜日2 ─鉄道少女漫画3─ (楽園コミックス)

君曜日2 ─鉄道少女漫画3─ (楽園コミックス)


この漫画を読んで、切なくならない人はいない。
恋をする眩しさに当てられて。叶わぬ想いの行方に、考えを巡らせて。


君曜日では、一組の少年少女の恋模様が描かれています。
いや、恋になっていく様子という方が正しいのか。

恋の芽生え

私はこの漫画を最初に読んだ時、恋という気持ちが生まれていく様に悶えていました。


www.itutado.com


君曜日の1巻(鉄道少女漫画シリーズとしては2巻)を読んだ時が、まさにそうでした。
最も、それは恋の入り口に立ったというレベルなのですが。
でもそこに辿り着くまでのやりとりが、私の心の琴線にこれでもかと触れてきて。


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お友達からお願いします。


ありきたりな、陳腐な言葉かもしれません。
しかしこの言葉に持っていく流れが、素晴らしくて。
詳しくは上記記事を読んで頂きたいのですが、一連の「間」が凄まじい。本人たちが感じた、一瞬、だけど少し長く感じたその時間を読者も体感することができます。

このシーンが素晴らしすぎて、私は何度も読み返してしまう。


君曜日2巻では、お互いの距離が確実に縮まっていき、変わることを恐れていたヒロインが小さな……けれど当人にとっては大きな一歩を踏み出します。
ゆっくりと、しかし確実に恋になっていくそのやり取りに、私はたまらなく悶絶していました。

好きって気持ちがかなわなくても 一方通行でも


この物語のメイン二人を、ここで改めて紹介します。
ヒロインが亜子で、彼女に恋をする少年が小平です。
その他にも何人か重要な人物が登場しますが、特に小平の幼なじみで、もっちーと呼ばれる少女の話を、今回私はしたくなってこの記事を書いています。


彼女は小平のことがずっと好きでしたが、その気持ちは言えないままでした。
どれくらい好きかは、長い言葉にしなくても、すぐに分かってしまった。


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亜子と小平の話をして。小平が好きなのかと問いかけようと思った瞬間、彼女の想いが溢れていました。
自分でもどうしようもない想いが、ただただ溢れてしまっていて。


100回好きという言葉を並べるよりも、たった1回の本気の想いが溢れた「好き」の方が説得力がある。
彼女の涙が、その気持ちを強く読者に伝えてきました。
自分でもどうにも抑えられない気持ちが生まれてしまうのが、恋なんだということを改めて実感します。


正直、1巻時点ではちょっと良いシーンくらいに取られていましたが、2巻を読んでからこのシーンを読み直すともうね。
切なくて、苦しい。


2巻では、もっちーは自分の気持ちに素直になって、小平にアプローチをかけます。
反応は、そう悪いものではありません。
お祭りで二人。浴衣姿への反応も上々。流れるちょっと良い空気。


けれど。偶然同じ祭りに参加していた亜子たちと出会った時。
浴衣姿の亜子を見た、小平の反応を見た時。


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言葉なんていらないくらい、分かってしまう。
小平が亜子の浴衣姿を見て、どう思ったかを。一瞬で、魅了されてしまったことを。


もっちーだから分かる。小平が好きで、ずっと見てきたから分かる。
小平が、亜子を想っていることを。
残酷かもしれないけど、彼女だから分かってしまうことでした。


自分の想いが、小平に届かないことが。


ただただ、切なくて。叶わぬ想いの行方を考えて、胸が苦しくなって。


君曜日1巻で、亜子の友人が言ったセリフが、ここで思い出されました。

好きって気持ちがかなわなくても 一方通行でも
やっぱり 恋だと思うの…

これが恋か。この切なさが恋か。
叶っても叶わなくても、その一途な想いに、私達は切なくなってしまう。


恋をする切なさを、この漫画は忘れさせてはくれない。


読み終わって胸が苦しくて仕方ない人は、決して裏表紙を見てはいけない。


表には、亜子の満面の笑みが描かれています。

君曜日2 ─鉄道少女漫画3─ (楽園コミックス)

君曜日2 ─鉄道少女漫画3─ (楽園コミックス)

裏表紙がもっちーです。

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亜子の笑みの先にいるのは、きっと小平です。
小平に、亜子が満面の笑みを向けていて。その時小平は、一体どんな表情をしているのでしょうか。


そんな二人を、もっちーはどういう気持ちで、少し離れたところから見ているのでしょうか……


切なくて苦しい。それでもこの気持ちを、好ましく思わずにはいられない。
ため息が漏れる。作品に浸っていたいという気持ちでいっぱいになる。

君曜日、その全てに私たちは悶えるんだ。


gannbarenai.hatenablog.com

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