いつかたどり着く

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何かをカミングアウトする瞬間

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土曜日、近くのスーパーに買い物に出ていた。
珍しく土日に何の予定も入っていなかったため、2日分の食料を買おうと思ったからだ。


レジで順番を待っていると、後ろから何やら楽しげな声が聞こえてきた。
ふと後ろを見ると、若い女性たちがいた。買い物かごには、お菓子やらお酒やらが詰まっていて、これから誰かの部屋で集まって宅飲みをするのだろう。


その割に、微妙に敬語というか、彼女たちに距離があることに気づいた。
恐らくは、彼女らは新社会人で、同じ寮に配属された者たちなのだろう。私が住んでいる街は全体として家賃が安く、企業の寮があちこちにあるのを知っている。私が今住んでいる場所も、そんな寮の1つだ。


彼女たちの距離感がまだつかめきれていない感じが、1年前の自分を思い出させ妙に気恥ずかしくなる。
そんな中で、これから行くであろう部屋の主の女性が、少し流れを変えるような一言を発した。


「私の部屋、色々とアレなものが置いてあるけど、気にしないでね」


アレなもの……と言われてもすぐには分からないが、その場にいた女性陣たちはピンときたらしい。
すぐさま一人が、「中学時代で卒業したけど、理解はある」という発言をする。
このあたりで、何となく私も分かってきた。多分、オタク系の趣味だ。


その後、今も現役のオタクがいたらしく、意気投合する様子が伺えた。
もしかしたら、別に深い部分までその二人はカミングアウトしあうのかもしれない。
あまり聞き耳を立てるのも趣味が悪いので(もう遅い気もするが)、このあたりで私は彼女たちの会話を聞くのを止めた。


オタク趣味というのは、昔に比べれば非常にオープンにしても許される空気になっている。
それでも、カミングアウトすべきか気にしている人は多い。これは、オタク趣味に限った話ではないが。


そのままカミングアウトしない、という手ももちろんある。そうしている人だって、現に多いはずだ。
が、カミングアウトできるならしたい、と思っている人も多いのは事実だ。
趣味で繋がれるなら、繋がりたいという人は多い。


それが会社の人間であっても……だ。


しかし、やはり会社の人間というのは、他に対するカミングアウトよりも難易度が高い。
下手をすれば、人生で1番長く所属するかもしれないコミュニティだ。
カミングアウトすることで、自分のコミュニティの中での立ち位置が、マズイことになっていまう可能性もある。


個人的に、この時期のカミングアウトはなかなか早いなという印象だ。
入社して2週間弱、彼女たちにとって、社会人生活二回目の土日だ。
宅飲みの回数としては、3,4回、多くて6回というくらいだろう。この時間で見極めるのは、少し難しい気がする。


まあ大事なのは時間ではなく、どこまでなら言っても大丈夫かという判断ができるようになることだろう。
私なら1ヶ月くらいかける気もするが、すぐに大丈夫だと判断できる人もいるのかもしれない。


あるいは言い方の工夫もあるだろう。
オタク趣味だけで見ても、ジャンルは様々だ。


漫画好き→BL好きという、段階を踏んだカミングアウトもあるのかもしれない。
(男性だったら、漫画好き→COMIC LO好きとか)


何かをカミングアウトするのは、いつだって難しい。
理解してくれる人か、受け入れてくれる関係性を築いている人か等の判断が必要になってくるからだ。
私にとって、何かをカミングアウトする瞬間は、自分の中でその見極めができた時だと思っている。


そんな小難しいことを気にせず、生きられるのが一番かもしれないけど。
ちなみに私は、会社ではブログやっているとかカミングアウトしてない。見られたら恥ずかしいから(笑)


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