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「はじめてのあく」キョーコの不器用さ、素直さが同居する魅力

はじめてのあく(1) (少年サンデーコミックス)

はじめてのあく(1) (少年サンデーコミックス)


「はじめてのあく」という作品があります。
その漫画に登場するヒロインが私は大好きです。しかし彼女は、容姿的に見れば私が今まで好きになったキャラとはまったく共通点がありません。
何しろ私は、メガネっ娘、貧乳、ボサボサ髪はマイナス要素だと感じていましたから。好みの問題ですが、該当するキャラはなかなか好きになれないのが普通です。


そんな中、私は渡恭子というキャラが好きになりました。
さらには、メガネっ娘、貧乳、ボサボサ髪という私に取ってマイナス要素だったものが好ましいものに感じるようにさえなってしまいました。
なぜ私がこんなにはじあくのキョーコが好きになったかを少し考えてみると、「キョーコが併せ持つ不器用さ・素直さ」なのではないかということになりました。


主人公・ジローに対する不器用さ


キョーコは基本的に対人関係が下手です。単行本3巻では、ジローも自分も対人関係が下手だということは認めています。あまり接することがない人間はもちろん、親しい人間にさえ時々上手く接することが出来ないことがあります。
突然自分の家族となったジローには、最初は特にその傾向が強かったかもしれません。第1話で助けてもらったお礼をジローに素直にいうシーンがありますが、それはジローの性格を考慮した上でストレートに言った方が面倒でないという少し打算的なものがあったようにも感じます。


ジローを家族として認め、段々と人と上手に接することが出来るようになっても、ジローに対してはある一定の不器用さを見せています。
単行本2巻では、キョーコの父に届け物をしてくれとジローに頼むも、人助けをしている間に時間に間に合わなくなってしまうということがありました。


そのときのキョーコの対応に、ジローに対する少し甘酸っぱさすら感じさせる不器用が見えるんですよ。


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キョーコは、ジローがちゃんと仕事をこなせるかを確認するために、ジローを追跡していたためなぜジローが間に合わなかったかを知っています。
知っていますが、あえてそのことは告げず、あまり気にしなくていいよとジローに伝えるんですよ。
さすがに自分でも不器用かな、と思っているのか右下のコマはちょっと意味深な表情です。ちょっとカッコつけすぎかな、そんな風にすら思っているとも取れます。


不器用な形でしたか伝えられない、伝わらない。ただそんなところにも、キョーコらしい可愛さがあるんだと思います。

・言葉ではなく行動で伝える素直な感情


上に書いたように、キョーコという人間は基本的には不器用な人間です。しかしそれは基本的にであって、時に彼女は自分の感情に素直に従って、大胆な行動に出ることがあります。
どれくらい大胆かというと、彼女の親友のアキを赤面させ、ユキを楽しませるくらいに大胆です(笑)


さらにたいていの場合、言葉ではなく行動で示すことが多いのもキョーコの特徴の一つのように感じます。
まず記念すべき第1話で、ジローに貧相な胸を改造してやると言われたときには蹴り一発を放ちながら「出てけ」と言ったりするような行動を見せていますからね。


口で何かを伝えるようとする前に、体が自然と動くタイプなのかもしれません。
ジローに対する取材があって、そのことで家族のことに触れられたジローが少ししんみりとなる話がありました。家族離れ離れになっている状態のジローですので、寂しさは隠せませんでした。悪の組織の幹部であるジローも、高校1年生の少年であることにかわりはありません。


そのときのキョーコの励まし方は、読者の想像をはるかに超えていました。


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まさかの頭ナデナデでした。


キョーコ自身、その行動が正しいかどうか分からないと言います。
ただ彼女はジローを励ましたくて、何となく頭を撫でたくなった
深くは考えていません。ただ自分の感情に素直に従った結果がナデナデだったんです。


この漫画のほかのキャラには、そう出来る行動でもありません。いや他の漫画のキャラだってそうそう出来る行動でもありませんが。恥ずかしいというのはもちろんありますからね。
ただキョーコは、こういうときためらったりはしないんですよね。そういうキョーコの素直な面は本当に愛しいと思います。

素直になりたくて、でも不器用で


キョーコの不器用なところ、素直なところを上でそれぞれ書きました。キョーコが不器用さ・素直さを併せ持っているのが何となくですが伝わっていればと思います。
上記では、不器用な場面、素直になっている場面それぞれを紹介しましたが、不器用さ・素直さが同時に出ているシーンなんていうのもあったりします。


それが単行本2巻の、キョーコの母親に関する話の時です。ジローのおかげで亡くなった母の言葉が聞け、自分の誕生日を祝えるようになったキョーコ。
夜に家で二人きりになり、ジローの隣にいるときのシーンでした。


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ジローと呼びたくなって、素直にその名前を呼ぶ素直さ。しかし、それしかジローに対する思いを伝えられない不器用さ。

見事に素直さ・不器用さ両方が出ているシーンです。

このシーンは、いつもの2倍くらいニヤニヤしました。素直さ・不器用さ両方を一度に楽しめるんだから2倍ニヤニヤするのも至極当然の話ですよ。
ジローと呼んだときに、キョーコの表情が見えていないのもポイントです。不器用な感じにそっけなく言っているのか、素直に微小を浮かべながら言っているのか。読者に想像する余地を与えているのが実に素晴らしいと思います。このシーンだけで、単行本2巻は大満足できるくらい素晴らしい構図・構成ではないでしょうか。


キョーコの魅力は不器用さ・素直さが同居していることだと書きましたが、人によってキョーコのどんなところが魅力だというポイントは違うと思います。
ただ、私は容姿的に見ればキョーコは好みではなかったはずなのに好きになったことから、内面的な部分になにかあるんじゃないかと考えて今回の記事を書いてみました。


まあとりあえず、キョーコはすんごく可愛いということが一番伝えたい事ですね(笑)

画像引用元 はじめてのあく(藤木俊)小学館

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