いつかたどり着く

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「インスタントバレット」ラスボスは君か僕。世界を滅ぼす物語が始まる

世界から嫌われている人は、どうしたら良いんでしょうか?



「インスタントバレット」は、そんな世界から嫌われてしまった人たちを描いた漫画です。
いや、世界が彼らを嫌っているだけでなく、彼らもまた世界を嫌っているんだけど。


そんな人たちが強力な力を得た時、何をするか。
世界を壊すことを選択しても、不思議ではないでしょう。


厨二っぽさがありながらも、先を読ませないストーリー展開が非常に面白かった。正直舐めてた。


主人公・クロは世界のはじっこで生きている人間です。
どこかで道を間違ったのか、それとも最初から少しずつズレていったのかは分かりませんが、一人で生きていました。


彼にとって、世界は敵。


クリスマスの夜、偶然に自分のクラスの集まりが開催される現場にいってしまったクロ。
向けられる、悪意。味方などどこにもいない。


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優しさは染み入るように、悪意は突き刺すように。
悪意が何本も矢のように、クロの体に突き刺さっていくのが分かります。
見えない凶器が、容赦なく彼の精神に「傷」を作っているようで。私の心にも刺さってくるようでした。


で、ここで気になってくるのが下のコマに描かれている少女。
冒頭から出ているんですが、実はクロの空想上の少女です。


空想ですが……ちょっと自由に動きすぎなんですよね。
この1ページ後で彼女はクロを抱きしめます。それはクロが、心のどこかで望んでいることだと言う風に理解できます。


しかし上の画像のように、彼を心配そうに見つめる姿は、彼の意思とはちょっと違う気がするんですよね。
単なる空想ではなく、「独立」した部分があるのではないかと思ったり。
後々に、わかってくることかもしれません。


そんな時に、得体の知れないバケモノと遭遇します。同時に、一人の少女とも。
彼女も彼と同じく、世界に敵とされている人間でした。
ただ違うのは、彼女は世界とは違う明確な「敵」を探していたということ。


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いやあ、リアルだったら関わっちゃいけない類の女の子ですね(笑顔)
クロいわく、キツめのバカな彼女・セラ。
彼女は世界に嫌われながらも、世界に、あるいは誰かに認めてもらいないのかなと思いました。


存在しても良いのだと。自分にも確かな役割があるのだと。


そんなセラを結局は助けるクロも、これからヒーローを目指す……
と普通は思うのに、そんな安直な展開をこの漫画は許しませんでした。


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得体の知れない化け物は、クロが生み出した存在でした。
彼の望みは、壊すこと。この世界全てを。


セナがヒーローならば、クロは悪者という立ち位置なのでしょう。
少なくとも、対立する存在なのは事実です。
セナの敵になることを、すでにクロは決めてしまっていたから。


1巻帯の「ラスボスは君か僕」という言葉。
そのラスボスは、誰にとってのラスボスなんでしょうね……


どうでもいいけど、クロに褒められて照れている化け物が可愛いです。名前つけたい。


ちなみにセラは爆弾を生み出す能力があり、この漫画ではそうした能力を「インスタントバレッド」と呼んでいます。
「使い捨ての弾丸」とは、なかなか厨二……じゃなくて意味深な名前ですね。


インスタントバレットのことがよく分からないクロたちに、色々と説明してくれる存在がいます。
魔女さんです。名前はまだない(多分)


ヒロインのセラの頭のネジが吹っ飛んでいるので、割とまともに見えます。割と(ここ重要)


魔女の格好してる時点で、まともではないんですが。
インスタントバレットを持つ面々が、それ以上におかしいから相対的に……ね。


でも良いのです。ちょっとくらいおかしくても。

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だって可愛いから!


色々とあざとい。でもきっと作中で一番苦労するのも彼女なんだろうなという印象。
吹っ飛んだ行動を取るセナに真意を問うなど、明らかに振り回される役どころです。


個人的には、そんな不憫な場面を想像するとちょっと悶そうになります(歪んでる)


調停役とか監視者とか、そういった役割を果たしそうですね。とりあえず、早く名前が知りたい(別に魔女さんでもいいけどさ)


しかしクロはチョロい。これでよく知らない人間を部屋に入れてしまうのだから。
ただ男ならば仕方ない。美少女にこんなこと言われれば誰だって部屋に入れる。私だってそうする。


世界に絶望している風ですが、こういう場面から見てもそこまで全てを捨て切ってる感じではないんですよね。
彼はただ世界を壊したいんじゃなくて、壊して違う「何か」を作りたいのかもしれませんね。


かくして世界に嫌われた少年は、同じく世界に嫌われた少女に出会いました。
それはまさしく、ボーイ・ミーツ・ガール。いずれ戦う二人の出会い。


いやあ、面白い。先が読めなくて面白い。
何が良いかって、セラが正義でクロが悪とは言えないところが良いです。その辺りの描き方も上手いんですよ。


人に薦めてもらった作品なのですが、見事にハマってしまいました。
これのために電撃マオウを買うというのも、分かってしまうなあ。


……凄い蛇足なんですけど。クリスマスの日にさ。独り身の男性がさ。素敵な自慰ライフをと思って高い人型オナホール買ったのにさ。

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それが表紙詐欺だったら。私でも世界壊すね(クロの理由はそこじゃない)


※3巻感想を書くにあたり、別ブログから引っ張ってきた記事。明日は2巻感想(コピペして若干修正するだけ)

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