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「暁のヨナ」姫であったことをあなただけは忘れないで

暁のヨナ 5 (花とゆめCOMICS)暁のヨナ 5 (花とゆめCOMICS)
草凪 みずほ

白泉社

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この作品の表紙は、どの巻もそうですが本当に美しい。
4巻は愛らしさも感じさせる表紙ですが、5巻の表紙はただただ見惚れるばかりです。

人を照らす光を纏う少女


前巻で、洞窟の壁が崩れ閉じこめられてしまったヨナたち。
そんな状況で眼を見ると石になると言われていた青龍の仮面が外れ、怯える人々。


しかしそんな風に村人から怖がられている青龍は、敵意がないことを知らせるため眼を閉じ再び仮面を付けました。
さらには脱出のルートをいち早く確保しようと行動します。


外に出るために壁を掘る面々。唯一その場にいなかったハクの身を案じながら、ヨナは絶対にハクの元に帰ると強く思い脱出ルートの確保に全力を注ぎました。

ただ、密閉された洞窟の中で次第に息苦しくなる中での作業に、ヨナは倒れてしまいました。
そこで彼女を支え、別の場所へ運んだのは青龍でした。


こんなにも優しいのに、誰かを思いやっている人なのに。
里の人からは理解されていない、青龍の現状。

スキャン0023


悲しいのか、それとも悔しいのか。
その両方の感情が混じって、ヨナは涙を流したのだと思います。


だからこそ、ヨナは決意しました。
青龍が青龍として生きられる場所に連れて行くと。暗闇から連れ出すと。


ヨナのこういう芯の強さが私は好きなんですよね。
国を追われた身でも、凛とした王族というか人を導くようなオーラを感じさせます。
時には、暗闇を照らす光のような圧倒的な存在感で。


それはもしかしたら、先天的なものではなく後天的なものなのかもしれません。
秘龍王としての能力もあるかもしれませんが、個人的には痛みを知っているからだと思います。


暗闇の中にいた経験があるからこそ、その痛みを分かってあげられるのだと思います。
痛みを知っているから、癒したい。暗闇の怖さを知っているから、照らしたい。
そういうのがあるのではないかなと。
国を追われた経験さえも、本人は気づかないうちに成長の糧にしているのかなと感じました。

己が姫であったこと


青龍が旅に加わり、姫の概念がないからかヨナをヨナと呼び捨てに。
ヨナは気にせずむしろ喜び、青龍に名前がないので名前を考えようと言いました。


青龍の呼び捨て発言を受け、ユンもお姫様は字数が多いからヨナと呼んでいいかなと尋ねます。
ヨナの驚きながらも嬉しそうな表情が、本当に可愛いなあと思います。
美しく、そして可愛い。


両立することが可能なのだと感じました。草凪みずほ先生の絵は本当に素敵過ぎる。


だからこそ、ハクがヨナと呼び捨てにしそうになった際のヨナの言葉には驚きました。


スキャン0024


ハクだけには姫と呼んで欲しい
ハクの表情からも驚きが読み取れますが、ほとんどの読者も私と同じように驚いたでしょう。
ヨナはハクにも同じように、「ヨナ」と呼ばせる流れだと思っていたので。


他のメンバーとは姫として出会ったわけではない。だから、ヨナと呼ばれるのは親しさの証でもあって嬉しい。
しかしハクは、ハクだけは姫として出会った。姫である自分とハクは出会った。


誰が忘れてもハクだけは、国王である父親と自分がその娘の姫だったことを忘れないで欲しいというのがヨナの願いしでした。
ハクだからこその願い。いやハクにしか言えない願いでした。


このシーンは本当にやられたと思いました。
それまでのストーリーで続いてきた流れから来る読者の予想を、良い意味で見事にやられました。
感嘆するしかありません。本当に見事な構成でした。


忘れないでというヨナの悲しげな表情。目を伏せるハクの姿。
吸い込まれるようにこの場面は見入ってしまいました。素晴らしいの一言。


この伏せられていた時のハクの表情はどういうものだったのでしょうかと少し気になりました。
忠誠を、守ろうという決意を新たにすると共に、かつてのことを思い出していたのでしょう。
以下にヨナを大切にするかが伝わってきました。


ヨナとハクの関係は本当に大好き過ぎます。主従でありながら、それを超越した関係とでも言うのか。


この漫画のさらに素敵なところは、ヨナの凛とした部分だけではなく弱さをも描いているところです。
彼女は王の才覚を持ってはいますが、未だ成長段階にある少女。


父親を無能と言われれば悲しみます。
誰に何と言われても、彼女にとって父親は本当に大切な存在だったから。


夜更けに弓の練習をしながら、父を想い涙を流すヨナの姿はこちらも涙腺が緩んでしまいました。
強さも弱さも同居する、そういう少女の姿を描いています。もう夢中です(笑)


5巻も素晴らしい内容で大満足でした
ストーリーも、キャラクターのやりとりも本当に好き。


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